アメリカズ・ゴット・タレント2018 シャイな13歳少女コートニー・ハドウィン、全米驚嘆の歌声でゴールデンブザー


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息を呑む神業な曲芸をはじめ、ダンス、マジック、音楽、コメディ、動物芸など、その非凡な才能で全米を感動と驚き、笑い、(恐怖)に包む全米屈指の高視聴率オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』(原題:America’s Got Talent)が今年もついに開幕。

先月よりシーズン13の放送を開始し、今週の放送回「Auditions Week 3」(現地時間6月12日)で一夜にしてセンセーションを巻き起こしたのは、イングランド北東部ダラムの小さな田舎町からやってきた、13歳少女コートニー・ハドウィン(Courtney Hadwin)。少し緊張しながら舞台に登場、しかしその歌声で審査員らを驚嘆させ会場をスタンディングオベーションに包むと、審査員ホーウィー・マンデル(Howie Mandel)のゴールデンブザーを獲得しました。

人と話したり、友達を作るのが苦手だというコートニー・ハドウィン。AGT初挑戦の大舞台で「少し緊張しているわ」というコートニーに審査員メル・B(Mel B)は「緊張しても全然大丈夫よ」、「お名前は?」、「コートニーです」、「13歳です」。緊張する様子の彼女にスケアリー・スパイスは「緊張しなくて大丈夫よ。大舞台で、ものすごくたくさんの人がいるけど」、優しく追い込んでから、「頑張って、幸運を祈ってるわ」。

少したどたどしくも音楽がかかると一転。「キング・オブ・ソウル」オーティス・レディング(Otis Redding)の1968年曲「Hard to Handle」を憑依的な歌声で歌い上げ、本能のまま音楽に乗る一風変わったムーブとともに瞬く間に観客らの心を奪い、会場はスタンディングオベーションに。「なんてことだ、コートニー」と審査員サイモン・コーウェル(Simon Cowell)。「出てきたときはあんなに恥ずかしがり屋さんだったのに。歌いだしたらまるでライオンのようだ」。「本当に信じられない、素晴らしいよ」。

音楽史に名を刻む女性シンガー、ジャニス・ジョプリン(Janis Joplin)を彷彿させると語るホーウィー・マンデルは、「君はこの時代じゃない、まるで全然違う時代から来たようだ」。「私はジャニス・ジョプリンの大ファンで、こんな話がある。クライヴ・デイヴィス(Clive Davis)のドキュメンタリーを観ていたら知っていると思うが」、「(当時コロムビア・レコードの音楽エグゼクティブだった)彼はモントレー・ポップ・フェスティバルに行った時、誰も見たことがないその若い女性を目にしたんだ」、「その時ジャニス・ジョプリンは初めてメジャー・レコード契約を結び、それが彼女の人生を変えた」。「私はクライヴ・デイヴィスでなく、君とレコード契約は結べない」。「私が君にできることは…」。ゴールデンブザーに歓喜と涙のコートニー・ハドウィンは、舞台袖で応援していた父と抱き合い、「本当にありがとう、本当にありがとう」。

コートニー・ハドウィンは、放送後自身のSNSで「アメリカズ・ゴット・タレントのオーディションの時、自分が何を期待していたのかわからなかったけれども、ゴールデンブザーは夢見る以上のものだったわ」。「本当にありがとう、ホーウィー・マンデル。すっごく幸せで、感謝してもしきれないわ」。

コートニーは音楽一家ではないものの、「私がよく聴いている音楽は、ジャニス・ジョプリン、ジェームス・ブラウン(James Brown)、ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)、アレサ・フランクリン(Aretha Franklin)といったミュージシャンだわ」。とても大人しい性格で、学校からまっすぐ家に帰り宿題を済ませると歌の練習をし続け、普段あまり話すことも少ないというコートニー。

そんな彼女を誰よりも応援し続けているという祖父は、「ジェームス・ブラウンは、彼女にとってのヒーローの一人だよ。ジャニス・ジョプリンやオーティス・レディングも愛してる」。「おそらく今の若い人たちが耳にする音楽ではないが、コートニーにとってはインスピレーションになっているんだ」。「彼女には若き体に古き魂が宿っているよ」(Dailymai)。

地元のフェスティバルでは18,000人を超える観客らを魅了したというコートニーは昨年、イギリスの子供向け音楽コンペティション番組『ザ・ヴォイス・キッズ』(原題:The Voice Kids)シーズン1(2017年)に挑戦。ティナ・ターナー(Tina Turner)1973年曲のクラシック・ソウル「Nutbush City Limits」ジェームス・ブラウン1964年曲「I Got You (I Feel Good)」など熱唱し決勝進出。そのファイナリストとしてイギリスでは知られ、ゴールデンブザーのニュースはイギリス各メディアでも伝えられます。

『ブリテンズ・ゴット・タレント』ではなく、『アメリカズ・ゴット・タレント』に挑戦した理由についてコートニーは「アメリカズ・ゴット・タレントは世界で最も大きな番組。そしてアメリカは、私のアイドルの多くが生まれた国だわ」(ChronicleLive)。アメリカのソウル音楽などに強く影響を受けたイギリスの少女は海を渡り、アメリカへ。その夢の大きな第一歩を踏み出します。

ゴールデンブザー

ゴールデンブザー(Golden Buzzer)は、他の審査員の判断に関わりなく、ジャッジ・カット(Judge Cuts)のラウンドを通過し、ライブ・ショーとなる準々決勝ラウンド(Quarterfinals)に送り込む1シーズン1人1回だけの審査員らの特権。その特権が強化されたシーズン10(2015年)以降、その優勝者は現在までに全てゴールデンブザー獲得者となっており、事実上の優勝有力候補の一人として、今後注目を集めることになる。

これまでにゴールデンブザーを獲得しているのは、「Auditions Week 1」放送回(現地時間5月29日)でオーストリア出身ダンス・グループのズーカロー(Zurcaroh)。小さな子どもたちが宙を舞い、息も止まるアクロバティックなパフォーマンスに、司会タイラ・バンクス(Tyra Banks)が「ちょっと、ちょっと待って」、「酸素が必要よ、信じられないわ」、「本当にクレイジーだわ!!こうせずには…」と駆け込み、ゴールデンブザー。

そして「Auditions Week 2」放送回(現地時間6月5日)では、小児精神科認定看護師40歳、米マイケル・ケテラー(Michael Ketterer)。「私の家族、それが私が今ここにいる理由」とマイケル。奇跡的に命を授かった娘に加え、ホームレスの子、脳性小児まひの子など5人の養子を迎え、6人の子を育てる父親マイケルは、「何とか生き抜こうとしている時、夢を見ることなんてできない」、「彼らに家と、そして自由に夢を見ることのできる安全な環境を提供すること、それは最大の価値の一つです」。「私は子どもたちに自分の姿で示したい、もし父ちゃんがその夢を全うすることができるならば、不可能なんてないということを」。

頑張れ父ちゃん、妻と子どもたちが舞台袖で見守るなか、マイケル・ケテラーは、ビージーズ(Bee Gees)1967年曲「To Love Somebody」をソウルフルな歌声で披露し、サイモン・コーウェルがゴールデンブザー。サイモン・コーウェルは「こうした番組で我々がシンガーを見つける時、それは技術面だろうか?」、「時に私にとっては、リアルさと驚きだ」、「正直言うと、君は緊張していて心配していたよ。でも時々思うんだ、行動は言葉よりも強く語ると…」。ゴールデンブザーを手にしたマイケル・ケテラーはライブ・ショーに進出決定。

全米のハートを掴むエンターテイナーの2018年全米頂点への戦いとなる『アメリカズ・ゴット・タレント』ライブ・ショーは、ハリウッドのドルビー・シアターにて8月14日より開催される予定。優勝者には賞金100万ドル(約1.1億円)などが贈られます。

5 comments
  • 記事楽しく読みました。
    ところで質問です。もしご存知であれば教えていただきたいのですが、Courtneyのファーストステージでゴールデンブザーが鳴った瞬間にかかっているBGMは誰のなんという曲でしょうか。よろしくお願いします。

    • ars様

      このたびはお問い合わせ頂き誠にありがとうございます。
      ご質問の件につきまして、CourtneyゴールデンブザーのBGMで使用されている楽曲はピンク(P!nk)の曲「F**kin’ Perfect」(フxxキン・パーフェクト)になります。同曲は2010年ベスト・アルバム『Greatest Hits… So Far!!!』(国内盤:グレイテスト・ヒッツ)に収録されています。他人と比較せずありのままの姿を”パーフェクト”だと訴える同曲には、Courtney(と父親)の姿と重なるという声も寄せられています。ミュージック・ビデオは以下になります。

      P!nk – Perfect

  • 初めまして、動画でコートニーちゃんの歌声の素晴らしさに魅了された日本人のひとりです。調べたらこちらのサイトが出てきて詳しく記載されていたのでこちらの動画も全て見させていただきました。本当に素晴らしい歌声です。ところで、コートニーちゃんはCDデビュー等の予定はないのでしょうか?是非購入したいと思っているのですが・・・。

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