「地球上で最大のステージ」。世界中から集まった精鋭揃いの中から最も才能のあるエンターテイナーを決めるNBC才能オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』(原題:America’s Got Talent)シーズン15決勝(Final)が日本時間9月23日に開催。オーディション・ラウンドの収録から約半年にわたる戦いを勝ち上がったダンサー、曲芸師、詩人、歌手ら全10組が、賞金100万ドル(約1億500万円)とラスベガスのヘッドライン・ショーをかけて、ロサンゼルスのユニバーサル・スタジオ・ハリウッドを舞台に熱戦を繰り広げた。
ファイナリストは決勝順に、(1) 歌手ロベルタ・バッタリア(Roberta Battaglia)、(2) ダンスのバッド・サルサ(BAD Salsa)、(3) シンガー・ソングライターのケナディ・ドッズ(Kenadi Dodds)、(4) スポークン・ワードのブランドン・リーク(Brandon Leake)、(5)歌デュオのブロークン・ルーツ(Broken Roots) 、(6) 曲芸3姉妹ベロ・シスターズ(Bello Sisters)、(7) 歌手アーチー・ウィリアムズ(Archie Williams)、(8)歌手ダネリヤ・トュレショヴァ(Daneliya Tuleshova)、(9) 空中曲芸アラン・シルヴァ(Alan Silva)、(10) 歌手クリスティーナ・レイ(Cristina Rae)。アメリカの投票を経て今日その結果が発表された。なお先月E-バイクのアクシデントで怪我した審査員サイモン・コーウェル(Simon Cowell)は欠席(記事)となった。
新型コロナウイルスのパンデミック、審査員の体調不良や怪我など、いつもとは違う波乱のコンペティションとなった今年のアメリカズ・ゴット・タレント。それぞれの困難を乗り越えて決勝で戦った10組から、結果発表で最後に舞台に残されたのは、ブロークン・ルーツとブランドン・リーク。カリフォルニア州ストックトン出身のブランドン・リーク(Brandon Leake)がスポークン・ワード詩人としてAGT史上初の優勝を果たした。司会テリー・クルーズ(Terry Crews)が優勝者の名を発表すると、ブランドン・リークは「本当にありがとう、アメリカ!アーハー!!」と叫び、歓喜のフィナーレを迎えた。
オーディション・ラウンドでブランドン・リークは、幼い頃に亡くした妹への詩を語り審査員ホーウィー・マンデル(Howie Mandel)のゴールデンブザーを獲得。その後「Black Lives Matter」(ブラック・ライヴズ・マター)運動のなか黒人としての自分と母親の物語、父親がいなかった子ども時代などを語り、アメリカの心をつかみ勝ち上がった。決勝の舞台は生後6ヶ月の最愛の娘へ詩を捧げ、父親になっていく自身の人生を綴った詩を閉じた。
初戦から決勝まで通して、大きな一つの詩を描いたブランドンにホーウィー・マンデルは「君を我々をジャーニーに連れ出した」、「人々を、世界を、そして我々を感動させた」。審査員ソフィア・ベルガラ(Sofia Vergara)は「希望に満ちた詩でこれまでのあなたのパフォーマンスのなかで一番好きだわ」。妹の喪失から始まり、新しい命と愛で閉じたスポークン・ワード・ポエムに勝利の女神が微笑んだ。
ゴールデンブザーの特権が強化された2015年(シーズン10)以降、2018年優勝者のマジシャン、シン・リム(Shin Lim)を除く優勝者は全てゴールデンブザー獲得者で、今年もゴールデンブザー獲得者が優勝を果たした。国別では歴代優勝者の大部分がアメリカ人で今年もアメリカ人が優勝を果たした。アクト別ではファイナリストの半数を超える6組がシンガーとなり、シンガーの優勝有力候補同士で票を分ける混戦となった。
準優勝 Broken Roots
準優勝となったのは、常識を壊し続けた奇跡のデュオ、ブロークン・ルーツ(Broken Roots)。ジャッジ・ラウンドで敗退しながらも、出場者に辞退が出たため代わって出場した準々決勝で全米のハートをつかみトップ3通過、続いて準決勝でも再びトップ3通過で勝ち上がってきた。シカゴを拠点に置くカントリー歌手オースティン(Austin Weinstock、44歳)と、同じくシカゴを拠点に置くロック/ポップ歌手ジョーイ(Joey Karczewski、37歳)は別々に音楽活動をしていたが、ライブで会った二人は意気投合し、オーディション・ラウンドの半年前にブロークン・ルーツを結成。オースティンは殺人課の刑事、ジョーイも法執行機関で働いていた経歴を持つ。
カントリーとロックの壁を壊し、命がけの雄叫びから優しく美しいハーモニーで包む屈強な男たちは、決勝ではフィル・コリンズ(Phil Collins)の「In The Air Tonight」(’81)をカバー。クリスティーナ・レイがオーディション・ラウンドで歌い、サイモン・コーウェルから別の曲を求められた歌でもあるが、物ともしないブロークン・ルーツは炎のロック魂でパワフルな歌声を燃やした。
審査員ハイディ・クルム(Heidi Klum)はジャッジ・ラウンドを振り返り「私たちが間違っているとあなたたちは完全に証明したわ。大好きだわ、幸運を祈ってるわ」。「大好きな曲」だというホーウィー・マンデルは現実的な問題に触れ、「今夜のシンガーたちは厳しいぞ。今夜はたくさんのシンガーがいるからね。お互いに票を分けてしまうから、幸運を祈るしかない」。有力なシンガー同士で票を分けこれまでも波乱の結果を生んできたAGT。ホーウィー・マンデルの指摘通り、票を分ける形となったが、常識をぶっ壊し続け全米を味方につけた真新しい中年コンビが再び奇跡を起こした。準々決勝前にオースティンは「ブロークン・ルーツを結成し俺が学んだのは、可能性の天辺じゃない。天辺が始まりということだ」。新たな挑戦に情熱を燃やす中年コンビは、まだ始まったばかりだ。
第3位 Cristina Rae
決勝最後の舞台に登場したテネシー州ナッシュビル出身、ジョージア州マリエッタ在住の歌手クリスティーナ・レイは、イマジン・ドラゴンズ(Imagine Dragons)のヒット曲「Demons」(2013)を煌びやかな高域を活かしたスケール感のある歌声で歌い上げ、第3位。数々のスターを輩出してきたアポロ・シアターのアポロアマチュアナイト(Amateur Night at the Apollo Theater)で今年2月に優勝を果たしたクリスティーナは、オーディション・ラウンドで審査員ハイディ・クルムからゴールデンブザーを獲得。今年最も歌唱力のある歌手として注目を集め、優勝有力候補の一人となっていた。
決勝の「Demons」にハイディ・クルムは、「最後に最高のものをとっておいたのね!」、「他のみんなも素晴らしいけど、あなたが一番素晴らしいわ。あなたには不滅の光があるわ。煌めき輝いている」、「あの高域は何!?本当に圧巻だわ」。ソフィア・ベルガラは「あなたがスターになる姿を私たちを見てきたわ」、「衣装も最高ね!」そしてホーウィー・マンデルは「君は自分の王国について歌ったが、まさに今夜は君の王国だった。私個人の見解だが、君がクイーン、君が覇者だ」。
第4位 Roberta Battaglia
第4位となったのはファイナリスト最年少、カナダ・トロントの11歳歌手ロベルタ・バッタリア。オーディション・ラウンドで、レディー・ガガ(Lady Gaga)の2018年映画『アリー/ スター誕生』(原題:A Star Is Born)主題歌「Shallow」(邦題:シャロウ)を10歳とは思えないダイナミックな歌声で熱唱。劇場総立ちのスタンディングオベーションが送られ、ソフィア・ベルガラからゴールデンブザーを獲得。優勝有力候補の一人として注目を集めていた。決勝ではトップバッターで登場。カナダのシンガー・ソングライター、アレッシア・カーラ(Alessia Cara)の「Scars to Your Beautiful」(2016)を成熟したパワフルな歌声でカバーし、力強いメッセージで決勝の幕を開けた。
「あなたはステージで歌うたびに私を驚かせ続けるわ」と初戦でゴールデンブザーを送った審査員ソフィア・ベルガラ、「完璧だわ」と熱い声援を送る。審査員ハイディ・クルムは「あなたは歌を歌うために生まれてきたわ」、「これはあなたにとって始まりに過ぎないわ。20代、30代、40代、50代、その先もずっと歌い続けていくあなたの姿が目に見える。本当にあなたは素晴らしいわ」。同じくトロント出身の審査員ホーウィー・マンデル(Howie Mandel)は「君が今夜の勝者になると私は信じている。今シーズンを通して君は私の一番のお気に入りだよ」。
第5位 Alan Silva
第5位には、ブラジル生まれ・ラスベガス在住のアラン・シルヴァ(38歳)。6代続くサーカス一家に生まれ、人々からは体のサイズでずっといじめられてきたとアラン。逆境をバネに、強靭な肉体と類まれな身体能力・柔軟性をいかしたスリリングで優雅なエアリアル・シルクを披露し、決勝まで勝ち進んだ。決勝では、超常現象ドラマテレビシリーズ『シャドウハンター: The Mortal Instruments』よりルエル(Ruelle)の幻想的な歌「Live Like Legends」(2016)と一体となり、滝の雨に打たれながら宙を自在に舞う炎のダイナミックな演技を披露。
ハイディ・クルムは「体のことで、人々はあなたをとても過小評価し、あなたをいじめてきたわ。そうした人々が今、観ていることを心から願うわ。だってあなたは本当に才能に溢れているわ」。ソフィア・ベルガラは「どんどん良くなっていくわ。とても芸術的だわ、水と炎。とてもキケンでハラハラしたわ」。
Daneliya Tuleshova (Top 10)
14歳ながら世界中に熱いファンを持ち、最も人気を集めているファイナリストの一人、カザフスタンの歌手ダネリヤ・トュレショヴァ(Данэлия Тулешова)。夢の大舞台『アメリカズ・ゴット・タレント』のオーディション・ラウンドではフォージア(Faouzia)の「Tears of Gold」(2019)をパワフルに歌い初戦突破。準々決勝ではハリー・スタイルズ(Harry Styles)の「Sign of the Times」(2017)、準決勝ではジェシー・J(Jessie J)の「Who You Are」(2011)で全米を沸かせ、いずれもトップ3で勝ち上がり決勝に進んだ。決勝では映画『アバター』を彷彿とさせる幻想的な美しい舞台でシーア(Sia)の「Alive」(2015)。苦難に不屈の精神を壮大に歌い上げ、審査員全員のスタンディングオベーション、バーチャル・オーディエンスの歓声に包まれた。
ソフィア・ベルガラは「今シーズンの子供たちはみんな本当にすごくて、とても難しい選択になるわ。特にあなたは非の打ち所がなく、ステージに現れる度に、あなたはどんどん良くなっていくわ」。ハイディ・クルムは「間違いなくあなたは一流だわ。自分を制し、完璧に歌い上げる。パーフェクトだったわ」。そしてホーウィー・マンデルは「君は素晴らしいシンガーたちとの対戦になり、シンガーたちにとって今夜は最も厳しい夜になる」、「決断するのが我々でなくて本当によかった」。トップ5とはならなかったが、世界中の人々から応援の声が寄せられたダネリヤは自身のSNSで「このコンペティションを通じて応援してくださった皆さん、ありがとうございます。皆さんから頂いた言葉の全てに感謝しています。ありがとう!🙏🏻❤️」
Archie Williams (Top 10)
冤罪で37年間服役し闘い続けたルイジアナ州の黒人歌手アーチー・ウィリアムズ(59歳)。1983年、当時22歳の時に30歳白人女性が被害者の強姦殺人未遂の罪で起訴され、現場の指紋と彼の指紋が一致せず、アリバイ証言もあったが有罪となり仮釈放なしの懲役80年が下された。壁の中の無法地帯、全米で最も悪名高いアンゴラ刑務所(ルイジアナ州立刑務所)に服役し「悪夢だった」と振り返る。冤罪証明を行う非営利活動機関イノセンス・プロジェクト(Innocence Project)が90年代半ばから彼の無実を証明するために闘い始め、DNA鑑定により2019年3月に無実が認められ釈放された。
「37年間、どう乗り越えたのですか?」と司会テリー・クルーズ(Terry Crews)の質問にウィリアムズは「自由とは心の自由。刑務所に入っても、決して私の心は囚われなかった」。祈りと歌で心の平穏を得たという。刑務所でウィリアムズはAGTを観て、そのステージで歌う自分の姿を思い描いた。オーディション・ラウンドでは、刑務所の中で聴き支えになっていたというエルトン・ジョン(Elton John)の「Don’t Let the Sun Go Down On Me」(’74)をカバー。「Black Lives Matter」(ブラック・ライヴズ・マター)運動のさなか、憎しみではなく平穏を貫こうとした彼の生き方と魂が込められた歌声は、全米に深い感動を呼んだ。
決勝では、ザ・ビートルズ(The Beatles)の「Blackbird」(’68)をソウルフルに歌い、夜闇の中でついに光へ飛び立つ傷ついた鳥と自分の姿を重ねた。アーチー・ウィリアムズは「私が乗り越えてきた全ての苦難、それはここに導かれる運命のためだったと感じる」。
ホーウィー・マンデルは「今夜、優勝できるのはたった1組だが、あなたは既に勝者だと感じる。自由と正義を勝ち取り、そして小さな監房から地球上で最大のステージへその夢を叶えた」。「私もこの曲は知っているが、あなたが歌うと歌の意味が明確になり、さらに深くあなたを表現している」。ソフィア・ベルガラは「感動的で美しかったわ」、「あなたの最高のパフォーマンスだったわ。スーツもどんどん素敵になっていくわ」。その言葉にウィリアムズは顔を綻ばせる。ハイディ・クルムは「まるであなたに書いた曲のようだわ、あなたの人生だわ」。公民権運動のなかポール・マッカートニー(Paul McCartney)が書いた「Blackbird」には、黒人差別の解消への願いが込められている。
Kenadi Dodds (Top 10)
ユタ州ノース・ローガンの小さな田舎町からやってきた15歳、カントリー・シンガー・ソングライターのケナディ・ドッズは、「人生で最大の瞬間」という決勝の舞台でキャリー・アンダーウッド(Carrie Underwood)の「Love Wins」(2018, 記事)を熱唱。中盤からギターを背に、違いを超えた愛と希望の力強いメッセージを訴えた。
(コーラス)「だって私は信じているから/あなたと私は姉妹であり兄弟であると/そして私は、私は信じるわ、私たちは一つになるためにここにいるのだと/私たちが手と手を取り合い歩いていけば、決して倒れることはない/壊れかけた世界を共に取り戻そう」、「そうよ、私は、私は信じるわ、最後に愛が勝つのだと」
ソフィア・ベルガラは「これまでのピアノのパフォーマンスも大好きだったけど、ギターで歌っているあなたを見て、これまで以上にすごくエネルギーが伝わってきたわ」。ハイディ・クルムは「あなたの輝いてる未来が見えるわ」、「本当に素晴らしいわ。ギターを手に曲を書き始めた頃の若きテイラー・スウィフトのように思えてくることがあるわ」。そしてホーウィー・マンデルは「ピアノなし、ギターなしに力強く歌う君を初めて我々は見た。君は普段見せない底力を見せ、それこそが君の強みだ」と力説した。
BAD Salsa (Top 10)
「ファイナルの舞台はまるで夢が叶ったよう」と語るサルサ・ダンサー、サマンス(Maraju Sumanth、21歳)とソナリ(Sonali Majumdar、16歳)のデュオ、バッド・サルサ。これまで準々決勝、準決勝ではインドからリモートで参戦していたが、今回アメリカに飛び、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドの舞台で披露。ボリウッド・スタイルの豪華絢爛なステージで、躍動感とキレのあるダンス、高速スピン、重力を超えたアクロバティックな技で魅せた。
「目の前で見れて、とてもダイナミックですごく怖かった」とホーウィー・マンデル。ソフィア・ベルガラは「心を奪われたわ。家族と一緒にずっとあなたたちのダンスを楽しみにしていたのよ(笑)」、「あなたたちは別次元にもっていったわ」、「このコンペティションの中だけでなく、私の人生のなかで、あなたたちは私の大のお気に入りのアクトだわ」。
Bello Sisters (Top 10)
サーカス一家出身のローレン(Loren、22歳)、セリーヌ(Celine、19歳)、ジョリーン(Joline Bello、13歳)のセクシーなイタリア系ドイツ人3姉妹ベロ・シスターズ。ファイナリストでは唯一、リモートでのアクトとなりドイツから参戦。デュア・リパ(Dua Lipa)のノスタルジックな「Physical」(2020, 記事)にのせ、3姉妹の心・技・フィジカルが一つになる華麗な美技を披露。最後に娘がくわえたバラを父親が射るスリリングなパフォーマンスで沸かせた。
ハイディ・クルムは「大好きだわ。家族のショーで、そしてお父様が射る…(笑)、クレイジーだわ」、「真のアスリートでとても美しかったわ」、「ホーウィーがよだれを垂らして…(笑)」。よだれ疑惑のホーウィーは完全否定。「私はよだれが出た」とソフィア・ベルガラ、「素晴らしく、美しく、見事で完璧だったわ」。
ファイナリスト | アクト | |
---|---|---|
優勝 | ブランドン・リーク Brandon Leake | スポークン・ワード |
第2位 | ブロークン・ルーツ Broken Roots | 「In The Air Tonight」(’81) Phil Collins |
第3位 | クリスティーナ・レイ Cristina Rae | 「Demons」(2013) Imagine Dragons |
第4位 | ロベルタ・バッタリア Roberta Battaglia | 「Scars to Your Beautiful」(2016) Alessia Cara |
第5位 | アラン・シルヴァ Alan Silva | エアリアル・シルク |
– | アーチー・ウィリアムズ Archie Williams | 「Blackbird」(’68) The Beatles |
– | バッド・サルサ BAD Salsa | ダンス |
– | ベロ・シスターズ Bello Sisters | 曲芸 |
– | ダネリヤ・トュレショヴァ Daneliya Tuleshova | 「Alive」(2015) Sia |
– | ケナディ・ドッズ Kenadi Dodds | 「Love Wins」(2018) Carrie Underwood |
Performance
アッシャー(Usher)がキックオフしたシーズン・ファイナルでは、豪華スターとファイナリストらによるパフォーマンスが披露・放送された。ライアン・テダー(Ryan Tedder)とクリスティーナ・レイはワンリパブリック(OneRepublic)の「Lose Somebody」(2020)で美しいデュエット。
また不朽の名曲の数々を世に残し、今年3月にこの世を去ったソウル歌手ビル・ウィザース(Bill Withers)へ、ファイナリスト10組が「Lean On Me」をリレーで歌い追悼した。収録版「Lean On Me」では、ケナディ・ドッズ、クリスティーナ・レイ、ブロークン・ルーツ、ダネリヤ・トュレショヴァ、ロベルタ・バッタリア、アーチー・ウィリアムズらシンガーだけでなく、アラン・シルヴァ、ブランドン・リーク、バッド・サルサ、ベロ・シスターズも歌った。
ビショップ・ブリッグス(Bishop Briggs)は「Higher」(未)と「River」(2016)をエネルギッシュに歌い、ベロ・シスターズ、シルヴァ兄弟とコラボ。ゴスペル歌手マーヴィン・ウィナンズ(Marvin Winans)とアーチー・ウィリアムズは、The Winansのスピリチュアルな「Everything You Touch Is A Song」(’84)を心に触れる歌声で共演。アーチー・ウィリアムズの物語に心を打たれ応援しているというメーガン妃がサプライズで特別出演し、アーチー・ウィリアムズに声援を送った。
美メロ・ダンスポップの”女王”、エイバ・マックス(Ava Max)はダネリヤ・トュレショヴァと「Kings & Queens」でコラボ。堂々と歌う14歳は、世界的スターと並びその存在感と風格を見せた。AGT2019準優勝のデトロイト少年少女合唱団はイマジン・ドラゴンズの「Believer」をダイナミックなダンスとともに力強いカバー。ブロークン・ルーツは準決勝で披露したカントリー・ヒット「God’s Country」(2019)を本人ブレイク・シェルトン(Blake Shelton)と迫力のコラボで沸かせた。
さらに『アメリカズ・ゴット・タレント: ザ・チャンピオンズ』(原題 America’s Got Talent: The Champions)2020優勝者のインド・ムンバイ出身V.アンビータブル(V.Unbeatable)がバッド・サルサと躍動感溢れるアクロバティックなダンスでコラボ。
JP Saxeとジュリア・マイケルズ(Julia Michaels)はパンデミックのなか共感を呼びバイラルとなった珠玉の「If the World Was Ending」をケナディ・ドッズ、ロベルタ・バッタリアと披露。「もし今世界が終わるのなら、きっと君は来てくれるよね?」4人のエモーショナルな歌声が一つとなり、最後に切なき愛を美しく響かせた。