アメリカズ・ゴット・タレント2019  盲目・自閉症の歌手コーディ・リー優勝


2048 1152 VOICE Editor

興奮と感動、情熱と歓喜。その才能で全米を沸かせ3ヶ月を超える波乱の戦いを経て、ついに迎えた決戦。2019年全米の頂点の栄冠と賞金100万ドル(1.08億円)、ラスベガス・ショーのヘッドライナーをかけたNBC才能オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』(原題:America’s Got Talent)シーズン14ファイナルが幕を開け(現地時間9月17日)、勝ち進んだ全10組が最後の戦いに挑みました。

番組によると今シーズンAGTオンライン動画総再生回数は既に25億回を超え、「番組史上最高のファイナルだ」と審査員サイモン・コーウェル(Simon Cowell)。「私はこう思っていた、どのアクトもそれぞれ刺激させるものがあると」、「どのアクトもまさに今夜勝利する可能性を持っている」。980万人を超える視聴者が見守るなか生中継で熱戦が繰り広げられ、一夜明けた今日、アメリカの投票によって優勝者が発表。ソウルフルな歌声で世界に衝撃を走らせ審査員ガブリエル・ユニオン(Gabrielle Union)のゴールデンブザーを獲得した自閉症で盲目の23歳歌手/ピアノ奏者コーディ・リー(Kodi Lee)が優勝を果たしました。

コーディ・リーは歓喜でステージを飛び跳ね、デトロイト少年少女合唱団を21年率いるアンソニー・ホワイト(Anthony White)もコーディを抱擁し祝福。「すごく最高の気持ち、信じられないよ!!ハッハッハッ!!」とコーディらしい笑いでその喜びを爆発させました。南カリフォルニア出身のコーディ・リーは、先天性視神経疾患、4歳の頃に自閉症障害と診断。一度耳にしただけでその音楽を瞬時に記憶し再現でき、サヴァン症候群の権威、精神科医ダロルド・トレッファート(Dr. Darold Treffert)はその資料から彼について「音楽のサヴァン症候群の定義にまさに当てはまる」。人とコミュニケーションをとるのが非常に困難だった彼について母親は「音楽と演奏を通じてコーディはこの世界に屈しないで生きることができました、コーディは自閉症で、他の人にはできることが非常に困難だからです」、「音楽の演奏が彼の人生を救ってきました」。

決勝では9番目という最高の位置に登場したコーディ・リー。事前収録映像でコーディ・リーは「音楽は気持ちを楽にしてくれる」、「僕は歌を通じて、みんなを愛しているって伝えてる。みんなに話しかけているんだ」。決勝を前に「幸せな緊張」とコーディ。「でも僕の家族がいつもそばにいてくれる。母はいつも僕のそばにいてくれる。ありがとう、mom。僕の夢が叶っている!」コーディが最後の歌に選んだ曲は、昨年イギリスを感動に包み話題となったフレイヤ・ライディングス(Freya Ridings)珠玉のピアノ・バラード「Lost Without You」(記事)。失恋の傷心をエモーショナルなピアノ弾き語りで披露し会場をスタンディングオベーションに包みました。

「コーディは世界を変えたわ」とガブリエル・ユニオン、その歌詞とかけながら「もしも私たちがコーディを見つけていなかったら、世界中が途方にくれたと思うわ」。そして感嘆のサイモン・コーウェルは「私が人生で聞いてきた中で最も美しいものの一曲だった」、「君の映像、そしてその歌、それに歌詞、そして君」、「まるでそれは映画の中にいるようだった」、「全ての人が彼に投票すべきだ」、「私の人生で聞いてきた中で最高といえるものだった」。

オーディション・ラウンドでコーディ・リーはレオン・ラッセル(Leon Russell)1970年曲「A Song For You」(記事)、準々決勝ではサイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)の1970年曲「Bridge over Troubled Water」、準決勝ではカラム・スコット(Calum Scott)の2017年バラード「You Are the Reason」を披露。その準決勝のパフォーマンスに珍しく我を忘れうっとりする姿も見せた審査員サイモン・コーウェルは「君は歌を自分のものにし、我々が見てきた中で君は最も特別で、最も才能ある出場者の一人だと私に思わせる曲にしたよ」、「正直なところ、冗談じゃなくってね、演奏中はっと息を呑むような美しさだった」。

シーズン・ファイナルでコーディ・リーはレオナ・ルイスと美しいデュエット「You Are the Reason」を披露した

全米を感動に包み人々をインスパイアする一方、アメリカズ・ゴット・タレントを通してコーディ・リー自身にもある変化が生まれたと母親は語ります。「彼が世界を変えているように思われていますが」、「しかし同時にそれは彼を変えています」(People)。「彼は人とコミュニケーションをとるのが困難な状況ですが、しかし人々のコメントを読むことで、彼らの気持ちを理解する手助けになっています。人々が話していることを、彼は以前よりも理解し始めています。彼は人とコミュニケーションをとろうと強く思うようになっているのです」。

優勝したコーディ・リーは再来月11月7日から10日までパリス・ラスベガス・ホテル&カジノにてヘッドライン・ショーを開催。また近々オリジナル・ソングの公開も予定しています。準優勝にはデトロイト少年少女合唱団、第3位はコメディアンのライアン・ニーミラー(Ryan Niemiller)。ラスベガス・ショーのスペシャル・ゲストにはV.アンビータブル、デトロイト少年少女合唱団、ライアン・ニーミラー、タイラー・バトラー・フィゲロア。ファイナリストの結果及びライブ映像は以下の通りです。

 
 

準優勝 Detroit Youth Choir

準優勝を果たしたのは犯罪率・貧困率が極めて高いデトロイトに住む8歳から18歳までの少年少女からなるデトロイト少年少女合唱団。「デトロイトの街には素晴らしい子どもたちがいる、そのことを世界に伝えたい」とホワイト先生。デトロイト各メディアもその活躍を報道、地元の熱い支持を受けながら決勝に勝ち進んだデトロイト少年少女合唱団は、オーディション・ラウンドで歌ったマックルモア(Macklemore)とライアン・ルイス(Ryan Lewis)の「Can’t Hold Us」を再び舞台で披露。同じ曲という異例のパフォーマンスながら力強いラップとエネルギッシュなパフォーマンスで魅せ審査員ジュリアン・ハフ(Julianne Hough)は「本当にあなたたちには天井なんてない。信じられないくらい素晴らしかったわ」、「ホワイト先生、心から感謝しているわ。特にファイナルではどの生徒たちにも一人一人輝ける機会、それぞれ活躍できる場を与えて下さった。皆それぞれに特別な瞬間があって、それが一つとなり全く別次元の世界へと私たちを連れて行ってくれたわ」。

第3位 Ryan Niemiller

唯一コメディアンのファイナリストとなったライアン・ニーミラー(Ryan Niemiller)。自身の先天性指欠損症を強みと笑いに変え全米を笑いで包んできたライアンは、ファイナルでも自身の障害を武器に、AGTで有名となり変わった人々の反応など鋭いジョークで沸かせ、ホーウィー・マンデルは「私はぜひコメディアンに優勝してほしいと強く思ってる。君は可笑しくって才能に溢れるだけでなく、君には素晴らしいハートがある」、「君にスターになってほしい、君はスターだ」。そして映画関係者にライアンの起用を呼びかけるサイモン・コーウェルの発言を受け、プロダクション・カンパニーを所有しているというガブリエル・ユニオンは「私は映画を作っていて、あなたにぜひ私の映画の作品のスターになってほしいわ」、「だってそれくらいあなたは良い。あなたはスターだわ」。10組中7組が音楽のアクト、10組中2組がダンス・アクトとなり票が分かれるなか、ライアン・ニーミラーが他の優勝候補を抑えトップ3入りを果たしました。

第4位 V.Unbeatable

ファイナルをキックオフしたのはゲスト審査員ドウェイン・ウェイド(Dwyane Wade)からゴールデンブザーを獲得し優勝有力候補の一つとなっていたインドのダンス・グループ、V.アンビータブル(V.Unbeatable)。6年前リハーサル中のアクシデントにより亡くなったVikasの遺志を継ぐスペクタクルなダンスと曲芸に迫るアクロバティック・パフォーマンスで沸かせ、審査員ホーウィー・マンデル(Howie Mandel)は「こんなのは見たことがない。これはAGT史上最もエキサイティングで、最も危険、そして最もスリリングなものだった」。サイモン・コーウェルは「もし我々にゴールデンブザーがあれば、ゴールデンブザーのパフォーマンスだった」、「君たちはもうダンス・グループじゃない、君たちはムーブメントだ。まさにゲーム・チェンジャーだ」。優勝有力候補として注目を集めるも決勝戦最初のアクトとなり、波乱の第4位フィニッシュという形になりました。

第5位 Voices of Service

ファイナル5番目に登場した米国退役軍人・現役軍人からなるヴォーカル・カルテット、Voices of Service(ヴォイセズ・オブ・サービス)。音楽でPTSDと闘う軍人らを支える活動を行っており、メンバーのロン・ヘンリー(Ron Henry)は「我々は愛と希望のメッセージを広げ、音楽がなしうるものを見せたい」。決勝のステージで彼らが披露したのは、キリスト教で有名で詩をもとにしたレオナ・ルイス(Leona Lewis)のスピリチュアルなナンバー「Footprints in the Sand」。「君に約束する、いつも君のそばにいる/君の心が悲しみと絶望でいっぱいの時/私が君を支える、君が友を必要としている時/君は見つけるだろう、砂に残った私の足跡を」目には見えずともそばでずっと支えている存在と癒やしを美しいコーラスで歌い上げ、感涙を浮かべるガブリエル・ユニオンは「あなた方はヒーリングの楽器、このステージを超えているわ、見事だった、本当に素晴らしかったわ」。同曲のコー・ライターでもあるサイモン・コーウェルは「先週と今週、あなた方の2週間は信じられないほど素晴らしいものだったと思う。あなた方は誠実、品格、才能の言葉そのものだ」、「3週間前ならこんなことは言わなかったが、あなた方は優勝への可能性を切り開いた」。音楽のチカラを全米に響かせたVoices of Serviceが見事トップ5入りを果たしました。

Top 10: Emanne Beasha

ゲスト審査員ジェイ・レノ(Jay Leno)のゴールデンブザー、決勝3番目のアクトで挑んだヨルダン・アンマン生まれ「天使の歌声」10歳ソプラノ歌手イマン・ビーシャ(Emanne Beasha)。決勝翌日に誕生日を控え「もし私が優勝できたら、人生で最高の誕生日プレゼントになるわ」。その夢を託すのは、伊作曲家ウンベルト・ジョルダーノ(Umberto Giordano)による傑作、1896年オペラ『アンドレ・シェニエ』(Andrea Chénier)第3幕マッダレーナのアリア「La mamma morta」(亡くなった母を)。年齢を遥かに上回る圧巻の美しい歌声で歌い上げると会場はスタンディングオベーションに溢れ、サイモン・コーウェルは「この歌は一度も聞いたことがなかったが、それはさておき。君は本当に信じられないほど素晴らしい歌声を持っている、まさに今夜君がここにいるのがふさわしい」。そして審査員ガブリエル・ユニオン(Gabrielle Union)は「あなたの歌声はまさに完璧。今日もし天使が地球に降りてきたら、彼女はきっとあなたのような歌声をしているわ。あなたは地球のリアル天使だわ」。

Top 10: Light Balance Kids

決勝6番目のアクト、ウクライナの11歳-13歳少年少女からなるダンス・グループ、ライト・バランス・キッズ(Light Balance Kids)。独創性と革新性に富むエネルギッシュなダンス、光、音楽のコラボで輝かせ、サイモン・コーウェルは「正直言うとコンペティション全体を通じて私は君たちを心から応援してきたわけではなかったが、知っての通りね」。その毒舌で彼らを泣かせたサイモンは「しかしながら、肝心の今夜、君たちは最高のパフォーマンスを引き出した」、「というのは、初めて君たちのパフォーマンスだったと感じたからだ、バックグラウンドにいる大人たちではなくてね。君たちはクリエイティブにそして考えを出し合って、自分たちが信じるものをやり、それは楽しいものだった」。

Top 10: Tyler Butler-Figueroa

サイモン・コーウェルのゴールデンブザー(記事)、11歳ヴァイオリン奏者タイラー・バトラー・フィゲロア(Tyler Butler-Figueroa)。4歳の頃急性リンパ性白血病と診断、3年に及んだ化学療法で髪は抜け落ち、学校ではいじめを受け落ち込んでいた彼は、ヴァイオリンと出会うことで輝きを取り戻したといいます。この日がんサバイバーのタイラーは8番目に登場し、デスティニーズ・チャイルド(Destiny Child)の「Survivor」を流麗な序盤からアップビートな演奏で躍動させ、「誇りではち切れそうだ」とサイモン・コーウェル。今回ビヨンセ(Beyoncé)自らタイラーのためにと同曲を許可したといい、サイモンは「人生で最も大切な夜に、最も特別な競技者の夢を叶えてくれたことに深く感謝申し上げます」。そしてガブリエル・ユニオンは「最高のパフォーマンスだったわ」、「Queen B、ビヨンセがあなたを祝福するなんて、タイラー、聞いて、すごいわ、本当にすごいことよ」。

Top 10: Benicio Bryant

15歳になったばかりのシンガー・ソングライター、ベニシオ・ブライアントは後半戦、7番目に登場。オーディション・ラウンドのブランディ・カーライル(Brandi Carlile)「The Joke」のカバーから一転、ジャッジ・カット以降はオリジナル・ソングで挑み続け、「ギャンブル」と言われたオリジナル・ソングで唯一決勝まで上り詰めたベニシオ・ブライアントは決勝でもオリジナル・ソングに運命を託し、「Six Strings (Because of You)」を披露。ジュリアン・ハフは「装飾やバンドそしてあらゆる演出なしに、一人の人間がこのステージに立つことはとても大変なことだわ。あなたはたった一人、歌声とギターだけ。それこそスターの証だわ」。そしてサイモン・コーウェルは「まず最初に、お誕生日おめでとう」、「私は君をとてもリスペクトしている」、「君は今夜ファイナルのステージに君自分自身で挑んだ。君のスタイル、選曲、君は自分で曲を書き、ギミックなしにありのままの君だった、その姿に私はものすごくリスペクトしている」、「本当に素晴らしかった」。

Top 10: Ndlovu Youth Choir

南アフリカ北東部リンポポ州の13歳-27歳からなる結成10年クワイア、Ndlovuユース合唱団。その多くは電気、水の通っていない小さなコミュニティで育ち、孤児、貧困など困難なバックグラウンドを持っているといいます。メンバーのある女子は「私たちにとって夢を見ることは簡単じゃなかった」、「でも合唱団に入って自分の声を見つけたわ、そして笑顔が戻ってきた」と目を輝かせます。「合唱団にいると、何かに属している感覚、夢見ることを恐れなくていいんだという自信を与えてくれます。だから可能性は無限大だわ」。アフリカのプライド、希望と夢を歌に乗せ表現してきたNdlovuユース合唱団はファイナルではTotoのアイコニックな「Africa」をダイナミックな歌と力強いダンスで披露、ファイナルの最後を飾りました。ジュリアン・ハフは「私たち、そして視聴している世界中の人たちにもたらした歓び、あなたたちを見ることができて私はとても恵まれているわ。夢を見ることができるのなら、叶えられることだってできるわ」。そしてガブリエル・ユニオンは「あなたたちはアフリカのプライド。あなたたちはアメリカの誇りよ」。そして最後に審査員ホーウィー・マンデル(Howie Mandel)は「まさにその通りだ。君たちはアフリカのプライドだけでなく、若者たちそして世界のプライドだ、君たちは私たちがこの世界の一員であること、君たちとともにこの地球にいることをとても誇らしく思わせる。これは私がこれまで見てきた中で最もエモーショナルでインスピレーションナル、素晴らしく、最も才能に溢れたファイナルだった」。

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