アメリカズ・ゴット・タレント2019 がん克服11歳ヴァイオリン奏者にサイモン・コーウェルがゴールデンブザー


2400 1350 VOICE Editor

審査員/製作総指揮サイモン・コーウェルが今年のAGTでゴールデンブザーを押したのは11歳のヴァイオリニスト。現地時間6月11日、NBC才能オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』(原題:America’s Got Talent)シーズン14第3週「Auditions Week 3」が放送され、ノース・カロライナ州ローリー出身のヴァイオリン奏者タイラー・バトラー・フィゲロア(Tyler Butler-Figueroa)がゴールデンブザーを獲得しました。

タイラーは4歳の頃急性リンパ性白血病と診断、3年に及んだ化学療法で髪は抜け落ち、学校ではいじめにあっていたと語ります。「ヴァイオリンを弾き始めて、全ての辛いことを忘れさせてくれました」とタイラー、「がんの子じゃイヤだったんです。だから今はヴァイオリンを弾く子です」。

タイラーは昨年ノースカロライナ州ローリーのダウンタウンのストリートでヴァイオリンを弾きお金を貯め、この日のオーディションに参加。シューズを光らせステージに登場したタイラーは「7歳と半年の頃、ヴァイオリンを始めました」、「学校でいじめを受けていたからです」。審査員ジュリアン・ハフ(Julianne Hough)がいじめの理由を尋ねると、「僕にはがんがあったからです。死んでしまうところでした」。「僕の髪が抜け落ちた時、とても悲しく同時に学校に行くのが恥ずかしかったです」、過酷な闘病生活に追い打ちをかけることとなった学校生活、「みんなは僕のことをからかい笑っていたものでした、他の子とは違っていたからです」、「僕のがんが移るという噂が広まり、すべての人が僕に近づくのを嫌がりました」。

学校での無料プログラムをきっかけにヴァイオリンに興味を持ったというタイラー、寝室で夢中になって一人練習していたといいます。母親Kisua Butler-Figueroaは「その授業を受け始めると、まるで太陽のように輝いていたわ。タイラーは活気と幸せに満ちていた。その時思ったわ、”息子を取り戻したんだわ”って」。

この日タイラーはケリー・クラークソン(Kelly Clarkson)のパワフルなヒット・ナンバー「Stronger (What Doesn’t Kill You)」を独自のアレンジを加えながらアップビートなサウンドに踊りエネルギッシュな演奏で魅了。バックグラウンドにはケリー・クラークソンの歌声が流れ「死ぬほど辛いこと、それが人を強くするわ/胸を張って/一人きりの時、それは孤独ってことじゃない/死ぬほど辛いこと、それが人をファイターにする/足取りはずっと軽くなるわ」

審査員全員そして観客総立ちの拍手喝采に包まれると、感極まる姿を見せるタイラー。ヴァイオリンと出会い、苦難と疎外感を夢と強さに変えこの舞台に挑みました。サイモン・コーウェル(Simon Cowell)は「今どんな気持ちだい?」、目に涙をためるタイラーは「自分のことをとても誇りに思ってます」。現在の健康状態について聞かれると「4年間寛解の状態が続いています」。サイモン・コーウェルは「君は本当に大したものだ。いじめを受けた人の話はたくさん聞くが、一つ確かなことがある。いじめを受けている人の多くは、いじめる人よりも優れているということだ」。「君には素晴らしい才能、素晴らしい個性があると思う。君に代わって私がいじめっ子たちに伝えよう」とゴールデンブザー。ステージで崩れるタイラーは母親と力強く抱きしめ合い、司会者テリー・クルーズ(Terry Crews)の質問にタイラーは「とても誇りに思います、とっても幸せです」。

BGMには2019年3月公開・青春ロマンス映画『ファイブ・フィート・アパート』(原題:Five Feet Apart)主題歌アンディ・グラマー(Andy Grammer)「Don’t Give Up On Me」。病院を舞台に(相互感染を防ぐため)1.5m(5フィート)以内に近づくことが禁じられた難病・嚢胞性線維症患者同士の若き男女の熱く切ない純愛を描く。日本劇場公開未定。主演にはヘイリー・ルー・リチャードソン(Haley Lu Richardson)と『リバーデイル』のコール・スプラウス(Cole Sprouse)。(バース1)「僕は闘う、君のために闘う/僕の心臓が痣だらけになるまでずっと/そして一緒にいる、君のそばにいる/あの世まで、普通の恋人のように」、「暗闇に手を伸ばし/君を待つ、抱き合うために/僕は君を待ち続ける、君を待ち続けよう」(コーラス)「だから諦めないで/僕は諦めない、諦めない、まだ諦めない/最後の一息まで/残された時間はないと言われても/だから諦めないで/諦めないで、諦めないで、僕のことを/他の誰も信じなくても/僕はそう簡単に倒れたりしない/だから諦めないで、僕のこと」(アウトロ)「僕は闘う、君のために闘う/僕の心臓が痣だらけになるまでずっと」

ケリー・クラークソンは放送後自身のSNSで「息ができないわ。涙が止まらない。タイラー、いつか一緒に演奏する日がくることを願っているわ。私も小さい頃ヴァイオリンを弾いていたのよ!ヴァイオリンは私に音楽の世界を教えてくれた最初の楽器だった、聴くだけではなくてね。あなたを愛しているわ」。

ゴールデンブザーが贈られたタイラー・バトラー・フィゲロアは、ジャッジ・カットのラウンドを通過しライブショーとなる準々決勝(Quarterfinals)の舞台に送られます。クラシックからポップ、ヒップホップまで幅広いジャンルの曲を演奏し、ストリート・パフォーマンスでは道を行き交う人々を楽しませてきたというタイラー。昨年10月その演奏の休憩中、地元紙The News & Observerのインタビューでタイラーは、ヴァイオリンを弾き続ける原動力について「ヴァイオリンを弾くのが好きです。僕と同じような境遇の子たちに演奏すること、それが僕に力を与えてくれます」。誰もが聞くことのできる場所で演奏を続けるタイラー、「僕は道で演奏することを誇りに思っています。僕は他の子たちに伝えたいのです、心から望むことに不可能なんかないんだっていうことを」。

準々決勝は再来月8月以降に開催、次回のオーディション・ウィーク4は来週6月18日(日本時間6月19日水曜日)に放送される予定です。

関連記事

新着記事

洋楽最新情報をフォロー