アカデミー賞2019 『ブラックパンサー』作曲賞など3冠 スーパーヒーロー映画史上最多オスカー


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現地時間2月24日、ロサンゼルスにて開催された第91回アカデミー賞授賞式(91st Academy Awards)で、ライアン・クーグラー監督マーベル映画『ブラックパンサー』(原題:Black Panther)のスコアを手がけた新進気鋭、映画作曲家/音楽プロデューサーのルドウィグ・ゴランソン(Ludwig Göransson)が作曲賞(Best Original Score)を受賞しました。

壇上に上がったルドウィグ・ゴランソンはその受賞スピーチで「ありがとうございます、ライアン・クーグラー。ライアン、あなたと一緒に仕事ができて信じられないほど光栄です」。ライアン・クーグラー監督との学生時代を振り返り、「12年前のことを思い出します、私たちは南カリフォルニア大学の寮の部屋で、君の短編映画のスコアを書いていました、そして12年後、今私たちはここで映画史においてとても貴重な瞬間を祝っています」。

ルドウィグ・ゴランソンはスウェーデン出身の34歳。2007年に映画・TV番組のスコアを学ぶため渡米、南カリフォルニア大学でライアン・クーグラー監督と出会い、のちにライアン・クーグラー監督作『フルートベール駅で』(2013年 原題:Fruitvale Station)及び『クリード チャンプを継ぐ男』(2015年 原題:Creed )のスコアを手がけ、今回3度目のタッグとなった『ブラックパンサー』で自身初のノミネーション、初のオスカー獲得となりました。

Deadlineでのインタビューでルドウィグ・ゴランソンは今回のスコアを手がけるにあたり、アフリカに行ってその文化に浸り音楽を学ぶ必要があると考えセネガルに赴き土着の音楽を研究したといいます。アフリカのカルチャーと民族楽器を取り入れ、西洋楽器と融合させながらアフリカ架空の国ワカンダの世界観を北欧の作曲家が躍動的に描写、その壮大な物語に惹き込んでいきます。

受賞スピーチでルドウィグ・ゴランソンは「この賞を今回スコアを一緒に作った全ての素晴らしいアフリカのアーティストたち、Baaba Maal、Massamba Diop、そしてスコアをレコーディングしてくれた全てのロンドンのクラシック音楽ミュージシャンたちとこの賞を分かち合いたいと思います」。

今回作曲賞のノミネートには、『ブラック・クランズマン』(原題:BlacKkKlansman)のテレンス・ブランチャード(Terence Blanchard)、『ムーンライト』でアカデミー賞作曲賞をノミネートされていた『ビール・ストリートの恋人たち』(原題:If Beale Street Could Talk)のニコラス・ブリテル(Nicholas Britell)の他、ブロードウェイ・ミュージカル『ヘアスプレー』で知られる『メリー・ポピンズ リターンズ』(原題:Mary Poppins Returns)のマーク・シャイマン(Marc Shaiman)、そして昨年『シェイプ・オブ・ウォーター』で同賞を受賞し3度目のアカデミー賞受賞がかかっていた『犬ヶ島』(原題:Isle of Dogs)アレクサンドル・デスプラ(Alexandre Desplat)

映画音楽、TVなど多岐にわたる活躍をみせるルドウィグは、音楽プロデューサー/ソングライターとして加わったチャイルディッシュ・ガンビーノ(Childish Gambino)「This Is America」で今月のグラミー賞2019(61st GRAMMY Awards)において主要部門の年間レコード賞及び年間ソング賞を受賞、さらに『ブラックパンサー』サントラでスコア賞(Best Score Soundtrack for Visual Media)を受賞し、自身初のグラミー賞受賞で3冠を果たしました。

3冠

今回『ブラックパンサー』は作曲賞受賞前に、衣装デザイン賞(Best Costume Design)と美術賞(Best Production Design)を受賞。ルース・E・カーター(Ruth E. Carter)が衣装デザイン賞を受賞し、黒人女性が衣装デザイン賞を受賞するのは史上初。またハナー・ビーチラー(Hannah Beachler)が美術賞を受賞し、黒人女性の美術賞ノミネーション、受賞はいずれも史上初めて。

スーパーヒーロー映画としては初めて作品賞(Best Picture)にノミネートされ注目を集めた『ブラックパンサー』、惜しくもその作品賞を『グリーンブック』に譲ったものの3つのオスカーを獲得し、マーベル・スタジオ初のアカデミー賞受賞。さらにスーパーヒーロー映画としては『Mr.インクレディブル』(2004年 原題:The Incredibles)、『ダークナイト』(2008年 原題:The Dark Knight)の最多タイ2冠の記録を破り、『ブラックパンサー』がスーパーヒーロー映画としてオスカー最多受賞となり新たな歴史を作りました。

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