ビリー・アイリッシュの最新シングル「What Was I Made For?」が今日発表の全英シングル・チャート(Official Singles Chart Top 100)で前週の第2位から浮上し初首位を獲得した(※2023年8月24日付 / The Official Charts)。またデュア・リパの最新シングル「Dance the Night」が第2位を記録。オリヴィア・ロドリゴ、テイラー・スウィフトら女性アーティストの曲が続いてランクインし、全英シングルチャートの70年の歴史で初めて、女性ソロアーティストによる曲がTop 6を占めたと発表された。真夏のチャートをガールパワーが席巻している。
2023年7月13日にリリースされたビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)の新曲「What Was I Made For?」は、グレタ・ガーウィグ(Greta Gerwig)監督の2023年7月21日に全米公開となった映画『バービー』(原題:Barbie)のサウンドトラック『Barbie: The Album』の4thシングルで、ビリー・アイリッシュが兄の音楽プロデューサー、フィニアス・オコネル(Finneas O’Connell)とともに同映画のために書き下ろした哀調を帯びたナンバー。ビリー・アイリッシュとしては映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の主題歌「No Time to Die」(※2020年2月27日付)以来、2曲目の首位となった。
またサントラ『Barbie: The Album』のリードシングルで2023年5月25日にリリースされたデュア・リパ(Dua Lipa)の最新曲「Dance the Night」が前週の第3位から浮上し、同曲の最高位となる第2位を記録。この夏を代表するサマーソングの一曲となっているアップビートなディスコポップ・アンセム「Dance the Night」は、映画製作開始前に作品の核となるダンスナンバーを探していたグレタ・ガーウィグ監督からの依頼を受けてマーク・ロンソン(Mark Ronson)がアンドリュー・ワイアット(Andrew Wyatt)と共に作曲。後に歌詞を加え作品の基礎となる「Dance the Night」を完成させた。同曲は劇中のダンスシーンで使用されている(Vanity Fair)。
さらにオリヴィア・ロドリゴ(Olivia Rodrigo)の新曲「Vampire」がワンランク浮上の第3位、最新曲「Bad Idea Right?」が初登場第6位を記録した。それぞれ2023年9月8日にリリースされるオリヴィア・ロドリゴの2nd『Guts』のリード・シングル(2023年6月30日リリース)と2ndシングル(2023年8月11日リリース)で、「Vampire」は米ビルボード「Hot 100」で自身3曲目の首位を獲得(※2023年7月15日付)、全英シングルでは最高第2位を記録している(※2023年7月13日-8月3日付)。
イギリスでも大きな活躍を見せるオリヴィア・ロドリゴは、過去に全英シングルチャートのTop5で3曲同時ランクインした史上初の女性アーティストとなっている(※2021年6月17日付 /「Good 4 U」第1位、「Deja Vu」第4位、「Traitor」第5位 / The Official Charts)。
またオリヴィア・ロドリゴは現地時間2023年8月16日、英国レコード産業協会(British Phonographic Industry / BPI)より「Brits Billion Award」を授与された。このアワードは、全英チャートのオフィシャル・チャート・カンパニー(Official Charts Company)のデータに基づき英国内でのキャリア累計ストリーミング再生数が10億回を超えたアーティストに授与される賞で、2023年5月4日に開始された(BPI)。これまでにABBA、コールドプレイ(Coldplay)、マライア・キャリー(Mariah Carey)、ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)、クイーン(QUEEN)らが受賞し、20歳のオリヴィア・ロドリゴが19組目の受賞で、最年少受賞アーティストとなった。
今週の全英シングルチャートの第4位には、前週の第7位から浮上したテイラー・スウィフト(Taylor Swift)の「Cruel Summer」(2019)。夏のロマンスの痛みを歌ったシンセポップの同曲は、通算7枚目のスタジオ・アルバム『Lover』(2019)の収録曲で、当時シングル・リリースを予定していたが新型コロナの影響によりシングルとしてはリリースされなかった。しかし今年3月にキックオフし現在アメリカ各地をまわっているテイラー・スウィフトの5大陸146公演のコンサートツアー『The Eras Tour』で「Cruel Summer」がセットリストの44曲の一曲として披露され大きな反響を呼び、アルバムリリースから約4年を経てその5thシングルとして2023年6月20日にリリースされた。
昨日(現地時間8月17日)CNNが報じたものによると、『The Eras Tour』は、全68公演の北米ツアーのチケットセールスだけでも試算で22億ドルの興行収入になる可能性があるという。仮にそうなればソロ・アーティストとして歴代最高の興行収入を記録したエルトン・ジョン(Elton John)のフェアウェル・ツアー『Farewell Yellow Brick Road』(2018-2023)の8億8700万ドル以上の記録を大きく上回ることになる。
今週の全英シングルチャートの第5位は、韓国出身の女性DJペギー・グー(Peggy Gou)の「(It Goes Like) Nanana」で8週連続のトップ10入りとなった。第7位には、ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)とアイス・スパイス(Ice Spice)、アクア(Aqua)のコラボ曲「Barbie World」で、『Barbie: The Album』の2ndシングル。映画『バービー』の全世界興行収入は12億ドルを超え、2023年の世界興行収入ランキングで『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(原題:The Super Mario Bros. Movie)に次いで第2位、女性監督による単独作品では歴代最高記録となっている。
続いてベッキー・ヒル(Becky Hill)とチェイス・アンド・ステイタス(Chase & Status)のコラボ曲「Disconnect」が同曲の最高位となる第8位に浮上。男性参加のコラボ曲を含めるとトップ8を女性アーティストが主な曲が独占した。
【女性アーティスト×全英チャートの歴史】
全英シングルチャートで初めてTop 5を女性ヴォーカリストの曲で占めたのは、1986年11月15日付チャート(The Official Charts)で、第1位に映画『トップガン』挿入歌であるベルリン(Berlin)の「愛は吐息のように(トップガン・愛のテーマ)」(Take My Breath Away)、第2位にキム・ワイルド(Kim Wilde)の「You Keep Me Hangin’ On」、第3位にバングルス(The Bangles)の「Walk Like an Egyptian」、第4位にメル&キム(Mel & Kim)の「Showing Out (Get Fresh At the Weekend)」、第5位にSwing Out Sisterの「Breakout」だった。
全英シングルチャートで初めて女性ソロアーティストの曲がトップ3を占めたのは、1988年2月20日付チャート(The Official Charts)で、第1位にカイリー・ミノーグ(Kylie Minogue)の「ラッキー・ラヴ」(I Should Be So Luck)、第2位にティファニー(Tiffany)の「I Think We’re Alone Now」、第3位にテイラー・デイン(Taylor Dayne)の「Tell It to My Heart」だった。
全英シングルチャートで初めて女性だけの曲でトップ5を占めたのは、1998年12月19日付チャート(The Official Charts)で第1位にビー・ウィッチド(B*Witched)の「To You I Belong」、第2位にシェール(Cher)の「ビリーヴ」(Believe)、第3位にビリー・パイパー(Billie Piper)の「She Wants You」、第4位にホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)とマライア・キャリー(Mariah Carey)の「ホエン・ユー・ビリーヴ」(When You Believe)、第5位にハニーズ(Honeyz)の「End Of The Line」だった。
前回女性アーティストのソロ曲または男性とのコラボ曲がトップ6を占めたのは、アリアナ・グランデ(Ariana Grande)の「thank u, next」が首位となった2018年12月20日付チャート(The Official Charts)だった。
2023年上半期の全英シングルランキングでも女性アーティストが活躍し、マイリー・サイラス(Miley Cyrus)の世界的ヒット曲「Flowers」を首位に、女性アーティストらの曲がトップ5を占めている(The Official Charts)。
BPIのCEO、Dr Jo Twist OBEは次のように声明を発表している。「全英シングル・チャートで初めて女性ソロアーティストが上位6位にランクインしたことは素晴らしいことです。こうした躍進の表れが、例外的なものではなく、一般的なものになることを私たちは望んでいます。 今のところ、これは私たちが祝うべき画期的な出来事であり、イギリスの女性アーティストや複数のジャンルを代表する世界中の女性アーティストが主役となっている音楽市場の1年を反映しています。」
■ 今週の全英シングルチャート Top 10
# | 曲 | アーティスト | |
---|---|---|---|
1位 | +1 | What Was I Made For? | ビリー・アイリッシュ Billie Eilish |
2位 | +1 | Dance the Night | デュア・リパ Dua Lipa |
3位 | +1 | Vampire | オリヴィア・ロドリゴ Olivia Rodrigo |
4位 | +3 | Cruel Summer | テイラー・スウィフト Taylor Swift |
5位 | +1 | (It Goes Like) Nanana | ペギー・グー Peggy Gou |
6位 | 初 | Bad Idea Right? | オリヴィア・ロドリゴ Olivia Rodrigo |
7位 | -2 | Barbie World | ニッキー・ミナージュ / Nicki Minaj アイス・スパイス / Ice Spice アクア / Aqua |
8位 | +1 | Disconnect | ベッキー・ヒル / Becky Hill チェイス・アンド・ステイタス / Chase & Status |
9位 | +3 | Desire | カルヴィン・ハリス / Calvin Harris サム・スミス / Sam Smith |
10位 | -9 | Sprinter | Dave & Central Cee |
※2023年8月24日付
※【出典】”The Summer of Girl Power continues as female solo artists, led by Billie Eilish, set new Official Chart record” / The Official Charts
■ 全英シングルチャート 2023年上半期 Top 10
# | 曲 | アーティスト |
---|---|---|
1位 | Flowers | マイリー・サイラス Miley Cyrus |
2位 | Escapism. | レイ / RAYE feat. 070シェイク / 070 Shake |
3位 | Kill Bill | シザ SZA |
4位 | Boy’s a liar | ピンクパンサレス PINKPANTHERESS |
5位 | Anti-Hero | テイラー・スウィフト Taylor Swift |
6位 | Calm Down | レマ Rema |
7位 | Miracle | カルヴィン・ハリス / Calvin Harris エリー・ゴールディング / Ellie Goulding |
8位 | People | リビアンカ Libianca |
9位 | As It Was | ハリー・スタイルズ Harry Styles |
10位 | Sure Thing | ミゲル Miguel |
※【出典】”The Official Top 40 Biggest Songs of 2023 so far” / The Official Charts