笑いあり涙あり、映画『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』劇中歌が反響


2560 1440 VOICE Editor

毎年ヨーロッパ諸国を中心とした国々の代表が頂点をかけて戦う世界最大級の歌コンテスト『ユーロビジョン・ソング・コンテスト』(Eurovision Song Contest)。第二次世界大戦後のヨーロッパを再建し、音楽を通じて国々を一つにするため1956年に7カ国で始まったユーロビジョンは、その後規模を拡大し、オーストラリアを含め40カ国以上が参加。ABBA(アバ)は1974年スウェーデン代表として、セリーヌ・ディオン(Celine Dion)は1988年スイス代表として優勝を果たし、その名を世界に広めた。ジャンルと言語を超えた型破りの多彩な音楽、各国の多様な文化・価値観が織りなす華やかなライブ・パフォーマンスで世界中の人々を楽しませ、2019年大会のグランド・ファイナルではTV視聴者数だけでも世界1億8000万人を超えた(EBU)。

65回目を迎えた今年は、残念ながら新型コロナウイルスの影響により史上初めて中止となったが、そのユーロビジョンを題材にウィル・フェレル、レイチェル・マクアダムスら豪華キャストで贈るNetflixオリジナル・ラブコメディ映画『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』(原題:Eurovision Song Contest: The Story of Fire Saga)が先月26日より配信開始(Netflix)。アメリカ製作らしいユーロビジョンのパロディが散りばめられ、笑いを誘いながらも想定外の感動をもたらす。なかでもオリジナルの劇中歌が一段と光彩を添え、観終わった後にサントラを何度も聴きたくなるエンターテインメントに仕上がっている。なお実際のユーロビジョンのルール・進行とは異なる部分もある。

アイスランドの小さな街フーサヴィーク(Húsavík)に住むラーズは、幼馴染の親友シグリットとファイア・サーガ(Fire Saga)というバンドを組み夢を追い続けてきた。ラーズのたった一つの夢は、ユーロビジョンで優勝し世界に羽ばたくこと。しかしその夢は父親からも理解されず、中年になったラーズはその夢を叶えずにいた。失敗続きのファイア・サーガだったが、奇跡的にも2020年ユーロビジョンのアイスランド代表に選出される。夢を叶えるため千載一遇のチャンスに全てをかける二人は、波乱に満ちた舞台に挑む──。

監督は『シャンハイ・ナイト』(2003)、『ウェディング・クラッシャーズ』(2005)のデヴィッド・ドブキン(David Dobkin)。ラーズ役には『エルフ 〜サンタの国からやってきた〜』(2003)のウィル・フェレル(Will Ferrell)、シグリット役には『きみに読む物語』(2004)のレイチェル・マクアダムス(Rachel McAdams)。ラーズの父親エリック役にピアース・ブロスナン(Pierce Brosnan)、ロシア代表アレクサンダー役に『美女と野獣』(2017)のダン・スティーヴンス(Dan Stevens)。ブロンドの歌姫カティアナ役にデミ・ロヴァート(Demi Lovato)

映画公開とともにサントラ『Eurovision Song Contest: The Story of Fire Saga (Music from the Netflix Film)』(ダウンロード版)がリリース(2020年6月26日)。今年5月にリリースされたリード・シングル「Volcano Man」をはじめ、「ユーロビジョンっぽい」と思わせるヨーロッパ的なオリジナル曲が多数収録。なかでもクライマックスで演奏されるピアノ・バラード「Husavik」が深い感動を呼び反響を呼んでいる。ラーズとシグリットの故郷フーサヴィークがタイトルに刻まれた同曲はシグリットの想いが詰まった一曲、グランド・ファイナルで圧巻の歌声を響かせる。その劇中シーンによるミュージック・ビデオが今週公開された(※ネタバレ含む)。

(バース1)「一人きり/この素晴らしき広大な世界に/しかしそれは全て他の誰かのもの/頑張ってきた、何度も何度も/あなたに私の気持ちを伝えるため/偽りのない真実を伝えるため」、「私に必要だったことは、立ち去ることだけ/とどまるべきだったと知るために」(コーラス)「カモメの鳴き声に歌う山々/人々は心優しくクジラが生きられる場所/私の故郷、私の故郷/もう一度言わなきゃだめ?/今までもずっとそこにあった、ただ見ていなかっただけ/私が望むのは、あなたと私、そして故郷だけ」、「あなた一緒にいること、あなたと二人で/スキャゥルファンディ湾のフーサヴィークに/私の故郷

(バース2)「あなたは世界を望む/ネオンのライトと広告板が溢れる世界で/注目を浴びるため/そんなあなたについてきた/でも今はわかる、自分にとって本当の幸せは何か/あなたも気づいているはず」(コーラス)「カモメの鳴き声に歌う山々/人々は心優しくクジラが生きられる場所/私の故郷、私の故郷/オーロラ爆発の光彩が降り注ぎ/魔法の夜が全てを包み込む/心から望むたった一つのことは」、「あなた一緒にいること、あなたと二人で/スキャゥルファンディ湾のフーサヴィークに/私の故郷、私の故郷」
アイスランド語

グランド・ファイナルの歌声は、スウェーデンのポップ・スター、モリー・サンデーン(Molly Sandén)の歌声とレイチェル・マクアダムスの声をミックスしたものだといい、同サントラを手がけるヒットメーカーSavan Kotechaは「二人の声のトーンはとてもよく合っていた」とVanity Fairに語る。実際にはほぼモリー・サンデーンの歌声で、「14歳の頃のリベンジのように感じたわ」とサンデーン。サンデーンは14歳の頃、ユーロビジョンの子ども版となる2006年『ジュニア・ユーロビジョン・ソング・コンテスト』でスウェーデン代表を務め第3位、現時点でスウェーデンの史上最高記録となっている。その後ユーロビジョンの強豪国スウェーデン代表を決める全国大会「Melodifestivalen」(メロディーフェスティバーレン)に3度出場を果たし活躍、いずれも優勝を逃しているが美しいスカンジナビアン・ポップで人気を集める。

子供の頃いじめにあっていたサンデーンは学校から帰ると地下室でセリーヌ・ディオンの「All by Myself」を歌い、どこまで高域を伸ばせるか練習していたという。「地下室で初めてうまくいった時、すごくハッピーだった。星が輝き、まるで黄金やキラキラが天井から降ってくるようだったわ」、「今振り返ると、あの星やキラキラは酸欠ね。でもあの時はこう思ったわ、これが私の運命。これが私の生きる目的だって」。「Husavik」でユーロビジョンに夢中になり練習していた子供の頃の原点に戻るサンデーンは「この曲は本当のユーロビジョンで優勝できる曲だと思うわ」。「Husavik」はシグリットが作曲するシーンでも歌われ、この時はレイチェル・マクアダムスが歌っている。

本作にはユーロビジョン・スターも数多くカメオ出演し、2019年スウェーデン代表ジョン・ルンドヴィック(John Lundvik、記事)、2019年モルドバ代表Anna Odobescu、2019年フランス代表Bilal Hassani、2012年優勝スウェーデン代表ロリーン(Loreen)、2010年フランス代表Jessy Matador、2009年優勝&2018年ノルウェー代表アリャクサンドル・ルィバーク(Alexander Rybak)、2016年優勝ウクライナ代表ジャマラ(Jamala)、2018年エストニア代表Elina Nechayeva、2014年優勝オーストリア代表コンチータ・ヴルスト(Conchita Wurst)、2018年優勝イスラエル代表ネッタ(Netta、記事)らが出演。また2017年優勝ポルトガル代表サルヴァドール・ソブラル(Salvador Sobral、記事)が路上ライブで出演し、サントラには彼の優勝曲「Amar Pelos Dois」も収録。またユーロビジョンのBBC名物コメンテーターのグラハム・ノートン(Graham Norton)が出演している。この夏、笑顔と感動を届ける『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』は以下より配信されている。

Netflix – ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜

『Eurovision Song Contest: The Story of Fire Saga』トラックリスト
1「Double Trouble (Tiësto’s Euro 90s Tribute Remix)」by Will Ferrell, My Marianne, Tiësto
2「Lion Of Love」by Erik Mjönes
3「Coolin’ With Da Homies」by Savan Kotecha
4「Volcano Man」by Will Ferrell, My Marianne
5「Jaja Ding Dong」by Will Ferrell, My Marianne
6「In The Mirror」by Demi Lovato
7「Happy」by Will Ferrell, My Marianne
8「Song-A-Long: “Believe”, “Ray Of Light”, “Waterloo”, “Ne Partez pas Sans Moi” and “I Gotta Feeling”」by Cast
9「Running With The Wolves」by Courtney Jenae, Adam Grahn
10「Fool Moon」by Anteros
11「Hit My Itch」by Antonio Sol, David Loucks, Taylor Lindersmith, Nicole Leonti
12「Come And Play (Masquerade)」by Petra Nielsen
13「Amar pelos Dois」by Salvador Sobral
14「Husavik (My Hometown)」by Will Ferrell, My Marianne
15「Double Trouble (Film Version)」by Will Ferrell, My Marianne
16「Eurovision Suite」by Atli Örvarsson

関連記事

新着記事

洋楽最新情報をフォロー