ユーロビジョン2023　🇸🇪スウェーデン代表ロリーン、新曲「Tattoo」で2度目の優勝　女性歌手史上初

今年は「United By Music」（音楽で結束）をスローガンに37か国が参加、国を代表するアーティストたちがオリジナルソングで競い合う世界最大の音楽コンペティション番組『ユーロビジョン・ソング・コンテスト2023』（Eurovision Song Contest 2023）の決勝戦が、前大会優勝国ウクライナに代わってイギリスのリヴァプールにあるリヴァプール・アリーナ（M&S Bank Arena Liverpool）で先ほど現地時間2023年5月13日（土）に開催された。

決勝に進んだ26か国が熱戦を繰り広げ、2012年大会の優勝者で今大会一貫して優勝最有力候補となっていた🇸🇪スウェーデン代表ロリーン（Loreen、39歳、本名Lorine Zineb Nora Talhaoui）が、代表曲「Tattoo」のエモーショナルな歌唱とアーティスティックなダンスのパフォーマンスで魅了、各国の審査員票で首位（340ポイント）、各国の視聴者票で第2位（243ポイント）、計583ポイントで首位となり、歴史的な優勝を果たした。

1956年に始まり67回目を迎えたユーロビジョンで代表シンガーが2度の優勝を果たすのは、アイルランド代表シンガーとして1980年大会及び1987年大会で優勝したジョニー・ローガン（Johnny Logan）以来36年ぶり。ロリーンが史上2人目で、女性の代表シンガーとしては史上初となる。またスウェーデンが優勝するのは8年ぶりで7度目の優勝（1974年、1984年、1991年、1999年、2012年、2015年）となり、歴代最多優勝記録を保持するアイルランドの記録と並んだ。

「ヴァイオリンが鳴り響き、天使たちが涙を流す／星々に導かれ巡り合うその時、私はあなたのそばにいる──」ユーロビジョン2012年大会で優勝、一夜で人生を変えた世界的ヒット曲「Euphoria」から11年。

自分でも考えていなかったという運命の導きで世界最大の舞台に再び立ち、切なく熱い愛のアンセムで新たな歴史を刻んだロリーンは、スウェーデンとウクライナの同じ青と黄色のフラッグカラーで彩られたステージに上がり、ウクライナ代表カルッシュ・オーケストラ（Kalush Orchestra）から優勝のマイク・トロフィーが授与された。感極まるロリーンはその優勝スピーチで、「胸がいっぱいです。とても幸せです。心から感謝しています。この賞をいただき本当に皆さんありがとうございます、この賞を皆さんに捧げます。ありがとうございます」と興奮、喜び、感謝の気持ちを語った。

ユーロビジョンで好成績を収め続けているポップ大国スウェーデンの代表の選抜は、ユーロビジョンさながらの投票形式で開催されるスウェーデンの国民的番組「メロディーフェスティバーレン」（Melodifestivalen）で決まり、第63回目を迎えた今年3月、自身4度目の挑戦となるロリーンが新曲「Tattoo」でメロディーフェスティバーレンの激戦を制して優勝。自身2度目となるユーロビジョンのスウェーデン代表権を獲得した。

「Euphoria」とともに世界中にその歌声を知らしめたロリーンが、2度目の優勝というユーロビジョン史上女性アーティスト初となる歴史的記録に挑んだ今大会。その代表曲「Tattoo」（Universal Music Sweden）は、母国スウェーデンの公式シングルチャートで既に4週連続の首位を獲得（2023年3月3日付-24日付）。優勝への期待と重圧の中で、ユーロビジョンの歴代優勝曲の中でも特に人気・評価ともに高い「Euphoria」をも”超えた”と大会前から既に大きな支持を集めた「Tattoo」では、別れの痛みと苦悩から永遠に刻む”きずな”と希望を見出す力強い愛の形を繊細にもダイナミックに描く。

（バース1）
I don’t wanna go
離れたくない
But baby, we both know
でもお互いにわかっている
This is not our time
今は一緒にいられないと
It’s time to say goodbye
お別れを言うとき
Until we meet again
また会うその日まで
‘Cause this is not the end
これが最後なんかじゃないから
It will come a day
その日がきっと来る
When we will find our way
報われる日が

（プリコーラス）
Violins playing and the angels crying
ヴァイオリンが鳴り響き、天使たちが涙を流す
When the stars align then I’ll be there
星々に導かれ巡り合うその時、私はあなたのそばにいる

（コーラス）
No, I don’t care about them all
何もかも大切なわけじゃない
‘Cause all I want is to be loved
望むのは、あなたの愛だけだから
And all I care about is you
大切なのは、あなたのことだけだから
You’re stuck on me like a tattoo
あなたはまるで私のタトゥー
No, I don’t care about the pain
いいえ、痛みなんか気にしない
I’ll walk through fire and through rain
炎の中も雨の中も、私は歩いていく
Just to get closer to you
ただあなたと近くなるために
You’re stuck on me like a tattoo
あなたはまるで私のタトゥー

哀感が漂う歌声の始まりから躍動感とエネルギーに満ちた熱唱と哀哭が入り交じるドラマティックな進行のエレクトロ・ポップ「Tattoo」。その音楽プロデューサーには、「Euphoria」を手がけたスウェーデンの音楽プロデューサーPeter Boström、「Euphoria」のコー・ライターでもあるスウェーデンのソングライターThomas G:son、そしてハンナ・ファーム（Hanna Ferm）の「Brave」の音楽プロデューサー兼コー・ライターでもあるスウェーデンのシンガーソングライターJimmy Jansson。

「Tattoo」のソングライターには、メロディーフェスティバーレンの数々のヒット曲を手がけてきた彼らに加えて、Jimmy Joker、Cazzi Opeia、そしてロリーンが参加。「Euphoria」のサウンドを受け継ぎトランスの要素を加えながら、トレンドのハイスピード・サウンドと、ロリーンのルーツであるアトラス山脈のモロッコ遊牧民文化と伝統音楽のタッチを加え、ノスタルジックでありながらも力強く現代的なナンバーに仕上げた。

ステージには前代未聞となる上下に巨大なLEDスクリーン2台を設置。「自分が最も強さを感じる服装といえば?それは裸ね」とファッション誌Vogue Scandinaviaで明かすロリーンは、自身のルーツを組み込みながら裸にも見える衣装で挑み、自然を象徴する映像や神秘的なシンボルを映したスクリーンに挟まれながら一体化する独創的なダンスを披露。リスナーの感情の扉の鍵を開くエモーショナルな歌唱で、「Tattoo」をその人生観、自然観、宇宙観とともに表現する。

ロリーンはTelegrafiで「Tattoo」について次のように語る。「この曲は、愛についての歌です。愛のために闘う歌で、真実の深い愛には、ちょっとした闘いを厭わず、いつも幸せなことだけじゃないと理解する必要があることを歌っています。いつも美しいわけじゃない。暗闇の困難が必要なときもある」、「だからこの歌にこういう詞があります、”炎の中も雨の中も、私は歩いていく／ただあなたに近づくために”。ですので、この歌は愛のために闘う愛の歌です」。

「Euphoria」と「Tattoo」についてロリーンは「陰陽の関係」と位置づけ、次のように語る。「”Euphoria”はとても内向的で」、「それはとてもダークで神秘的であり、すべてが非常に内密的に進んでいきます。 “Tattoo”はその逆です。 とても明るく、エネルギー的には多くの点で正反対です。 “Euphoria”が月光だとしたら、”Tattoo”は太陽、ともいえます」、「これらのエネルギーはどちらも非常に重要ですが、”Tattoo”の方がより開放的です。 それは強さの歌であり、それは愛と希望の歌です。 それは私たちの中にあるものであり、今日私たちがこれまで以上に必要としているものなのです。」

準優勝🇫🇮

準優勝は、優勝予想で大会前からスウェーデンに次ぐ人気となっていた🇫🇮フィンランド代表のKäärijä（カリヤ）による今大会最も大胆なハイパーポップ・ラップ「Cha Cha Cha」。フィンランドは審査員票で伸び悩み第4位（150ポイント）となったが、視聴者票で第1位（376ポイント）となり、計526ポイントで準優勝となった。

第3位🇮🇱

第3位にはセクシーなダンスで魅せる🇮🇱イスラエル代表、22歳のポップ・センセーション、Noa Kirel（ノア・キレル）のメロディアスでパワフルなダンスナンバー「Unicorn」、審査員票でスウェーデンに次いで第2位（177ポイント）を獲得、視聴者票で第5位（185ポイント）となり計362ポイントで総合第3位となった。

第4位には🇮🇹イタリア代表Marco Mengoniの「Due vite」（350ポイント）、第5位には🇳🇴ノルウェー代表Alessandraの「Queen of Kings」（268ポイント）。前大会優勝国🇺🇦ウクライナはTvorchiの「Heart of Steel」で第6位（243ポイント）、前大会準優勝国🇬🇧イギリスはメイ・ミュラー（Mae Muller）の「I Wrote a Song」で第25位（24ポイント）となった。

決勝ライブ配信

4時間にわたる豪華スペクタクルなショーとなったグランドファイナル、そのオープニング・シーンでは収録映像でカルッシュ・オーケストラの「Stefania」にのせ前大会準優勝者サム・ライダー（Sam Ryder）、ミュージカル界の巨匠アンドルー・ロイド・ウェバー（Andrew Lloyd Webber）、ジョス・ストーン（Joss Stone）らが豪華ゲストが出演、キャサリン皇太子妃の優美なピアノ演奏も披露された。キャサリン皇太子妃の演奏は今月、ウィンザー城のクリムゾン・ドローイング・ルーム（Crimson Drawing Room）で収録されたという。

グランドファイナルは、カルッシュ・オーケストラのエネルギッシュなステージ・パフォーマンスでライブ・ショーの幕を開けた。インターバル・アクトでは、サム・ライダーはクイーン（Queen）のドラマー、ロジャー・テイラー（Roger Taylor）を迎え新曲「Mountains」を披露。開催地リヴァプールに捧ぐ「Liverpool Songbook」（リヴァプール唱歌集）ではユーロビジョン・スターが次々に登場し、Mahmoodはジョン・レノン（John Lennon）の「Imagine」(1971)、ネッタ（Netta）はデッド・オア・アライヴ（Dead or Alive）の「You Spin Me Round (Like a Record)」(1984)、Daði Freyrはアトミック・キトゥン（Atomic Kitten）の「Whole Again」(2001)、Cornelia Jakobsはメラニー・C（Melanie C）の「I Turn To You」(2000)を披露。

「Liverpool Songbook」の最後にはダンカン・ローレンス（Duncan Laurence）が1945年ミュージカル『回転木馬』よりリヴァプールFCのアンセムとしても知られる「You’ll Never Walk Alone」を披露、幻想的なアリーナは出演者と観客の歌声で溢れ一つになり、ウクライナの国旗も映し出されるなか、絆と希望の歌を力強く歌う人々の歌声に包まれた。

ユーロビジョン2024はスウェーデンで開催される。ABBAが1974年大会で「恋のウォータールー」（Waterloo）で優勝してからちょうど50周年記念となる。

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