AGT2022 13歳サラ・ジェームズ、ビリー・アイリッシュの曲でサイモン・コーウェルのゴールデンブザー


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賞金100万ドル(約1億3,500万円)とラスベガスのヘッドライン・ショー、才能の頂をかけた戦いが今年も開幕。全米屈指の高視聴率番組・NBC才能オーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』(原題:America’s Got Talent)シーズン17の第3週が日本時間の今日(現地時間2022年6月14日)放送され、収録当時13歳、夢を追いポーランドからやってきた歌手サラ・ジェームズ(Sara James)が製作総指揮/審査員サイモン・コーウェル(Simon Cowell)のゴールデンブザーを獲得した。

笑顔を見せステージに登場したサラ。サイモン・コーウェルから出身を聞かれ、「ポーランドから来ました」。「そうか、私もポーランドの祖先がいるんだ」とサイモン。「私もだよ」とカナダ出身の審査員ホーウィー・マンデル(Howie Mandel)。ポーランドで盛り上がる。サイモンは「じゃあ私たちはどこかで繋がっているかもね」、サラは「そうね、それは…(笑)」

「アメリカズ・ゴット・タレントの出場を決めた理由は?」と聞かれ、サラは「小さい頃、私はYouTubeでいつもこの番組を観ていて感動していました。アメリカは夢が叶う国だと言っていたので、本当かどうか確かめに来ました。ふふ(笑)」

「気に入ったよ」とサイモン。「年齢はいくつ?」と聞かれ、「13歳です」。「13歳?ホント?!」と驚く審査員ハイディ・クルム(Heidi Klum)と審査員ソフィア・ベルガラ(Sofia Vergara)。「シンガーだね?歌う曲とその理由を教えてくれる?」とサイモンに聞かれ、「ビリー・アイリッシュの”Lovely”です」。「そうか」とサイモン。サラは「とてもエモーショナルな曲です。感情に満ちた詞で、皆さんが気に入ってくれることを願っています」。サイモンは「何だかいい予感がするよ」、「幸運を祈る」。ステージで準備する彼女の姿を見てサイモンは「緊張しているな」、「13歳よ」とハイディ。「まだ子どもですもの」。

ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)の曲が劇場に流れると、憂いに満ちた重く深い歌声で歌い始める。「そう思っていた/出口を見つけたと/でも消え去ることはない/だから今は、耐えねばならないのね」Netflixドラマ『13の理由』(13 Reasons Why)シーズン2のサントラ曲となっているカリード(Khalid)との「Lovely」(2018)。心の痛み、孤独、鬱との葛藤を描く。

「Oh、いつの日か乗り越えてみせる/たとえ夜を明かし、100年かかっても/隠れ場所がほしい、でも近くにはない/生きていると感じたい、外では自分の恐怖に抗えない」、「ステキじゃない?独りきり/グラスのこころ、かたいイシ/私を粉々に砕く、皮と骨に/こんにちは、おかえりなさい」、「Oh、いつの日か乗り越えてみせる/たとえ夜を明かし、100年かかっても」、「Da、da、da、da、da、da、da」、「こんにちは、おかえりなさい」

傷心と悲痛、絶望と希望、闘い抜く決意を歌い、その全ての感情を注ぐ。「おかえりなさい」その言葉で終えると、劇場はスタンディングオベーションと歓声で溢れ、サイモン以外の全ての審査員が立ち上がり拍手喝采を送った。

これまでビリー・アイリッシュの音楽は「好きじゃないと」と語り、時には選曲ミスだと辛辣なジャッジもしてきたサイモンは、「サラ、サラ、サラ」、「何年も我々は数多くのシンガーの歌声を聴いてきたが、驚いたよ」。「パーフェクトではなかったが、本物のスターの輝きを君は持っている」。「本当にありがとうございます」とサラ。サイモンは「サラ、アメリカは初めてかい?」、「そうです」とサラ。「アメリカの観客を前にして歌うのは、きっと言葉にできない気持ちだろう。君はここで歌うことを夢見てきただろうから」。「そうです」とサラは目を輝かせる。

サイモンはそんな彼女と自分の過去を重ねる。「初めてアメリカに来た時のことを思い出すよ。20年前のことだが一生忘れない瞬間だ」、そしてサイモンは「私はこの瞬間を君にとって永遠のものにしたい」とゴールデンブザーを叩いた。夢を追いポーランドから海を渡った少女は黄金の紙吹雪の中、ステージで母親と抱き合いその腕の中で涙。「サラ、サイモン・コーウェルからゴールデンブザー!ライブショー進出決定だ!」、「もう一度盛大な拍手を!」と司会のテリー・クルーズ(Terry Crews)。準々決勝進出が決まった(※追記、今シーズンからライブショーは準々決勝がなくなり、予選→決勝に変更された)。ゴールデンブザーのBGMには、AGTシーズン11優勝者でもあるグレース・ヴァンダーウォール(Grace VanderWaal)の曲「Clearly」が流れる。

鳴り止まぬ歓声にサラは舞台で「本当に本当にありがとうございます」と涙ながら語った。ステージ裏でサラは「心から感謝しています。とても恐縮です」。サイモンは「ライブショーで会おう」とハイタッチ。数々のスターを生んできた音楽プロデューサーは今年、アメリカ人ではなく外国人の13歳に最高評価を送った。

Sara James

ポーランド西部、ドイツとの国境近くの小さな町オシノ・ルブシュ出身のサラ・ジェームズは現在14歳(2008年6月10日生まれ)、ヨーロッパでは知名度の高いシンガーである。ナイジェリア人の父親とポーランド人の母親の間に生まれ、音楽豊かな家庭で育ったサラは、6歳の頃からピアノを習い始め、3、4歳の頃から歌い始めたという歌声を磨き続けた。力強い女性像に憧れ、ビヨンセ(Beyoncé)、 リアーナ(Rihanna)、ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)らから強い影響を受ける(Spotify – Instagram)。

2021年、当時12歳で出場したポーランド版のキッズ歌オーディション番組『The Voice Kids』シーズン4で類まれな歌声を響かせ優勝。世界最大の歌コンペティション番組『ユーロビジョン・ソング・コンテスト』(Eurovision Song Contest)の子ども版『ジュニア・ユーロビジョン・ソング・コンテスト』(Junior Eurovision Song Contest)の2021年ポーランド代表を決める全国大会では、セリーヌ・ディオン(Céline Dion)の「My Heart Will Go On」など年齢離れした歌声で歌い優勝を果たし、大会唯一の連覇記録(2018年&2019年)を持つポーランド代表に選ばれる。

当時13歳、2021年12月19日にパリで開催された『ジュニア・ユーロビジョン・ソング・コンテスト2021』(Junior Eurovision Song Contest 2021)でサラは、ポーランド語と英語のバイリンガル曲「Somebody」を歌い、アルメニア代表との接戦の結果、準優勝となった。Jrユーロビジョンで音楽キャリアをスタートさせたサラは、Universal Music Polska(ユニバーサル ミュージック ポーランド)からミニ・アルバムをリリースしている他、先月には新曲「My Wave」をリリース、昨日そのミュージック・ビデオが公開されている。

People誌でサイモン・コーウェルは彼女へのゴールデンブザーを次のように振り返る。「サラ・ジェームズにゴールデンブザーを押したのは、彼女がまさにスターだと感じるからだ。夢は叶うものか、それを知るべく彼女はAGTのオーデションを受けるため海を渡った。それは20年前の自分が思っていたこととまさに重なる」。「サラ・ジェームズに我々審査員全員が同じことを考えていたんだ」、「(ゴールデンブザーを)押せる審査員は3人。みんながゴールデンブザーを押す用意をしていたと思う。彼女の歌は実に素晴らしいものだった」。

『ジュニア・ユーロビジョン・ソング・コンテスト』出身のアーティストがAGTに出場するのは、ダネリヤ・トュレショヴァ(Daneliya Tuleshova / Данэлия Тулешова)に続いてサラ・ジェームズが2人目となる。ダネリヤは2020年のシーズン15でファイナリストとなった。シーズン17オーディション・ラウンド第4週は、日本時間の来週6月22日に放送される。

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