今年で63回目となった世界最大の欧州音楽コンテスト「ユーロビジョン2018」(Eurovision Song Contest 2018)グランド・ファイナルが、現地時間5月12日、ポルトガルの首都リスボン、アルティス・アリーナ(アトランティコ・パビリオン)にて開催されました。
史上最多タイ世界43カ国から、グランド・ファイナルに進んだ26ヶ国の代表が激突。2億人を超える各国の視聴者に見守られ、大会前から圧倒的人気を集め今大会の顔となっていたイスラエル代表25歳ネッタ(Netta Barzilai)「Toy」と、大会中に優勝最有力候補に上り詰めたキプロス代表31歳エレニ・フーレイラ(Eleni Foureira)「Fuego」の熾烈な闘いとなるなか、審査員票及び視聴者票の合計最高得点529ポイントを獲得したイスラエル、ネッタが勝負を制し、優勝を飾りました。
ピカチュウでファンらから祝福されるなか、受賞スピーチでイスラエルのポップ・スターは「違いを選んでくれて本当にありがとう。違いを受け入れてくれて本当にありがとう」。「多様性を祝福してくれてありがとう。愛してるわ、イスラエル!」
#MeTooムーブメントにインスパイアされたというガールズ・パワー・アンセム「Toy」では、「私はあなたのオモチャじゃないわ/このおバカちんが/あなたを押し倒して/あなたに見せるわ/人形と踊ってる私を」。
同曲についてネッタは「この曲はみんなを奮い立たせる歌だわ、自分自身と葛藤している人、上司、政府、自分を踏みつける人と闘っている全ての人のための歌だわ」。その”政府”のイスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフは、SNSで今回の優勝を受けて「ネッタ、君は本当に素晴らしいよ」、「イスラエルに大きな誇りをもたらしてくれたよ」。
強烈なインパクトのエレクトロ・ポップ曲の歌詞では「私はピカチュウを家に連れて帰るわ」、ステージには眩い黄金の無数の招き猫が福を呼ぶなか、「女性のみんな、忘れちゃダメよ/あなたはとても素晴らしい存在よ/カレは後悔するわ/カレは、Bucka-mhm-buck-buck-buckよ」。前代未聞のパンチのあるサウンドと一風変わった”チキン”ダンスのパフォーマンスでヨーロッパを沸かせます。
41回目の参加となるイスラエルは、今回で4度目の優勝。1978年、1979年、1998年に続く快挙で、その1998年ユーロビジョンでは、ダナ・インターナショナル(Dana International)が代表曲「Diva」で史上初めてトランスジェンダーとして優勝。それから20年ぶりの優勝となります。
第2位には、炎のダンス・パフォーマンスとエネルギッシュなダンス・ソングで沸かせたキプロス代表、ギリシャの31歳エレニ・フーレイラ(Eleni Foureira)英語曲「Fuego」。『アメリカン・ダンスアイドル』のギリシャ版ダンス番組では審査員を務めた“ポップ女王”(The Queen of Pop)、ネッタが”ラリったビョーク”と言われるなか、エレニは今大会の”ビヨンセ”なパフォーマンスで、グランド・ファイナルを盛り上げました。
イギリス代表スーリー(SuRie)「Storm」のパフォーマンス中には、ステージに男(活動家でラッパーのDrACactivism)が乱入し、マイクを奪い、「ナチス」と叫ぶアクシデントも。セキュリティに取り押さえられると、スーリーはそのまま続行、そのパワフルなパフォーマンスに「なんてプロフェッショナルだ」、「鳥肌が立ったままだった」という声も寄せられました。公式版ではライブ配信動画は削除され、現在別の映像に差し替えられて配信されています。順位は24位となりました。
ハンガリーのヘヴィメタルから、エストニアによるオペラ・ポップまで多種多様なジャンルの音楽で沸かせた今回のユーロビジョン2018。来年は、今年の優勝国、イスラエルで開催されます。
なおグランド・ファイナルの全映像、各国代表パフォーマンス映像は以下の通りです。
グランド・ファイナル全映像
優勝 イスラエル
2位 キプロス
3位 オーストリア
4位 ドイツ
5位 イタリア
6位 チェコ
7位 スウェーデン
8位 エストニア
9位 デンマーク
10位 モルドバ
11位 アルバニア
12位 リトアニア
13位 フランス
14位 ブルガリア
15位 ノルウェー
16位 アイルランド
17位 ウクライナ
18位 オランダ
19位 セルビア
20位 オーストラリア
21位 ハンガリー
22位 スロベニア
23位 スペイン
24位 イギリス
※決勝パフォーマンスでは、アクシデントがあったため、別の映像に差し替えられたもので配信されています。アクシデントのあったライブ動画はBBCで配信(以下の動画)。