完全復活、エミネム最新アルバム『Recovery』が早くも今年第2位のセールス記録に


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米ビルボード・アルバム総合ランキング「Billboard 200」で初登場第1位を記録して以来、現在断続的に第7週第1位を記録(※2010年8月28日付現在)している米人気ラッパーのエミネム(Eminem)の7thスタジオ・アルバム『Recovery』(リカバリー)が早くも210万枚のセールスを超え、米カントリー・デュオ・グループ、レディ・アンテベラム『Need You Now』(2010.1)の250万枚に次いで、今年のアルバム・ランキング第2位の記録に到達したとのことです(Nielsen SoundScan調べ)。また「Billboard 200」で7週第1位を記録したのは過去2年間の中では初めての記録とのことです。

【記事】”Eminem returns to No. 1 on Billboard 200 chart, album goes double platinum” on EW.com
【記事】”Eminem’s in Seventh-Week Heaven Atop Billboard 200” on AOL Radio

上記の動画は、そのアルバムからの2ndシングル『Love the Way You Lie』(featuring Rihanna)で現在2010年8月28日付米ビルボード・シングル総合ランキング「HOT 100」で第5週連続第1位を記録している大ヒット・ナンバー。ドメスティック・ヴァイオレンスの中で愛に翻弄される二人をメロディアスなリアーナのコーラスと暴力的なエミネムのバースで描いた楽曲。

『Love the Way You Lie』の曲の内容
About “Love the Way You Lie”

恋に落ち同棲し愛し合う二人だったが、やがてお互いに精神的にそして肉体的に互いを傷つけ苦しめあうようになる。暴力がエスカレートする中、彼の元を去ろうとする彼女だが、二度と傷つけない彼の約束に心を動かされ、彼の元に戻る。しかし暴力は耐えることなく、守られることのない約束と知りながらも、暴力と愛が交錯する混沌と化した関係のなかで、互いに自分自身をそして二人の関係を見失った二人は、壊れたレコードのように、終わりのない愛に引き込まれそれを繰り返していくことになる。

エミネムの攻撃的で荒々しく暴力的なバースと、リアーナの悲しくも自分の愛する気持ちに背くことのできないメロディアスなコーラスという対照的な構成が、この切なくも暴力と愛が交錯した複雑な情愛を見事に描いたバラード・ソングになっているといえそうです。

海外では非常に賛否両論の強いラストの歌詞ですが、この曲の内容を象徴するものとなっておりますので、一部和訳してみました。

Eminem
「もしおまえが俺の元からもう一度離れようとするものなら、おまえをベッドに縛りつけ、この家ごと燃やしてしまおう」。

Rihanna
「ただそこに立って私が燃えるのを見ていてよ。
でもそうね、私はそうやって傷ついているのが好きなのだから。
ただそこに立って私が涙を流す姿を見ていてよ。
でもそうね、私はあなたが嘘をつく姿を愛してしまったから。
あなたが嘘をつく姿を愛してしまったから。
あなたが嘘をつく姿を愛してしまったから。」

ちなみに、リアーナの海外ファンの中にはこの楽曲をクリス・ブラウンのDV事件と重ねてみるファンもいるようです。

『Love the Way You Lie』のPV動画
About the Music Video of the “Love the Way You Lie”

このPV動画で恋人役を演じているのは、映画『トランスフォーマー』シリーズ(1、2)のヒロイン役で「世界で最もセクシーな女性」としても知られる米ハリウッド女優ミーガン・フォックスMegan Fox、以下「メイガン」)と、米人気TVドラマ『LOST』の英人気俳優ドミニク・モナハン(Dominic Monaghan)。PVとしては物凄い豪華な顔ぶれで正直驚いてしまいましたが、またYouTubeでのこのPVの動画再生回数も半端でありません。リリース(2010年8月5日)から現在約2週間ですが、再生回数が既に5000万回を超えているようです。動画コメントでこの記録はYouTube史上初との指摘をされている方もいるようで、真偽は定かではありませんが、これほど注目度の高いPVは数少ないのではないかと思います。視聴ユーザーはイスラム圏と南アフリカの一部を除くほぼ全世界中からのアクセスとなっており、もっともに人気のあるユーザー層は女性で13~17歳という意外な結果となっているようです。

PVの内容は、この楽曲の歌詞を表現した内容となっていますが、PVのラストで再び最初のシーンの前に戻るという構成は、リリックで「’cause today, that was yesterday. Yesterday is over. It’s a different day. Sound like broken records playin’ over」とあるように、この曲の中心的テーマとなっている螺旋的に混沌と化した二人の関係を表現したものとなっているといえそうです。

一見尋常でない男女関係を描いていると思える作品ですが、暴力的な部分は別にして、この曲で表現しようとしている人間関係については共感できる部分も多いのではないでしょうか。

もっとも、この曲の爆発的な人気は、曲の歌詞・内容よりもむしろ、思わず口ずさんでしまいそうなメロディアスな美しいコーラスと気合が入りまくった力強いバースの対照性にある気もします。

注目度と楽曲(特にメロディ)において「かっこいい洋楽」として、昨年はリンキン・パークの『New Divide』が最も”かっこいい”と個人的に感じましたが、今年はこの曲が最もかっこいい曲ではと感じています。いずれもPVにメイガンが登場しているのは、た、たぶん気のせいだと思います!

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