切なく美しいアリソン・クラウス最新作『Windy City』、郷愁漂う極上のモダン・ブルーグラス


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女性アーティストのグラミー賞歴代最多受賞記録を誇るブルーグラス界のレジェンド。その最新アルバムは全米ビルボード「カントリー・アルバム部門」初登場第1位に。

1999年にリリースしたオリジナル・ソロアルバム『Forget About It』からおよそ18年、米ブルーグラス界を代表する歌手・フィドル奏者アリソン・クラウス(Alison Krauss)のソロ通算5枚目となる最新ソロ・スタジオ・アルバム『Windy City』が、先月(現地時間2017年2月17日)リリース。

自分よりも年齢を重ねた楽曲が歌いたかったの」、「両親が若い頃に聞いていたような音楽、それは本当にロマンチックだわ」と米エンターテイメント・ウィークリー誌に語る45歳のブルーグラスのクイーンの最新アルバムでは、ジョン・ハートフォード(John Hartford)の「Gentle on My Mind」やシンディ・ウォーカー(Cindy Walker)、エディ・アーノルド(Eddy Arnold)の「You Don’t Know Me」などあの頃の名曲から、エルマー・レアード(Elmer Laird)「Poison Love」まで、半世紀の時を超えるノスタルジー溢れるカントリー・クラシック、ブルーグラスのカバー曲計10曲を収録。古き良き時代の純真な愛の形、悲哀、心痛のヴィンテージ音楽は、やがて現代人の心に染みる極上モダン・ブルーグラス/カントリーとなってリスナーをその世界へと誘います。

「まるで天使のような歌声」、そう誰もが口にしてしまうほど透き通る美しい歌声。1987年に初めてソロアルバムをリリースしたアリソン・クラウスの歌声は、30年という長い歳月の中で、柔らかく郷愁漂う魅惑的な優しい歌声へと進化を続けます。”天使”と言われることについて尋ねられると「そうね、間違いなくみんな私のこと知らないわね」、「でもとっても光栄だわ」と米ニューヨーク・タイムズ誌のインタビューで明かします。

たいていは楽曲から入るのだけど」、「選曲を先に行わなかったのは今回が初めてだわ、最初にまずしたのは人を選ぶことだったわ」とNorthern Daily Leader誌に語るアリソン・クラウスは、長年そのアルバムで共にするバック・バンド、ユニオン・ステーション(Union Station)から(しばし)離れ、カントリー界の大御所ケニー・チェズニー(Kenny Chesney)、リーバ・マッキンタイア(Reba McEntire)らのプロデューサー、ジョージ・ストレイト(George Strait)らヒット曲の作曲家としても知られる米バディ・キャノン(Buddy Cannon)と再びタッグを組み、ヴィンテージ・セレクションを行いアルバムを制作。またデビュー当時から所属するアメリカン・ルーツ音楽のレーベルRounder Recordsから離れ、今回初めてCapitol Recordsからのリリースとなります。

早くも来年のグラミー賞候補としてその声があがるほど、音楽批評家らからも高い評価を受ける同アルバム、そのリード・シングル曲となるのは、米ポップ/カントリー歌手ブレンダ・リー(Brenda Lee)1963年ヒット曲「Losing You」(アルバム『…”Let Me Sing” 』収録曲)。愛する人との別れ、決別への強い気持ちは愛する人を失っていく心痛へ、その繊細なリリックがアリソン・クラウスの哀傷の中にある温もりと優しい歌声で共鳴し合い、やがてそれはリスナーの心を癒やしていきます。

同曲を聞いた人々からは「天国で聞いているようだよ!」、「毎晩寝る前にアリソン・クラウスに歌ってもらえるくらいリッチになりたいわ(笑)」、「ブレンダ・リーは私の大好きな歌手の一人で、彼女の歌は完璧だけど…、アリソン・クラウスはこの曲を別次元の曲にしたね…。心痛の悲しみの中にものすごく柔らかく優しく歌い上げている。私の控えめな意見で、アリソン・クラウスは今日の音楽界で本当に最も素晴らしい歌手だよ」など感動と賞賛の声が次々に寄せられます。

また同アルバムには、1956年にリリースされたエディ・アーノルド(Eddy Arnold)の「You Don’t Know Me」のカバー曲も収録。米ビルボードカントリー・チャート第10位を記録した同曲は、1962年レイ・チャールズ(Ray Charles)名作『Modern Sounds in Country & Western Music』でカバーされ全米ビルボード総合ソングチャート「Billboard Hot 100」で第2位を記録。その後、1981年ミッキー・ギリー(Mickey Gilley)をはじめ、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)、ボブ・ディラン(Bob Dylan)、ウィリー・ネルソン(Willie Nelson)、ダイアナ・クラール(Diana Krall)ら名だたるアーティスト、そして1990年映画『ハリウッドにくちづけ』(原題: Postcards from the Edge)でメリル・ストリープ(Meryl Streep)らによりカバーされ、不朽の名作に。

シンディ・ウォーカー(Cindy Walker)により書かれ、時代と音楽ジャンルを超えて広く人々の共感を誘う抒情詩「You Don’t Know Me」では、目の前にいるその人に、その想いを告げることができない思いが綴られます。

「あなたは知らない/夜あなたをずっと夢見て/その唇に口づけすることに恋い焦がれ/強く抱きしめたいと思っている人がいることを/あなたにとって私はただのお友だち/いままでずっとそうだったわね/でもあなたは私のことを知らないわ」

片思い、それが彼女の心の中だけなのか、あるいはそういう形で彼女が終わらせようとしているのかは、わからないわ」、「どちらにしても胸が張り裂けるような思いね」、「その想いを押し殺すのは本当に難しいわ、特に本当に愛してしまっていたなら」と米LAタイムズ誌に語ります。そうした中に彼女は時代に生きる女性像を見出します。「自分の感情を見せないこと、幾度となくそうして女性の強さが判断されてきたの」と米ニューヨーク・タイムズ誌に語ります。

全米ビルボード初登場第1位

ブルーグラスのオズボーン・ブラザーズ(The Osborne Brothers)の「It’s Goodbye And So Long To You」及びアルバムタイトル曲「Windy City」が収録される同アルバムでは、1967年ジョン・ハートフォード(John Hartford)オリジナルで、グレン・キャンベル(Glen Campbell)でも広く知られる「Gentle on My Mind」をカバー。その他、ウィリー・ネルソン「I Never Cared for You」、ロジャー・ミラー(Roger Miller)「River in the Rain」、バディ・キャノンもソングライターに加わるヴァーン・ゴスディン(Vern Gosdin)「Dream of Me」、ギリシャ映画『To nisi ton genneon』挿入歌でのちに多くカバーされるブレンダ・リーの曲「All Alone Am I」(1962年)等を収録。

これまで27度のグラミー賞を獲得し、女性アーティストとして史上最多のグラミー賞受賞者となる彼女の最新アルバムは、リリース第1週で36,488セールス(※Nielsen SoundScan調べ)を記録し、今週発表の全米ビルボード・チャート総合アルバムランキング「Billboard 200」で初登場第9位を記録。また「カントリー・アルバム部門」で初登場第1位、「ブルーグラス・アルバム部門」で初登場第1位、「アメリカーナ/フォーク部門」で初登場第2位を記録しました(3月11日付)。

「Billboard 200」でトップ10に入るのは、ベスト盤『A Hundred Miles or More: A Collection』(2007年)第10位、英ロック歌手ロバート・プラント(Robert Plant)とのコラボレーション・アルバム『Raising Sand』(2007年)第2位、バック・バンド、ユニオン・ステーション(Union Station)とのアルバム『Paper Airplane』(2011年)第3位に次いで、連続して4度目に。

自分よりも歳を重ねた歌には、ある感情が宿っているわ、神秘的なもの、私はそれがとっても大好きなの」。悲哀とノスタルジーの奥にある古き良きヴィンテージ音楽に込められたその感情は、アリソン・クラウスの静謐なる美しいモダン・ブルーグラスにのせ、今の時代に生きる私たちの心に流れます。

(記事)“Alison Krauss goes solo again on ‘Windy City'” on Los Angeles Times
(記事)“Alison Krauss: Vintage Country. Modern Self-Awareness.” on New York Times
(記事)“Alison Krauss’ Windy City: EW Review” on EW
(記事)“Alison Krauss Puts a New Spin on the Willie Nelson Classic ‘I Never Cared for You’” on People
(記事)“Alison Krauss releasing new solo album, Windy City “ on Northern Daily Leader

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