10週連続第1位、映画『グレイテスト・ショーマン』サントラ、アデル以来7年ぶり全英記録的ヒット


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昨年12月より全米・全英一般劇場公開となり、現在も異例のロングラン大ヒットとなっているヒュー・ジャックマン主演×映画『ラ・ラ・ランド』音楽チームが贈る感動のミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』(原題:The Greatest Showman)

そのサウンドトラック『The Greatest Showman: Original Motion Picture Soundtrack』が、今週の全英アルバム総合チャート「Official Albums Chart Top 100」で、46,000セールスにより先週に続き第1位を記録(※2018年3月16日 – 3月22日、The Official UK Charts)。カミラ・カベロ(Camila Cabello)デビュー・アルバム『Camila』、フォール・アウト・ボーイ(Fall Out Boy)『Mania』、ジャスティン・ティンバーレイク(Justin Timberlake)『Man of the Woods』らを次々に抑え、首位連続記録を10週に更新しました。

日本では先月(2018年2月16日)劇場公開となった20世紀フォックスによるマイケル・グレイシー初監督・米ミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』は、19世紀アメリカを舞台に、「地球上で最も偉大なショーマン」となった伝説の米エンターテイナー、P・T・バーナムの実話に基づく再起の物語。主演には映画『レ・ミゼラブル』のヒュー・ジャックマン(Hugh Jackman)。そしてミシェル・ウィリアムズ(Michelle Williams)、ザック・エフロン(Zac Efron)、ゼンデイヤ(Zendaya)ら豪華キャストを迎え、昨年夏にその146年の歴史に幕を閉じた感動と奇跡のサーカス・ショーの始まりを軸に、愛と夢と野心に満ちた半生をスペクタクルなミュージカルに乗せて描く。

これにより、エド・シーラン(Ed Sheeran)『÷ (Divide)』、ビートルズ(The Beatles)『1』、ユーリズミックス(Eurythmics)『Greatest Hits』、マドンナ(Madonna)『The Immaculate Collection』が保有する9週連続首位記録を上回り、英アデル(Adele)がセカンド・アルバム『21』で11週連続首位を記録した2011年以来、およそ7年ぶりとなる快挙を達成。

過去30年における連続首位記録では、アデル『21』と映画『グレイテスト・ショーマン』のみが10週以上の連続首位を記録、アデルに次いで同サントラが第2位の連続首位記録を樹立します。通算首位記録ではアデル『21』が23週、エド・シーラン『÷ (Divide)』が20週となるも、現在もなお根強いセールスをみせるなか、アデルの連続記録を破り単独首位となるか、今週及び来週、その動向にも注目が集まります。

(追記)現地時間3月23日、映画『グレイテスト・ショーマン』サントラが11週連続で首位、アデル『21』の歴代最高記録と並びました(The Official UK Charts)。

異例のロングランヒット

映画『ラ・ラ・ランド』主題歌「City of Stars」(作詞)でアカデミー賞「主題歌賞」を受賞した米ミュージカル/映画音楽作曲家ベンジ・パセック(Benj Pasek)ジャスティン・ポール(Justin Paul)のチーム「Pasek and Paul」が手がける同サントラ(国内盤ダウンロード版)のオリジナルのミュージカル曲では、キアラ・セトル(Keala Settle)らによる主題歌「This Is Me」が、2018年「第75回ゴールデングローブ賞」で「主題歌賞」を受賞。2018年「第90回アカデミー賞」では、同曲が「主題歌賞」にノミネートされたものの、米ピクサー・アニメ映画『リメンバー・ミー』(原題:Coco)の主題歌「Remember Me」に受賞を譲ります。

アカデミー賞では無冠、また映画批評家らからは”鋭いナイフの言葉で切り裂く”手厳しい評価となっているものの、その言葉を洪水で押し流すように、先月、同映画リリース第9週目(現地時間2月20日)で米国内総興行収入は1億5560万ドルとなり、アカデミー賞最多14ノミネーション、最多6部門受賞の映画『ラ・ラ・ランド』(原題:La La Land)の米国内総興行収入1億5100万ドルを破り、現在は米国内総興行収入1億6890万ドルを突破。

ライブ・アクションによるミュージカル映画の米国内興行収入ランキングとしては、2017年ディズニー実写版映画『美女と野獣』(原題: Beauty and the Beast)、1978年映画『グリース』(原題:Grease )、2002年映画『シカゴ』(原題:Chicago)に次ぐ歴代第4位を記録します(Forbes)。

世界興行収入では、映画『ラ・ラ・ランド』が依然上回っているものの、イギリスでも現在大ヒットロングランとなっており、今月、現地時間3月9日金曜日の時点でイギリス国内766の映画館の内、(異例にも)579の映画館で上映を続けます。イギリス国内における11週目の週末興行収入としては、1998年映画『タイタニック』(原題:Titanic)を抜き、過去20年では、2009年映画『アバター』(原題:Avata)に次ぐ記録となり、当時の新3Dテクノロジーの反響を考慮すれば、映画『グレイテスト・ショーマン』は歴史的に極めて異例となる根強い人気を維持します(BBC)。

音楽×ダンス×白日夢

主演のヒュー・ジャックマンは「この映画では、臆することなく感情をダイレクトに表現しており、人々幸せに、そして笑顔にするよう作られている」。「幅広い人々への映画で、それこそ5歳から90歳まで。素晴らしい音楽、ダンスとともに、楽しい時間を観客の中に残すんだ」(Digital Spy)。

厳しい批評に反して興行的成功を収めていることについて、ロンドン映画批評家協会のアンナ・スミス(Anna Smith)は、ヒュー・ジャックマンの集客力に加えて「リピーターがキー」とした上で、「人々が一緒に、家族や友達を連れて観に行きたい、一緒に歌いたいと思うものだわ」、「それは歌の親しみやすさ。そして楽しく、心地よい鑑賞だわ」。

さらに劇中で一緒に歌えるバージョン(『The Greatest Showman Sing-A-Long』)の上映も行っているマーケティング戦略及び映画館のプロモーションも功を奏していると指摘。そして「純粋な白日夢へ、巧みによく練られた」映画であると分析します。

また英ガーディアン紙は、冷笑された映画のサントラが記録的ヒットとなっていることを考察するなかで、ベンジ・パセックとジャスティン・ポールの感情揺さぶる精妙な音楽に触れ「最短の時間で退屈から多幸感へとリスナーを導くようデザインされた音楽」であり、「そうしたものが必要とされるマーケットが常にあるのだろう」(Guardian)。

そしてBBC Radio 1の記者スティーブ・ホールデン(Steve Holden)は「“This Is Me”がこんなにもヒットしているシンプルな理由は、多幸感を呼び、キャッチーで、ものすごく高揚させるポップ・トラックとなっているからだ」。「曲のサウンドそのものは、昔からのX-Factorの優勝曲に似ており、使い古されたサウンドにもかかわらず、間違いなくオーディエンスの琴線に触れる曲だ」(BBC Radio 1)。

一方で、ベンジ・パセックとジャスティン・ポールは英Official Chartsで初めて同サントラの首位を獲得した際、「サウンドトラックの全ての曲でインスパイアされたものは、多様性の受け入れ(inclusion)と(自己の)受容(acceptance)だったんだ、関わってくれた全ての人をこれ以上誇りに思うことはないよ」。

19世紀を舞台にしながらも、多様性彩る世界、自らの欠点ごと愛し受け入れるというメッセージ性が、現代を捉えるなか、多幸感生むアップリフティングなサウンドがシナジーを生むと、綺羅びやかな非日常的な世界へ。劇場公開から3ヶ月となる現在もなお、ショーさながらの夢のような感動・興奮とともに劇場をアツい歓喜に包みます。

全米ビルボードチャートでは、総合アルバム・チャート「Billboard 200」で全米2週連続首位(※2018年1月13日付、20日付)を獲得した他、その後もトップ5を手堅くキープ。現在はケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)らによる映画『ブラックパンサー』サントラ『Black Panther The Album』に次いで第2位を記録し、アメリカでも異例となる根強い人気を見せます(※2018年3月17日付)。

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