Lizzo、破壊力1000%「Truth Hurts」リリースから2年経て全米首位


2014 1133 VOICE Editor
7週首位(更新)

Lil Nas X今年最大のヒット「Old Town Road」が首位陥落となってから全米初首位が続いている。”100%ビッチ”のDNAを持つ、型にハマらないラッパーLizzo(リゾ)のスリーパー・ヒット「Truth Hurts」が今週発表の全米ビルボード総合ソングチャート「Hot 100」で前週の第3位から浮上し、自身初となる全米首位を獲得した(Billboard、※2019年9月7日付)。【更新】「Truth Hurts」6週連続で首位、通算7週首位を記録(記事、※2019年10月26日付/記事)。

Produced by Tele & Ricky Reed / Written By Ricky Reed,​jesse saint john, Steven Cheung & Lizzo / Atlantic Records

2017年9月Nice Life/Atlantic Recordsからリリースされ、異例にも約2年という長い道のりを経てトップに立った「Truth Hurts」。TikTokでのミーム後、今年4月に配信開始となったNetflix、ジーナ・ロドリゲス(Gina Rodriguez)主演ロマンティック・コメディ映画『サムワン・グレート 〜輝く人に〜』(原題:Someone Great)の劇中で使用され火がついた。「元気が出てくる」、「失恋を乗り越える大きな力になった」、破局したシングル・ウーマンのエンパワーメントを歌ったパワフルなアップ・テンポのセルフ・ラブ・アンセムが、多くの女性たちに共感を呼んでいる。

映画公開後大きく注目を集めた「Truth Hurts」は、2019年5月18日付「Hot 100」で初登場50位にエントリー、自身初の「Hot 100」入りを果たした。その後順位を浮上させ、トータル17週「Hot 100」にランクイン。単独での女性ラッパーの全米首位曲としては、カーディ・B(Cardi B)の「Bodak Yellow (Money Moves)」以来およそ3年ぶりとなった。「Hot 100」首位への決定打となったのは、現地時間8月26日に開催された音楽アワード「2019 MTV Video Music Awards」で”Good as Hell”と全米を沸かせた豪快でエネルギッシュなライブ・パフォーマンスだった(動画)。

元恋人を突っぱね、失恋後のセルフ・ラブ、セルフ・ケアとエンパワーメントを描く「Truth Hurts」は”Why’re men great ‘til they gotta be great?”という歌詞から始まる。この意味についてLizzoは次のように語っている。「男たちは地球上で最高権力の座を保持している。彼らは絶えず偉大さが約束されている、なのにそれをうまく使えそうにもないようだ」(SNS)。「Truth Hurts」の背景にはそうした男性優位・男性ありきの価値観へのアンチテーゼ、シングル・ウーマンの自信と独立が流れている。

ぶっ倒れるまで踊りたくなると人々が言うVMAsでの反響に押され「Truth Hurts」は集計締め切り8月29日までに前週米国内26,000ダウンロードから倍以上の53,000ダウンロードを売り上げ、ストリーミングでは前週比21%増となる米国内3440万回を記録(※ニールセン・ミュージック調べ)、初首位に押し上げた。彼女を輝かしい全米の頂点に立たせた「Truth Hurts」だが、リリースした2年前、10年の苦心を重ね音楽の夢を追う彼女を深い闇に突き落とした曲でもあった。

「”Truth Hurts”をリリースした日、それはおそらく私の音楽キャリアで最も暗い日の一つだった。こう考えていたのを覚えている、”今音楽をやめれば、誰も気付かないだろう”と。この曲は私にとって最高の歌。そして誰も気に留めることはない」とLizzoはPeople誌で当時を振り返る。「自分は終わった、そう思っていた。そして多くの人が私を立ち直らせた、私のプロデューサー、パブリシスト、そして家族。彼らはこんなふうに言っていた、”とにかく続けるんだ、これは夜明け前の最も深い夜闇だから”と」。

Lizzo

「もしアレサ・フランクリン(Aretha Franklin)がラップ・アルバムを作ったらどんなサウンドになるか」(Apple Music)、というコンセプトのもと作られたサード・アルバム『Cuz I Love You』が2019年4月にリリースされ、今週の「Billboard 200」で自身最高位となる第4位を記録(※2019年9月7日付)。そのデラックス盤には「Truth Hurts」が収録されている

デトロイトに生まれ、クラシック・ロック、ポップ、ゴスペルなど多様な音楽に溢れるヒューストンの家庭で育ったLizzo(本名Melissa Viviane Jefferson)、フルート奏者として音楽の才能を見出したシンガーは、音楽インダストリーに入ろうとしていた当時21歳、求められる体型との葛藤からダイエットや過剰なエクササイズに執着していたという。しかしその後自らの体型をポジティブに変え、時には怒りを時には弱さを歌にぶつけ、枠にとらわれないセルフ・ラブ、セルフ・コンフィデンスを歌ってきた。2013年にデビュー・アルバム『Lizzobangers』、2015年に『Big Grrrl Small World』リリース後、2016年、転機となるAtlantic Recordsとレコード契約を果たした。2016年10月にリリースしたEP『Coconut Oil』のリード・シングル「Good as Hell」は、今週「Hot 100」で第52位デビューとなり、リリースから実に3年を経て今日の全米ヒット曲となっている。

「私はセルフ・ラブを練習している。鏡を見てこう言う、”あなたを愛している。あなたは美しいわ。あなたは何でもできる”。幸せな日に自分に言い聞かせる、そうすれば一番辛い日々にそれを自分に言うことのできる強さが生まれる」と31歳は曝け出す。「最も暗い日があなたの最も輝く勝利になるわ」とLizzo、「Truth Hurts」はそのジャーニーの証だと語る。
 


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