ジェイソン・アルディーン、ラスベガス銃乱射事件に「悔やんでならない」、少なくとも59人死亡


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3日間カントリー音楽フェス最終日、最後の公演に、止まぬ銃声。「この国は何かが変わってしまった」

(米ネバダ州ラスベガス)現地時間10月1日(日曜日)午後10時8分頃、米ラスベガス・ストリップで開催のカントリー音楽野外フェスティバル「Route 91 Harvest」のトリの真っ只中、銃乱射事件が発生。少なくとも59人が死亡、負傷者は500人を超え、近年の米最悪の乱射事件となったことが2日夜、ラスベガス市警より発表されました(NBC)。

容疑者はネバダ州北東部メスキート在住の白人男性スティーブン・パドック(Stephen Craig Paddock)64歳による単独犯とみられ、同会場から約366m離れた43階建てカジノホテル「マンダレイ・ベイ・ホテル」の32階の一室から、野外コンサート会場に集まる2万2,000人に向け、自動式とみられる銃で無差別に乱射。

目撃証言

3日間の野外音楽フェスには、リー・ブライス(Lee Brice)、ブレット・ヤング(Brett Young)、ローレン・アライナ(Lauren Alaina)、マレン・モリス(Maren Morris)、サム・ハント(Sam Hunt)、ケイン・ブラウン(Kane Brown)、ルーク・コムズ(Luke Combs)、ジェイク・オーウェン(Jake Owen)らカントリー界を代表するスターらが集結していた。

約10分間、3度にわたって続いた乱射に、「爆竹音だって警備員が言うので、仕事に戻ったんだ」と米TIME誌に語る現場カメラマンDavid Becker。「2度目にバンバンバンとその音が聞こえた時は、誰かがスピーカか音響装置の音だって言ったんだ」。事件当時メインステージでライブ・パフォーマンスを行っていたのは、米カントリー界を代表するスターの一人、ジェイソン・アルディーン(Jason Aldean)

銃弾が降り注がれ死者が出る中、ジェイソン・アルディーンがステージから緊急避難した後も、残された観客らは事態を把握できない状態となっている。

エリック・チャーチ(Eric Church)、サム・ハント(Sam Hunt)ら米カントリー・スターとともにヘッドライナーを務め、迎えた3日間最終日の最後のライブ。大トリとしてステージに上り、2013年カントリー・ヒット曲「When She Says Baby」のさなか、鳴り響く自動小銃音に、気づくことなく歌い続ける様子が目撃者映像で映し出されます。


連続する銃声から、半自動式小銃を全自動に改造したとみられている。同映像では、銃声が始まり少し経ってから(何も伝えることなく)ジェイソン・アルディーンがステージを急いであとにする。世間からは「あの時、彼は何かができたのでないか」という声も少なからず寄せられる一方、当時の状況下では、むしろ運営者側の対応を求め、擁護する声も数多く寄せられる。

そして3度目にその銃声音が起こると、「みんなパニックになって(出口に向かって)走り出したんだ」。銃弾が空から降り注ぎ、観客が次々に流血に倒れ、銃声と悲鳴で混乱状態へ。

花火の音と勘違いした人もいたという400メートル離れた上空から聞こえる音。一体何が起きているのか、逃げ惑う人々、銃声にその場の地面に頭を伏せる人々、運営者側から一切状況が伝えられず事態を把握できない人々。混乱の末、観客らが置き去りにしていった無数の物に埋もれるように、血を流し倒れたままの女性が、一枚の写真に写ります。

The Washington Post / Photo by David Becker

距離366mm、突入まで

The New York Times / マンチェスター・テロ事件では、コンサート終了直後、アリーナから直結する駅への連絡通路付近で発生。密接する時間的・場所的なセキュリティの拡大が論議を呼んだが、今回は野外コンサートにおいて、大通りを挟んだ距離約366m(400ヤード)、32階という高さからの事件。セキュリティ体制を再構築する必要が迫られる。

当時の警察無線に基づいた事件の動向では、最初の発砲(10時8分)の2,3分後に警察官が銃撃元を「マンダレイ・ベイ・ホテル」付近と特定、10時13分頃に一人の警察官が乱射の発砲炎を目視で確認し、31階に到着した警察官が銃声音を確認。10時20分に銃声は鳴り止み、10時24分に銃撃犯のいる32階135号室の外に到着していた警察官らがSWATチームを要請。

10時28分にSWATチームが32階と29階に到着し、11時20分にドアを爆破し突入。既に自殺していた容疑者を発見し、のちにスティーブン・パドックと身元が判明。動機は現在捜査中とされます(NY Times)。

音楽界再び激震

アリアナ・グランデ(Ariana Grande)ライブ・コンサート終了直後、8歳の少女を含む20人を超える尊い命が奪われた英マンチェスター・テロ事件(記事『アリアナ・グランデ、子供らも犠牲になったマンチェスター・コンサート自爆テロに』)から5ヶ月も経たぬうちに起こった事件。

(イスラム国による犯行声明に反して)テロ組織との関連性を直接示す証拠は現在見つかっておらず、テロ事件とはされていないものの、銃規制が最も緩いネバダ州での事件にアリアナ・グランデは、自身のツイッターで「ラスベガスの事件に心砕かれる思いです。私たちが必要なのは、愛、結託、平和、銃規制だわ」、そして「これこそテロリズムというべきものだわ」。

Jason Aldean

US Weekly

ジェイソン・アルディーンは、自身のインスタグラムで「なんと言葉にしたらいいのかまだわからないでいる」、「今夜犠牲となった人々に、心から深く祈りを捧げたい」。コンサートに一緒に来ていたジェイソンの妻ブリタニー(Brittany Aldean)は現在妊娠中、二人は警察車両に無事保護されます(Us Weekly)。「夜を楽しむために来てくれたのに、こんなことになってしまって、心苦しくてならない」。


ジェイソン・アルディーンの直前にライブ・パフォーマンスを行っていた米カントリー人気歌手ジェイク・オーウェン(Jake Owen)は、「ジェイソンは最初、銃声すら聞こえてなかったと思う。彼の仲間が叫んだんだ、”おい、急いでステージを離れろっ”ってね」。「当時みんなどうしていいか、全くわからなかったんだよ」。ジェイソン・アルディーンのバスには、自動小銃の銃弾に見舞われた銃痕、当時の激しさと混沌を残します。

Over the last 24 hrs I have gone through lots of emotions. Scared, Anger, Heartache, Compassion and many others. I truely dont understand why a person would want to take the life of another. Something has changed in this country and in this world lately that is scary to see. This world is becoming the kind of place i am afraid to raise my children in. At the end of the day we arent Democrats or Republicans, Whites or Blacks, Men or Women. We are all humans and we are all Americans and its time to start acting like it and stand together as ONE! That is the only way we will ever get this Country to be better than it has ever been, but we have a long way to go and we have to start now. My heart aches for the Victims and their families of this Senseless act. I am so sorry for the hurt and pain everyone is feeling right now and there are no words i can say to to take that pain away. Just know u all are in my heart and my prayers as we all go through this together. Time to come together and stop the hate! #stopthehate #prayforlasvegas

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ジェイソン・アルディーンは昨日再びインスタグラムで「この24時間、色んな感情に襲われている。恐怖、怒り、痛み、悲しみ、そして様々な思い」、「この国、この世界は何かが変わってしまった、最近では目にするのも恐ろしい世の中になっている」、40歳はその胸中を明かします。

不倫報道に潔く謝罪、その後離婚を経て、再婚し授かった新しい命。カントリーとヒップホップを融合させた「Dirt Road Anthem」など米カントリー界で圧倒人気を誇り、大胆不敵な気質でも魅了するスターは「世の中は、子どもたちを育てるには恐ろしい場所のようになってしまっている」。「民主党か共和党か、白人か黒人か、男か女か、そういうものじゃない」、二分するアメリカ社会を、そのあらゆる感情とともに見つめます。

「俺たちはみんな同じ人間、一つの国民なんだ。そうする時が来ているんだ、共に一つとなって立ち上がろう」、「残された唯一の道なんだ。もちろん決して簡単じゃない、でも今、それを始める時が来ている」。

「みんなが感じている痛み、傷、本当に心から悔やんでならない。その痛みを失くすためにどうすればいいか、わからないんだ。ただ知ってほしい、心から皆を思い、祈っている。そして皆一緒に乗り越えていこう」、「共に一つになる時なんだ、憎しみではなくて」。

2日夜には、犠牲者追悼のため3500人を超える人々がラスベガスの教会(Canyon Ridge Christian Church)に。キャンドルを手に「アメイジング・グレイス」を捧げます。

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