「まるで魔法のような歌声だわ」。世界2,000万枚を超えるアルバム・セールス、壮大にして繊細な心奪う美しい歌声とそのルーツからセリーヌ・ディオン(Céline Dion)とともに「世紀の歌姫」として世界中から愛されるベルギー至高の歌姫ララ・ファビアン(Lara Fabian)。
英語アルバムとしては、およそ13年ぶりとなる待望の英語最新スタジオ・アルバム『Camouflage』(カモフラージュ)が、いよいよ今日(現地時間10月6日金曜日)リリースを迎えるなか、最新シングル曲「Choose What You Love Most (Let It Kill You)」(ダウンロード版)ミュージック・ビデオが、先月(現地時間9月24日)公開されました。
アイスランドの冷たい狂風が吹き下ろす荒涼の大地に迫る宵闇。寂寥のオーケストラが波乱に満ちた悲哀の過去を静かに語り始めると、嵐の闇に身を打つ47歳はその心触れる歌声で、絶望から魂を取り戻していきます。
「人生に愛を、そう願っていたわ/抱えきれないこの苦しみに、このまま死ぬのだと思っていた/そして今、窮地に震える、凍える子どものように/落ちないよう祈りながらも、痛みがあるのなら、挑戦する意味があるのだ」
「失敗すれば、わかってる/この砕けた心を開き、研ぎ澄まされし目で立ち向かっていく/失敗すれば、そういうもの/後悔するのは、したことじゃない、しなかったこと」
苦しみに命を感じ、痛みを熱情に変えて、果てしない死の淵からアダージョに炎ゆる歌声は、やがて嵐雲を破り圧倒的スケールの星空へ。「自分が最も愛するものを選ぶの/そして命を捧ぐ、必要があれば/自分が最も愛するものに/命を懸けて」。
フランス語の前作『Ma vie dans la tienne』(ダウンロード版)より2年ぶり、英語アルバムとしては、2004年『A Wonderful Life』(ダウンロード版)以来となる待望の最新アルバム第2弾では、精妙にして重厚なオーケストラ・サウンドを背景に、英語曲原点ともなる1999年「Adagio」(ダウンロード版、英語版1stアルバム『Lara Fabian』収録)を彷彿とさせる静謐から壮大なクライマックスを迎えるドラマティックな展開に。
同曲には世界中から感動と涙の声が次々に、「こんなにも力強く心震えたのはものすごく久しぶりだわ」、「魂に訴えかけてくるわ」、「とっても美しくって、まるで魔法のよう」、「言葉に出来ない、涙が止まらないわ」、「(ラストは)心臓が止まるかと思ったよ」。一層深みを増した47歳のソウルフルな歌声が、悲劇に身を震わせながらも、劇中のリスナーの心を奮い立たせていきます。
「音楽を通じて、人々の心と通じていきたいわ」と語る47歳シンガー・ソングライター(Radio Fribourg、Purebreak Charts)。スウェーデン人気歌手ロリーン(Loreen)欧州ヒット曲「My Heart Is Refusing Me」の音楽プロデューサー/ソングライターMoh Denebi、そして米シャロン・ヴォーン(Sharon Vaughn)をコー・ライターに、同アルバム収録の全12曲をララ・ファビアン自身が制作、その思いを込めます。
Love Most
「自分が最も愛するもの」。それぞれの人の、それぞれの思いが流れるなか、殺伐とした荒野に置かれた一台のピアノに指を滑らせ、全身で感じ、身を委ねる47歳。
2013年、番組リハーサル中にサウンド・エンジニアのミスにより、当時彼女が装着していたカスタムインイヤーモニターに1kHz音が暴発。その場でバランスを崩し転倒したという音量で、その後救急救命室へ搬送されたものの、致命的な重症を負い、音楽家にとっては命でもある(高域の)聴力を失います。
「本当に辛かったわ。音楽が聞こえず、娘の笑い声も、夫の声も聞こえなくなってしまったわ」。当時予定していたコンサート・ツアーはキャンセルに。「五感の一つを失うことはものすごく辛いことだけど、ミュージシャンにとって、ソングライター、歌手として、音が聞こえなくなるということは、致命的なことだわ」。「人生を考え直さなければならなかったわ」と振り返るララ・ファビアン(blu)。
「このとき私は人生で多くのことを学んだわ、思ってもみなかった強さがあるということも」、そして「取り乱しても何も良くなることはない、耐え抜かなければならない。私は妻として、娘の母親であることに専念したの」、「でも決して希望は捨てなかったわ」。
Growing Wings
現在は以前よりも聴力が改善したものの、左耳の聴力は完治せず、「音楽は違ったように聞こえるわ。でも大丈夫だわ」。今年8月にリリースした同アルバムのリード・シングル曲「Growing Wings」(ダウンロード版)では、浮遊感を漂わせながらもゆったりとしたピアノ主体のバラードの旋律に、機微を穿つ深きメッセージを浮かべていきます。
「大海原を目にしたことある?/泳げるかわからない/でも飛び込む」、「キスをしたことがある?/傷つきボロボロになると知っていながら/それでもあなたは抱きしめる」。「信じて飛び立ち/羽根を成長させていくの/その途中でね/地面にぶつかる前に」、怖れることなく挑んでいく姿を描きます。
新境地のサウンドへ
「それぞれのアルバムは、私にとって、新しい自分を象徴するものだわ」、ストックホルム、ロサンゼルス、ブリュッセルで制作を行った最新アルバム『Camouflage』では、ピアノバラード、弦楽器をはじめ情緒纏綿たるオーケストラなどこれまでのサウンドに加え、今回新たにモダンなエレクトロニック・サウンドとの革新的融合へ。
同アルバムのテーマについて「再起ともいえるわ」と語るなか、「”Camouflage”で新しいことは、私たちが継承しようとした(これまでの)時を超えたサウンドを超えて、エレクトロ・ミュージックの要素を取り入れたことよ。例えば、クラシック・ギターのストリングスに、とてもモダンなエレクトロニック・サウンドを加える興味深い結合だわ」(メイキング動画)。
そしてその歌詞について、「”Camouflage”は今日の世界を見つめる一つの方法であり、私がナレーターとして、またオブザーバーとして、今日この世界で起こっていることを歌詞にしているの」。「多くの曲が私の視点から、私たちが直面していることを謳っていて、それと同時に多くの曲が、どのようにして私たちが共に最善の道を歩めるかについて謳っているわ」。
「挑戦こそが最も大切な」ものであると語る47歳は、「”Camouflage”の目的、期待は、違いを超えて、私たちが一つの存在であるということを気づいてもらうことだわ」、そこにはララ・ファビアンが一貫して音楽活動のなかで訴えてきた変わらぬ思いが込められます。
Humanity
1991年にカナダでフランス語アルバム『Lara Fabian』でデビューして以来、フランス語、英語をはじめ、イタリア語、スペイン語、ロシア語の楽曲をリリース。カナダ、フランスから、ヨーロッパ、ロシア、ウクライナ、中東へ音楽活動を行うなど、多言語の国際派歌手として活動を続けてきたララ・ファビアン。
1997年フランス語アルバム『Pure』ではアンチ・ホモフォビア(同性愛者嫌悪)のアンセム「La Différence」、2013年フランス語アルバム『Le Secret』では、同性愛をテーマにした「Deux ils, deux elles」をリリース。国、言語、文化、宗教、肌の色、性的指向の違いを越えて、一つにしていきます。
「音楽は感情で人々と繋がるものだわ。この繋がりこそ、私がアルバムを通じて追い求める唯一のゴールなの」、その思いを語ります。「この旅のなかで、私たちは皆一つの存在であることを、皆に伝えていきたいわ。それぞれの違いではなくて」、「それは”humanity”、私たちは皆ものすごく似た存在なのだから」。