ポップ姫キム・ペトラス「Icy」ハートブレイクから氷結×ダイヤのハート


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急成長を続けるポップ音楽の新星/ファッション・アイコンのキム・ペトラス(Kim Petras)によるパワフルなシンセ・ポップ「Icy」ストリーミング/ダウンロード版)最新映像が公開された(現地時間10月15日)。ソロ曲のミュージック・ビデオとしては、世界ストリーミング1億5000万回を超えている「Heart To Break」のMV以来およそ1年半ぶり。ダンスフロアを揺らすヘヴィなダンス・ビートの「Icy」は、今年6月にリリースされたデビュー・アルバム『Clarity』のリード・シングル。

「昨年失恋して、それですごくエモーショナルなアルバムを作ろうと思ったわ。それからスタジオに行ってその明るい側面を見出し、それに少しひねりを加えたものにしたわ」(”I got cheated on last year. So I set out to make a really emo record. Then, in the studio I found the bright side of it and put a little twist on it.” – BBC)。「Icy」のミュージック・ビデでは、躍動感あるダンスを交えながら失恋で氷結したハートを表現。思わぬ姿に変身していく映像には、ある力強いメッセージが込められているという。

(バース1)「これほど激しく愛した人はいなかったわ/これほど自分に強さを感じたことはなかった/私たちは永遠に続く、そう思った/信じるものを私に与えてくれた/あなたは私の全て、そう思ったわ/私を見て、私はまだ呼吸をしている」、「あなたのことで涙に暮れていた/今までずっと無駄にしてしまった」(コーラス)「そして今、私にあるのは氷のハート/私が望む氷といえば、傷が見えない最高級のダイヤモンドだけ/おかしいよね、お金が愛の代わりになるなんて/何も感じない、私のなか何も感じない/すごくバカだよね、あなたが私にホンキだって信じ切ってた/あなたのせい、今私のハートはカタく凍ってる」

(バース2)「今私は高みに登る/歩みを止めない/たくさんのオファー/Baby、あなたを嫌ってない/ホントよ、感謝してる/私のハートを氷河に変えてくれた、そうよ」、「あなたのことで涙に暮れていた/今までずっと無駄にしてしまった」(コーラス)「そして今、私にあるのは氷のハート/私が望む氷といえば、殆ど傷のない最高級のダイヤモンドだけ/おかしいよね、お金が愛の代わりになるなんて/何も感じない、私のなか何も感じない/すごくバカだよね、あなたが私にホンキだって信じ切ってた/あなたのせいで、今私のハートはカタく凍ってる」

ハワイのレコーディング・スタジオで制作された「Icy」のソングライターには、キム・ペトラス、Theron Thomasに加え、音楽プロデューサーのVaughn OliverAaron JosephDr. Luke。失恋の傷心のなか作られたという同曲についてキム・ペトラスは「そうしたなかで起きた素晴らしいことに私は気づいてなかった」、「自分が進みたい音楽の方向性に気づかされ、アイデアが閃いたわ、あらゆるネガティブこと───私のハートが冷たくなっちゃうような───、それは実はポジティブなことだったんだって」(“I kind of didn’t realize the amazing things that had happened along the way,” she says. “Which was…me doing things by myself. Me kind of realizing what direction of music I wanted to go in…and the idea just kind of struck that all of the negative stuff, all of my heart kind of going cold, was actually a positive thing.” – Billboard)。自分と向き合うことで初めて気づいたという。「カレがいなくても私には強さがあるんだって、気づかせてくれたわ」(“It kind of made me realize the power that I have without you”)。

ガラスケースに囚われ氷水に浸かるキム・ペトラスがサイボーグなメタルの姿に変貌を遂げるミュージック・ビデオはマイリー・サイラス(Miley Cyrus)「Mother’s Daughter」のAlexandre Moorsが監督を務め製作。キム・ペトラスはステートメントで「映像は新鮮さ、そして力強くなっていく姿を感じるものにしたかったわ」(”I wanted the visual to feel fresh and signify becoming a stronger version of myself”)、「映像は私がガラスボックスに囚われ見られているように感じるシーンから始まる。でもストーリーが展開する中で私は抜け出し、そして超人的な自分へと進化していく、ハートブレイクの痛みを通してね」(”The video starts with me feeling trapped and watched in a glass box, but as it progresses, I escape and evolve into a bionic version of myself through the pain of heartbreak.”)。

現在移民となりロサンゼルスを拠点にしているドイツ生まれのキム・ペトラスは独学で曲作りを学び、13歳の頃から寝室で曲を書き始めた。キャロル・キング(Carole King)のドキュメンタリーを見てソングライターに憧れ、マックス・マーティン(Max Martin)らに傾倒。母親の地下室でずっと一人で曲を書いていたという。ヒット曲を書くソングライターになりたい、それは13歳からの彼女の夢だった。ウェートレスのアルバイトで貯めたお金を手に19歳の時に渡米。波瀾に満ちた道のりの夢を追った。お金が尽きレコーディング・スタジオで眠ることもあった彼女にとって、小さい頃から音楽が全てだった。「ポップ・ミュージックは私の全て。子どもの時、学校ではあまり友だちができなかったわ。学校に行くのが大キライだった、すごくひどいイジメにあっていたから」(”It means everything to me. When I was a kid, I used to not really have friends in school. I hated going to school — I got bullied pretty bad” – People)。音楽はその深い傷と苦悩、孤独を癒やし、現実を忘れさせ彼女に夢を抱かせた。「学校から急いで帰ると、グウェン・ステファニーのミュージック・ビデオを見たものだったわ、そうすることで自分の問題から逃げることができると感じていたわ」(”I used to run home from school and watch Gwen Stefani music videos, and I felt like I could escape my problems with that.”)。

男の子として生まれたキム・ペトラスは2歳の頃自身が女の子だと知ったという。「5歳の頃だった、私は泣きながらはさみで自分の性器を切ろうとしていた、その時ママは私にもっと大人になってからよって。両親はあらゆる力を使って、私が女の子として生きる手助けをしようとし、その時初めて私は幸せな人生への希望を抱くようになったわ」(”The 5-year-old kid I was, trying to cut off my own genitals with paper scissors — crying when my mom told me when I was old enough, they would do anything in their power to help me live as a girl and for the first time having hope for an attempt at a happy life” – PAPER)。しかし学校で女の子として生きることは許されずいじめのなか一人苦悩し続けた少女は16歳となり、世界最年少となる性別適合手術を受け性転換。LGBTQコミュニティの声となりながらも、しかし彼女は今トランスジェンダーのアーティストとしてではなく、一人のシンガー・ソングライターとしてその音楽人生に全力を尽くしたいという。

デビュー・アルバム『Clarity』はキム・ペトラスが「子供の頃その夢を抱かせ、心からの楽しみを持つとても大きな力になった」(”It helped me tremendously as a kid to have that dream and have something to really look forward to.”)というブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)マドンナ(Madonna)ら90年代、2000年代のポップ・ミュージックを受け継ぎながら、モダンなヒップホップの影響を受けたユニークなポップ曲集。ファンシーでバブルポップの「I Don’t Want It All」、「Heart To Break」時代から新たな出発となる『Clarity』は、「よりリアルで、より自分らしく感じる」(”but with the new ones, I feel like I’m being more real and more me. Before, I was writing about the life I wished to have.” – Interview)というエモーショナルなアルバムとなっており、「願っていた人生を歌にした」というそれまでの楽曲から舵を切る。

今月1日にはハロウィンをテーマにしたアルバム『Turn Off the Light』ストリーミング/ダウンロード版)をリリース。「”Turn Off the Light”は間違いなく別人格な感じで、最高にクールよ、私の別バージョン。基本的には悪役として歌っている感じだわ」(”Turn Off The Light is so cool because it’s definitely like an alter ego, a very different version of myself: It’s basically like me singing as a villain.”)。ハロウィンのため”仮装”したキム・ペトラスのちょっと違った姿が楽しめるアルバムになっている。いずれのアルバムも彼女自身のレーベルBunHeadよりインディペンデント・リリース、自由な発想で作られた。

メインストリームでも活躍するキム・ペトラスは、2018年チート・コーズ(Cheat Codes)「Feeling Of Falling」でコラボ。今年9月リリースのチャーリーXCX(Charli XCX)最新作『Charli』に収録されている「Click」ではチャーリーXCXらとコラボを果たした他、アリアナ・グランデ(Ariana Grande)らが書いた「How It’s Done」でステフロン・ドン(Stefflon Don)らとコラボ。同曲は来月15日全米一般劇場公開予されるクリステン・スチュワート、ナオミ・スコット主演映画『チャーリーズ・エンジェル』(原題:Charlie’s Angels)のサントラ曲となっている。来週21日からは自身2度目の北米/欧州ヘッドライニング・ツアー『The Clarity Tour』をキックオフ。19歳で祖国を離れ寝床を探しながら夢を追った少女は27歳となり、世界のステージでリアルな感情を歌う。「私の旅はまだ始まったばかり」(”For me this is definitely just the start”)とキム・ペトラス。そこに至るまでの苦難と葛藤、彼女はその暗闇に光を見出し、傷を強さに変えたきた。

「Icy」を通じてキム・ペトラスは「あなたを傷つけた人が誰であっても、あなたをより強いビッチにして、より良い人間にさせるわ」。「あなたはどんなことでもできる。この曲を聞いて自分自身のことに少しでも楽になってくれたらと願っているわ。今はちょっと胸が張り裂けるように辛くても、ちょっと私のハートも凍ってるけど、でもそれはいいことでもあり得るのよ」(“Whoever broke your heart made you into a badder bitch and a better person,” she reminds fans. “You can do anything. I hope it just makes you feel good about yourself. Even though it’s a little heartbreak-y and it’s a little like my heart is icy now, but that can be a good thing.”)。

(記事)“Kim Petras: This is the real me, not a persona” – BBC
(記事)“新時代ポップ歌姫キム・ペトラス、最高に弾ける「Heart To Break」MVでモダン・ディズニー・プリンセス”
(記事)“Kim Petras Opens Up About How Bullies — and Childhood Idols — Prepared Her for Pop Stardom” – People
(記事)“Kim Petras Discusses Creating ‘Icy,’ Says She Used Heartbreak to Make Her a ‘Badder Bitch’: Watch” – Billboard
(記事)“We Won’t Be Erased: 40 Trans and GNC People Sound Off on Trump’s Memo” – PAPER Mag
(記事)“Kim Petras Wants You To Concentrate On Her Music, Not Her Transgender Identity” – Huffpost
(記事)“KIM PETRAS SAYS IT’S OKAY TO BE SAD IN THE CLUB” – Interview

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