全米に感動と涙、13歳少女が末期がんⅣと闘う父へ、涙こらえ歌うカバー曲「Arms」


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『アメリカズ・ゴット・タレント』2017予備オーディション

比類ない才能と豪華なエンターテインメントでその驚き、興奮、感動、笑顔とともに沸かせる米NBCタレントオーディション番組『America’s Got Talent』(アメリカズ・ゴット・タレント)、そのシーズン12(2017年)が先月からいよいよ放送開始。

昨日放送回(現地時間6月20日、#4)では、世界中の異才を放つエンターテイナーと、フライパンで男性局部を隠すどこかで見たことのある芸で盛り上がりをみせるなか(“隠し”芸動画)、最後に登場した13歳の少女エヴィ・クレア(Evie Clair)が、その心染みる歌声で会場を感動と涙で包んでいきます。

13歳です。アリゾナ州のとても小さな町フローレンスから来ました。刑務所が5つあって、食料品店はなくって学校とかだけで」、まだあどけない笑顔を覗かせながらステージに立つ少女エヴィ・クレア。

刑務所がいっぱいあるんだねぇ」と英審査員サイモン・コーウェル(Simon Cowell)がその皮肉節を見せながら、「では他に君のことを教えてくれるかな」と話題を変えると、「パパは刑務所で働いています」と再び刑務所へ。愛らしい笑顔で会場を笑いで包むなか、「今回アメリカズ・ゴット・タレントに出場しようと思った理由は?」と尋ねられ、「小さい頃からずっと夢でした、そして私の…」と言葉を詰まらせるエヴィ。

1年前、私の家族が…、私のパパが癌になっちゃって、ごめんなさい、…、ステージ4の結腸がんで、5%しか生きる望みはないって、でもパパ、私たちの家族を支えるため今も働き続けているの。だから今夜、パパのために歌うためここに来たの」。

クリスティーナ・ペリーのデビュー・スタジオ・アルバム『Lovestrong』(2011年)収録曲「Arms」。「この曲はハートと頭の葛藤を描いた曲だわ。心では愛されたいと思いながら、頭では二人が離れる理由、あるいは、自分が愛に値しない理由を考えてしまうの。その葛藤のなか、愛する人が抱きしめる両腕。そして気づき、感じるの、愛されていることを、そして愛が勝つということを」とクリスティーナは語る。

思春期には多くの場合遠ざかる父娘という関係。クリスティーナ・ペリー(Christina Perri)の「Arms」を歌う理由を尋ねられた少女は「パパが辛い時、パパの部屋に行ってこの曲を歌うの、気分が良くなるように、慰め、そして闘い続けてくれるよう力が湧くように」、会場にいる父親に伝えるかのようにその声を震わせます。

そして一呼吸置くと、込み上げる思いを胸にそのバラード曲「Arms」を純真な美しい歌声で歌い上げ、会場を静かに涙で包んでいきます。

Arms
Written by Christina Perri
日本語歌詞

(バース 1)
あなたが私の心を掴んで放さない人になるとは一度も考えたことはなかった
しかしあなたは私のもとに現れ、初めて会った時から心を捉える

あなたが両腕で私を包み込む
私を手放す方があなたにとって簡単だってよくわかってる…
あなたが両腕で私を包み込む、ここが私の居場所

(バース2)
あなたは何度私の気持ちを変え、振り向かせるだろう?
あなたに命を救ってもらうのか、私が溺れるのか、決めることはできない

(コーラス)
あなたが私の壁を通り抜け見つめてくれたらと、
あなたが私を受けとめてくれたらと願う
もう私は落ちていっているのだから
こんなにも近くに愛を感じることはないだろう
あなたが両腕で私を包み込む、ここが私の居場所

(バース3)
世界が私に重くのしかかる、
そして私は愛される理由を見失う
あなたを決して離したくない、
でも私一人きりなら
あなたが血を流したままにさせることはできない

あなたが両腕で私を包み込む
私を手放す方があなたにとって簡単だってよくわかってる…

(コーラス)
あなたが私の壁を通り抜け見つめてくれたらと、
あなたが私を受けとめてくれたらと願う
もう私は落ちていっているのだから
こんなにも近くに愛を感じることはないだろう
あなたが両腕で私を包み込む、ここが私の居場所

(ブリッジ)
私の心をあなたに見られないように心がけ
決してあなたに心を開いていなかった
あなたが両腕で私を包み込むまで、愛することを知らなかった
私を手放す方があなたにとって簡単だってよくわかってる…

(コーラス)
あなたが私の壁を通り抜け見つめてくれたらと、
あなたが私を受けとめてくれたらと願う
もう私は落ちていっているのだから
こんなにも近くに愛を感じることはないだろう
あなたが両腕で私を包み込む、ここが私の居場所

あなたが両腕で私を包み込む、ここが私の居場所

スタンディングオベーションに沸く会場の中、審査員ホーウィー・マンデル(Howie Mandel)は、「とても深いものが込められている。傷ついた心、父親を愛する少女の涙、ずっと一緒にいたいという気持ち。みんなが両腕で君を抱きしめ、ここに居場所があると伝えたいと思っているように私は感じるよ」とコメント。

そして英スパイス・ガールズ(Spice Girls)のメラニー・ブラウン(Melanie Janine Brown、Mel B)は「とっても特別で本当に素晴らしい歌声だわ、すごく才能に溢れているわ」、そして音楽界重鎮の辛口サイモンも「自分を君の父親と重ねてみて、父親ならこう思っているに違いないよ、”私にはハンパない娘がいるぞ”ってね、君の歌声はそんなにも素晴らしいのだから」と称賛を送り、4人全員のイエスととともに、次のラウンドへ。その後配信された動画には、世界中から感動の声が次々に寄せられます。

13歳のシンガー・ソングライター

人口3万人ほどの小さな田舎町に暮らすエヴィ・クレアは、メーガン・トレイナー(Meghan Trainor)「Like I’m Gonna Lose You」、アレッシア・カーラ(Alessia Cara)「Scars to Your Beautiful」など数々のカバー曲をYouTubeで配信する一方、そのピアノのスキルとともにシンガー・ソングライターとして活躍。

映画『Once I Was a Beehive』(2015年)のサウンドトラックにオリジナル楽曲が起用される他、昨年には美しい旋律が響くオリジナル・シングル曲「Love You One More Time」をリリースし、ソングライターとしてもその異才を輝かせます。

ゴールデン・ブザー

他の審査員の判断に関わりなく、ジャッジ・カット(Judge Cuts)のラウンドを通過し、一気にライブショー(準々決勝ラウンド/Quarterfinals)に送り込む1シーズン1審査員1回だけの特権、ゴールデン・ブザー(Golden Buzzer)。既に同放送回審査員であるメルBは、腹話術で歌う12歳少女ダーシ・リン(Darci Lynne Farmer)に、サイモンは聴覚を失っても歌うことを諦めなかった29歳米ジャズ歌手マンディ・ハーヴェイ(Mandy Harvey)に。

そしてホーウィーは視覚障害を乗り越え圧巻の歌声で驚かせた16歳NY歌手クリスチャン・ガーディノ(Christian Guardino)に、タイラ・バンクス(Tyra Banks)は、光とダンスのエレクトロニック・ダンス・グループLight Balanceに贈り、4人ともその特権を既に使い果たします。

その特権が強化されたシーズン10以降、その優勝者は全てゴールデン・ブザーを手にした者という現実、そして数々の厳しいラウンドが待ち受けるエヴィ・クレア。共に長い闘いが待ち受ける二人の父娘が抱き合う姿に、人々からは両腕で包み込む温かい声が次々に送られます。

【続きの記事】『切なく響く涙の歌声14歳少女エヴィ・クレア「Yours」、AGT決勝進出も末期ガン父亡くなる』

(記事)“12-year-old singer Evie Clair featured on recently released ‘Once I Was a Beehive’ soundtrack” on Deseret News
(記事)“LDS Teen Creates Powerful Tribute to Her Father With Cancer” on LDSDaily

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