世界が涙 ケルトの妖精「神のハープ」の歌声Donna Taggart「Jealous Of The Angels」世界7カ国で首位


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世界7カ国で第1位を記録。4分で世界中の心痛を癒やした北アイルランド・ケルト音楽歌手、クリスタル・ヴォイスが木霊する紀元前古代ケルトの歴史。

その昔神々が住んでいたとされる荘厳な大自然が鼓動するアイルランド島。紀元前3200年頃造られし神秘の古墳ニューグレンジをはじめ、先史時代の数々の古代遺跡が眠る地には、ケルト神話から誕生し『ハリー・ポッター』、『ナルニア国物語』、『指輪物語』等人気ファンタジー文学作品を世に生み出す原点となる妖精たちが今も住んでいると言われます。

そんな妖精が住む島の北東部、北アイルランドティロン州の小さな町オマー(Omagh)から無名のケルト歌手の歌声が島を超え、海を渡り、大陸を超え、世界中で今大きな反響を呼んでいます。

突然訪れた世界の注目に「正直ちょっと衝撃的で、アメリカ、オーストラリア、カナダ、その他色々な国でその記録を収めるなんて信じられない驚き」と語るドナ・タガート(Donna Taggart)が歌うカバー曲「Jealous of the Angels」(天使への嫉妬)、愛する人を亡くした深い痛心、その傷に次第に降り積もる癒やしの言葉の数々、心に透過していく美しい歌声が世界中の人々の涙となります。

“Jealous Of The Angels”
written by Jenn Bostic, orignal song by Jenn Bostic
covered by Donna Taggart

(バース1)
知るよしもなかった
今日が私たちの最期の日になることも
こんなに早くさよならを言わなければならないことも

全ての感覚を失い、もう何も感じることができない
お願い…、その扉から何もなかったように戻ってきて

そして私に言って、ただ私が夢を見ていたんだよって
本当に行ってしまったりなんかしないよね
私が信じている限り

(コーラス)
今夜もう一人の天使が
神の御座に辿り着くだろう
あなたの愛は私の中で生き続け、
その愛に私は強く生きていく
どうして…、答えを問う立場に私はない
それは神だけが知っていること
私はただ羨むことしかできない
今夜その御座を囲む天使たちを

(バース2)
私が大変な時はいつも、
それが些細な事に過ぎないと思わせてくれた
そして私が落ち込んでいた時も、
いつもそばで支え続けてくれた
英雄たちが行き交う世界の中で
神は私が知るたった一人の英雄を
ためらいなく奪い去っていった

だから、私はその日を待ち焦がれながら、
あなたにまた会えるその日、
力一杯あなたを抱きしめるわ

でもその時までは…

(コーラス)
神は今夜その御座で
もう一人の天使が必要だったに違いない
あなたの愛は私の中で生き続け、
その愛に私は強く生きていく
どうして…、答えを問う立場に私はない
それは神だけが知っていること
私はただ羨むことしかできない
今夜その御座を囲む天使たちを

ハレルヤを歌いながら
ハレルヤ
ハレル…ヤ…
私はただ羨むことしかできない
その御座を囲む天使たちを、
今夜…

妹シニード(Sinead Taggart)をバックヴォーカルに迎え、オマーの雄大な自然の中で撮影された同ミュージック・ビデオには、大切な人を失った思いと共に世界中から共感の声が寄せられます。「21ヶ月前私は鼓動を失ったわ…。…、ガンが彼を突然私から奪っていったの…。この言葉の数々の意味が一つ一つ身にしみる…。ありがとう、こんなにも美しい歌を…。魂の奥深くまで響いたわ…」、「なんて美しい歌声なのかしら。こんなにずっと涙がこぼれたことはないわ。」、「あなたの歌声は神のハープだわ」、「音楽って、、すごいね。」、「なんて美しい曲なの、愛しい娘を失った私たちの心の中にあるもの、その全てがこの曲にある」、「君の歌にあるその力が僕には必要だったよ。涙が溢れる、ありがとう。」、「とても美しくて、本当の言葉、涙溢れて天国を見上げたわ」。

Jenn Bostic「Jealous Of The Angels」

米テネシーの若手カントリー・シンガー・ソングライター、ジェン・ボスティック(Jenn Bostic)により2010年にリリースされた同曲(2ndアルバム『Jealous』収録)は、10歳の時急死した父親への思いを綴った楽曲。「パパが亡くなった後初めてピアノの前に座ったとき、目を閉じると伝わってきたの、パパが私の隣りにいるって。私の気持ちを歌々に降り注いでいったわ。歌っているとき、それがパパと繋がれる唯一の方法だったわ、それは今でも感じるの」(*1)。

The first time I sat down at the piano after the accident, I shut my eyes and honestly felt my dad’s presence next to me. I poured my heart into those first few songs. The only way I could connect with him was when I played music. I still feel that way

クリスティーナ・ペリー(Christina Perri)代表曲「Jar of Hearts」のソングライター、バレット・ヤレツィアン(Barrett Yeretsian公式サイト)とともに制作された同曲では、”It’s not my place to question”(私は疑問を問う立場にない)としながらも、”Well God just took the only one I know”(神は私の唯一の人をただ奪い去っていった)と心の葛藤、喪失感が描かれます。

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しかしそれはやがて、地上から天へ、天使たちが迎える神の御座へと昇り、悲しみと安堵、寂寥感とまた会う日の確信が複雑に絡み合い、未来形から現在形へ変遷していく”Tonight”の反復が一層長い夜を刻む中、”Jealous of the angels”(天使たちへの嫉妬)へと形を変えていきます。

ドナ・タガートが同曲をカバーしたのは今から3年前、自身2作目のカバー・アルバム『Celtic Lady Vol. 2』(2013年)iTunesでダウンロード)に収録されます。リリース後出産育児に追われ、先月9日そのミュージック・ビデオを自身のfacebookに投稿。YouTubeでは2014年に公開されていたものの、同投稿が口コミで瞬く間に世界中に広がり、わずか一ヶ月程で動画再生2,000万回を軽く超え、現在3,200万回を突破、今も勢い止まらないヴァイラル動画に。

全米iTunes楽曲総合チャート

全米iTunes楽曲総合チャート

それは配信チャートへと波及し、iTunesイージー・リスニング部門で全米第1位、全英第1位、アイルランド第1位、カナダ第1位、オーストラリア第1位、ニュージーランド第1位、南アフリカ第1位等世界各国で異例の記録を樹立します。また総合チャートにおいても、全米iTunesで米ビヨンセ(Beyoncé)、米ケイティ・ペリー(Katy Perry)、英アデル(Adele)、米ブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)ら名だたるヒット曲を抑え、第40位代まで浮上。

全米iTunesアルバム総合チャート

全米iTunesアルバム総合チャート

またアルバム『Celtic Lady Vol. 2』も同部門で全米第1位、全英第1位、アイルランド第1位、カナダ第1位、オーストラリア第1位、南アフリカ第1位と首位を独占し、全米iTunes総合チャートにおいても、米メーガン・トレイナー(Meghan Trainor)、米チャーリー・プース(Charlie Puth)ら全米人気最新アルバムの記録を抜き、トップ50を記録します。

人気TV番組、有名メディアに取り上げられたわけでもなく、報じたのは地元誌のみ。最近のトレンド曲とはまるで逆行する曲調、素朴なミュージック・ビデオに、そして無名のケルト音楽歌手。22歳のときに友人から頼まれ葬式にて追悼歌を捧げたのを機に音楽活動を始め、地元ウェディングシンガーとして活動する中、突然訪れた世界の注目。

赤ちゃんが泣いて生まれてくるスピリチュアルな理由

©Donna Taggart Music - facebook

©Donna Taggart Music – facebook

しかしそれが一過性の”奇跡”でないことに多くの人が気付きます。同アルバム制作中に第一子グレースちゃん(Grace)を出産、そして昨年12月に第二子マシュー君(Matthew)を出産し、二児のママとなった31歳の”ケルティック・レディ”は、昨年母の日を前にカバー曲「Mom」をリリース。今年リリース予定の3rdアルバムのリードシングル曲となる同曲では、地球へ旅立つ前、泣き止まない赤ちゃんに神様が語りかけ、見事にあやす(?)姿が描かれます。そのかわりにその涙はリスナーの頬を伝うという同曲は、iTunesイージー・リスニング部門でイギリス第1位、アイルランド第1位、また各国で現在も「Jealous of the Angels」に次ぐ第2位を記録します。

“Mom”
written by Wynn Varble and Don Sampson
original song by Bonnie Tyler
covered by Donna Taggart

(バース1)
小さな赤ちゃんが神様に話しかける
「ねぇ神様、なんだか怖いよ…
あの場所に降りていきたいのかよくわからないよ
ここから見るとまるで小さな青いボールみたいだけど
すんごく広いところに、自分はとってもちっぽけで

どうして?神様と一緒にここにいちゃ駄目?
神様を怒らせちゃったの?
もう一緒にいたくなくなっちゃったの?」
神様は子に告げる
「もちろん一緒にいたいよ。
でもね、特別にね君を待ち望んでいる人がいるんだよ」

(コーラス)
「だからほら、泣かないで
あそこで君を待っている人がいるのだから
どんなときも君がちゃんと無事に人生を歩めるようにすること
それだけを生きる意味にしている人が
愛しい天使よ、思いやり深く、めげない、強い子よ
さあそろそろ行って会う時間だよ
君のお母さんにね」

(バース2)
「それ以上に良き友も
それ以上に温かく
包み込みこんでくれるぬくもりもないだろう
君のあざに、こぶに、切り傷に
口づけするだろう
君が傷ついた時はいつもその心を痛めるだろう

(コーラス)
だからほら、泣かないで
あそこで君を待っている人がいるのだから
どんなときも君がちゃんと無事に人生を歩めるようにすること
それだけを生きる意味にしている人が
愛しい天使よ、思いやり深く、めげない、強い子よ
さあそろそろ行って会う時間だよ
君のお母さんにね」

「彼女が君に伝えようとしている時は、
しっかりと耳を傾けるんだよ
君がこれから知っておけばならないこと
その全てを教えようとしているのだから
お行儀よくする方法だったり、
愛し方、
笑い方、
夢の追い方、

そして彼女は君をその道へと導いてくれる
私のところに戻ってくる道へとね」

(コーラス)
「だからほら、泣かないで
あそこで君を待っている人がいるのだから
どんなときも君がちゃんと無事に人生を歩めるようにすること
それだけを生きる意味にしている人が
愛しい天使よ、思いやり深く、めげない、強い子よ
さあ時間だよ
君のお母さんに会いに行こう」

©Donna Taggart Music – facebook

©Donna Taggart Music – facebook

優しく歌い上げるそのミュージック・ビデオには、「なんて美しい歌声なのだろう…」、「今まで聞いたあらゆる曲のカバーの中で最高のカバーだよ」、「まるで天使のような歌声だわ」、「今度は私の涙がこぼれているわ(笑)」、「1月に初めての赤ちゃんが亡くなってしまったの。それでも私たちのもとに来てくれたわ。この曲は私の心にとても響いたわ。とっても寂しいけど、でも神様の腕の中に抱かれている息子を思い描くわ。もしかしたらもう一度挑戦してくれるかな。愛しい天使よ、思いやり深く、めげないで、強くなるんだよ」など、その感動の声が寄せられます。

オリジナルは「Total Eclipse of the Heart」のBonnie Tyler「Mom」。米カントリー・シンガー・ソングライター、ウィン・バーブル(Wynn Varble)、Don Sampson作詞作曲。

ウェールズのレジェンド、ボニー・タイラー(Bonnie Tyler)の16thスタジオ・アルバム『Rocks and Honey』(2013年)に収録された同曲は、翌年米カントリー大御所ガース・ブルックス(Garth Brooks)によりカバー(『Man Against Machine』収録)。”I Need a Mommy”とも聞こえてきそうな絶妙に味わい深いボニー版、神の語り口が入る愛深き重力を感じさせるガース版。どこか切なさも併せ持つドナ版では、まるで違う曲のようにリスナーらを魅了します。

アイルランド、ローナン・キーティング(Ronan Keating)の4作目のアルバム『Bring You Home』(2006年)収録曲のカバー。ウェディング・ソングとしても人気が高い。現在アルバム未収録曲。

アイルランド民謡「Danny Boy」、ケルト民謡「Grace」が収録され、「アイルランドの伝統とカントリー・ソングへの愛のコンテンポラリー・スタイル」と自身が話す1stアルバム『Celtic Lady Volume 1』(2011年)とは異なり、米ブルーグラス/カントリー歌手アリソン・クラウス(Alison Krauss)曲「The Lucky One」、米カントリーバンド、ラスカル・フラッツ(Rascal Flatts)曲「Changed」、米フォーク/カントリー・シンガー・ソングライター、ナンシー・グリフィス(Nanci Griffith)曲「Speed Of The Sound Of Loneliness」等、北米のフォーク、カントリー曲が主に収録された2ndアルバム『Celtic Lady Vol. 2』は、「私のアイルランドのルーツと、大西洋を渡ったブルーグラス、カントリー・サウンドを結合したもの」と明かします。

ブルーグラス音楽グループAlison Krauss & Union Stationの9thアルバム『New Favorite』(2001年)のリード・シングル曲「The Lucky One」。同曲は最優秀カントリ楽曲賞(Best Country Song)含む2部門でグラミー賞(Grammy Award)受賞。

アリソン・クラウスやリー・アン・ウォマック(Lee Ann Womack)を彷彿とさせる透明感ある美しい歌声で独自の世界観を奏でる同アルバムについて、彼女は「(ケルトの)女性のハートがアリソン・クラウスとナンシー・グリフィスに出会う(”Woman’s Heart meets Alison Krauss and Nanci Griffith”)」と表現します。そこには古の時代より悠久の時を経て”出会う”ケルトの不可思議な運命が巡ります。

沈まなかったケルト音楽、鉄器とジャガイモとタイタニック号

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青銅器時代の中、鉄器を持つ民族として次々に勢力拡大、鉄器時代にヨーロッパを席巻繁栄した古代ケルト人。霊魂不滅、輪廻転生(*2)を淵源に自然崇拝の多神教ドルイド教(Druid)を信仰した口頭伝承の民族は、やがて古代ローマ人、ゲルマン民族、ヴァイキングら他民族による侵略、キリスト教布教により、ケルト社会・文化、原始宗教信仰の衰退・消失の道を辿ります。その一方で口承で時代を繋いだケルト伝統音楽は、スコットランドや他民族侵略を逃れたアイルランド、ウェールズなどで独自に発展を遂げ、18世紀から19世紀のアイルランド人、スコットランド人の新天地アメリカ大陸への移住、特にアイルランド大飢饉(ジャガイモ飢饉)での多くのアイルランド人移民と共に、アメリカ大陸へと渡ります。

貧しい青年ジャックと上流階級のローズの悲愛を描く映画『タイタニック』では、アイリッシュ音楽流れる三等客室で新天地アメリカへ向かうアイルランド移民らと共にダンスを踊るジャックとローズのシーンが描かれる(映画『タイタニック』サントラ収録曲「An Irish Party In Third Class」)。ドナ・タガート1stアルバムには、英Phil Colcloughが夫婦で訪れたアイルランドを思い妻と共に作詞作曲した「Song For Ireland」のカバー曲が収録。ダブリン歌手Mary Black版が最も有名であるが、ダナ版では、同イントロが映画『タイタニック』サントラ「Rose」や「My Heart Will Go On」を彷彿とさせるメロディーに変更されている。北アイルランドのベルファストで造船され、アイルランドのコーブ港を最後に出航した豪華客船タイタニック号。上流階級の豪華なフロアの下で、一途の希望を胸に多くのアイルランド労働者が船底のエンジンルームで働いていた。

米大陸でカントリー・ミュージック咲かせるケルト音楽、アメリカ音楽の種に

アメリカへと渡ったケルト音楽(*3)は、各々のケルト音楽(アイリッシュ、スコティッシュ、ウェリッシュ・ミュージック)、伝統音楽、アフリカ系アメリカ人の霊歌、賛美歌など影響を及ぼし合い、アメリカ音楽、殊にブルーグラス、カントリ・ミュージックの誕生・発展を迎えます。ケルト音楽をルーツとするカントリ・ミュージックは、やがてロック・ミュージック、そしてポップ・ミュージックへとそのアメリカ音楽の歴史を繋ぎます。一方アイルランドではアイルランド音楽グループ、クラナド(Clannad)が70年代、そうした米フォーク音楽と伝統のケルト音楽を融合。

80、90年代、ポップ・ミュージックをはじめニューエイジ、スームーズ・ジャズ、フォーク・ロックの要素を次々と取り込み築いたクラナドの音楽は現代ケルト音楽の礎となり、後に、妹エンヤ(Enya)、ザ・コアーズ(The Corrs)、U2、ケルティック・ウーマン(Celtic Woman)、リバーダンスなど世界的人気アイルランド音楽に多大な影響を与えます。

ケルティック・ウーマンによるカバー曲「You Raise Me Up」(ベストアルバム『エメラルド~音の宝石~』

こうして紀元前に生まれ楽譜に残さないケルトの音楽は、奇跡的に消失することなく、果てしない歴史を経て姿・形を変え、多様な民族・文化・音楽と融合し、再びアイルランド島ケルトの地でドナの”Woman’s Heart”と出会うことになります。

アリソン・クラウスとユニオン・ステーション(Alison Krauss and Union Station)「A Living Prayer」のドナカバー曲。アルバム未収録曲。

姿・形を変え、目には見えないが確かにそこにあるもの。「ケルトの不思議な世界」に惹きつけるのは音楽だけではありません。

ケルト神話で明らかになる妖精の正体は、最強種族のまさかの敗戦

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ドナの住む町から車で90分程南東にいくと、ケルト神話に登場する神族トゥアハ・デ・ダナーン族(Tuatha Dé Danann、以下「ダーナ神族」)が住んでいたとされる神秘的な世界遺産ニューグレンジがその姿を表します。

アイルランドの起源、来寇の史が伝えられるアイルランド神話『神話サイクル』(*4)のケルト神話では、四種の神器を携え霧の中から島に上陸した第5番目の種族、美しきダーナ神族が強大な超自然的力で島を統治する姿が描かれます。しかしイベリア半島北西からやってきたとされる(*5)ミレー族(Milesians)の侵略に激しい闘いの末敗戦。地上の支配に成功したミレー族は、後にアイルランドの子孫となり、一方、住む場所を追われたダーナ神族は、小さくなって目に見えない妖精(シー、Aos Sí、Sídhe)となり、丘の上、地下世界、西の海の彼方のあの世の楽園ティル・ナ・ノーグ(常若の国)に移住。ティル・ナ・ノーグは石塚、古墳、丘などでこの地と通じており今もその妖精が行き来し、人間にいたずらをすることもあると言われます。

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目に見えない妖精となったダーナ神族、その母神であるダーナ(ダヌ、Danu、Dana)は音楽・芸術に長けていたことでも知られます。

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ケルト十字(ケルティック・クロス、Celtic cross)。古代ケルト人が信じた輪廻転生、自然崇拝の思想・信仰を具象化するケルト独特の模様が刻まれる。ケルト美術史においてもケルトの多様性、変容性、多元性が表れる。

排他的一神教キリスト教布教の中、神格を剥奪され小さくなっていく妖精。しかし歴史的に極めて異例となる「融合」の形でケルト十字の中に残したケルト独特の模様の如く、滅びることなくファンタジー作品の世界で度々その姿を見せては、人々を魅惑の異世界へと誘います。

ドナ、Donna、ダナ、Dana、ダーナ?ケルティック・レディに住む妖精

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一見フォーク、カントリーのカバー曲集にもみえる『Celtic Lady Vol. 2』、伝統的なケルトのハープも(スコットランド音楽の)バグパイプも、いかにも”ケルト”な音楽もそこにはない。しかし生と死を超えた世界が綴られるリリック、一曲一曲聴くごとに何かが削ぎ落とされ心が澄み渡っていく不思議な歌声、悲しみは涙に、涙は癒やしに、目には見えないものが優しく心を包んでいきます。古代ケルト人が信じた自然と共存する命の輪廻転生、それは神々の姿に、音楽に。姿・形を変え、現代にその生命を宿します。

最も強い種が生き残るのではない、最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。
ダーウィン – Charles Darwin

天使を羨むことしかできない残された人々の心を襲い苦しめる「神のみぞ知る」その理由。しかしそれに答えるかのように、ドナ”Mom”は神の言葉の中にそっと歌い上げます。「もちろん一緒にいたいよ。でもね、特別にね君を待ち望んでいる人がいるんだよ。だからもう泣かないで。あそこで君を待ち望む人がいるのだから。どんなときも君が大丈夫でいられるように、それだけを生きる意味にしている人がいるのだから。愛しい天使よ、思いやり深く、めげない、強い子よ。さあそろそろ時間だよ。」「そして君をその道へと導いてくれる、また私のところに戻ってくる道へとね」。でもその時までは…。

ドナ・タガートは現在「Mom」をリード・シングル曲とする自身3作目となるアルバムを制作中。世界の人々から注目を集める中、今年遅くにリリース予定であることが報じられています。

(記事)“Donna’s riding high with Beyoncé, Adele and Britney” on Ulster Herald
(記事)“Donna Taggart releases special song for ‘Mom’” on Ulster Herald
(記事)“Captivating voice of Donna Taggart with ‘Jealous Of The Angels’ is No1 in US Easy Listening Charts” on TyroneLife
(記事)“Irish star Donna Taggart tops world easy listening sing charts (VIDEOS)” on IrishCentral

(記事)“Facebook falls in love with Northern Irish singer Donna Taggart’s gorgeous rendition of Jealous of the Angels as it racks up 26million hits” on The Irish Post
(記事)“Northern Irish singer Donna Taggart tops US Billboard charts with Celtic Lady” on Belfast Telegraph
(記事)“Busy Northern Ireland mum top of pops in the US as song racks up 27 million views” on Belfast Telegraph
(記事)“Irish singer tops US Easy Listening chart” on RTÉ
(記事)“Irish video 25M views” on The Irish World

(記事)“The Tuatha De Danann: Were they Irish gods or aliens? (PHOTOS)” on IrishCentral
(記事)“Ireland” on Ancient History Encyclopedia

(参考文献)河合隼雄『ケルトを巡る旅 -神話と伝説の地

Donna Taggart
(公式サイト)http://www.donnataggart.com/
(facebook)https://www.facebook.com/donnataggartcelticlady
(twitter)https://twitter.com/TaggartDonna
(YouTube)https://www.youtube.com/user/donnamtaggart

※同記事内のドナ・タガートのコメントは上記ニュースサイト及び公式サイト、公式facebookから引用・翻訳したものです。またリスナーのコメントは公式facebookおよび公式YouTubeの投稿コメントから抜粋・翻訳したものです。


*1. http://jennbostic.com/news_item&NewsID=3765647608355
*2. 輪廻転生を苦しみとし、その輪から外れることを悟りする仏教の輪廻転生とは異なり、純粋に霊魂の不滅、命のサイクルを本質とする。もっとも自然崇拝の点で、古来の日本の信仰思想と共通するところが多く、縄文土器にはケルト模様と似た模様が描かれている。日本人の心に馴染み深い「蛍の光」や神仏習合の日本の歴史は、ケルトの世界観と日本人の心の親和性、類似性を示すものとして指摘される。
*3. アイルランド音楽(アイリッシュ・ミュージック、Irish Music)、スコットランド音楽(スコティッシュ・ミュージック、Scottish Music)、ウェールズ音楽(ウェリッシュ・ミュージックWelsh Music)
*4. ケルト神話(Celtic mythology)にはそれぞれ伝わる地方により、アイルランド神話(Irish mythology)、ウェールズ神話(Welsh mythology)などがあり、アイルランド神話(Irish mythology)は、神話サイクル(Mythological Cycle)、アルスターサイクル(Ulster Cycle)、フェニアンサイクル(Fenian cycle)、歴史サイクル(Historical Cycle)の4つの物語群から構成される。
*5. 最初のケルト人とも言われる、諸説あり。

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