イギリスのグラミー賞にあたるイギリス最大の音楽祭、第37回ブリット・アワード2017(2017 Brit Awards)の音楽賞授与式が、現地時間2月22日(水)、英ロンドンO2アリーナで開催。
昨年1月に肝癌により死去した英ロック界のレジェンド、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)が先月のグラミー賞最多タイ5部門受賞に続いて、「英最優秀英男性ソロ・アーティスト賞」(British Male Solo Artist)及び自身最後のスタジオ・アルバム『Blackstar』で「年間英最優秀アルバム賞」(MasterCard British Album of the Year)の最多タイ2部門の受賞を果たしました。
「年間最優秀アルバム賞」のトロフィーを受け取った息子で英映画監督のダンカン・ジョーンズ(Duncan Jones)はその受賞スピーチで「父はいつも自分のことをちょっと変な変わり者だと思っている人々に寄り添い、彼らを支え続けてきました。だからこの賞は変わり者な人々、変わった作品を作る全ての人々に捧げます」とその賞を捧げました。
エミリー・サンデー英女性歌手の頂点に
一方、「英最優秀女性ソロ・アーティスト賞」(British Female Solo Artist)は、エミリー・サンデー(Emeli Sandé)に贈られ、デビュー・アルバム『Human』が歴史的セールを記録したラグンボーン・マン(Rag’n Bone Man)は「英プレイクスルー・アクト賞」(British Breakthrough Act)、「批評家賞」(Critics’ Choice Award)の2部門で受賞。この新人賞と批評家賞を同時受賞したのはブリット・アワード史上初の快挙となります。
リトル・ミックス、The 1975初受賞
またリトル・ミックス(Little Mix)がそのヒット曲「Shout Out to My Ex」で「年間英最優秀シングル賞」(British Single)を受賞、The 1975が「英最優秀グループ賞」(British Group)を受賞し、それぞれ自身初のブリット・アワードの受賞に。
「我々はこのバンド活動を始めて、13、14年になります。そして我々が今夜ここにいる理由は我々のアルバムのおかげだと思っています」と昨年2月に2ndスタジオ・アルバム『I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful yet So Unaware of It』をリリースしたThe 1975のフロントマン、マシュー・ヒーリー(Matt Healy)がその受賞スピーチで語ります。
「そのアルバムで我々がしようとした唯一のことは、14年前の場所に戻ること、我々が生き生きと感じ、音楽が我々に生きていることを感じさせてくれたあの時に。だから純粋にその業界から何か祝福を受けることは、実はものすごく感動的なことです」。そして最後に「ポップ音楽界や我々世間では、決められたことを忠実にやり続けろと何度も言われます。しかしもしも自分なりのしっかりしたものがあるならば、どうか彼らの言うことや常識に従わないで下さい」と訴えます。
豪華パフォーマンス
リトル・ミックスによる圧巻のパフォーマンス「Shout Out to My Ex」でキックオフした同授与式のパフォーマンスでは、ブルーノ・マーズ(Bruno Mars)がその最新ヒット曲「That’s What I Like」を披露。
またエミリー・サンデーが自身の最新アルバム『Long Live the Angels』のリード・シングル曲「Hurts」、The 1975がその最新アルバム『I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful yet So Unaware of It』の4thシングル「The Sound」を披露します。
故ジョージ・マイケルへのトリビュート
歴代の偉大な亡きアーティストの映像と音楽がスクリーンに流れる中、昨年クリスマスに53歳で亡くなった英ジョージ・マイケル(George Michael)の追悼へ。ワム!(Wham! )時代の相方アンドリュー・リッジリー(Andrew Ridgeley)が当時ワム!のツアーに同行していたバック・シンガーPepsi & Shirlieらと共に登場します。
3人が代わる代わるスピーチを行い、シャーリー・ホリマン(Shirlie Holliman)が「ジョージは私にとって兄弟のような存在で、彼の偉大なる功績にこれからもずっと誇らしく思っています」と涙ながらに言葉にすると、会場から歓声と拍手で包まれます。
スピーチの最後にアンドリュー・リッジリーは「疑いなき輝かしい才能の彼のレガシーは時代を超えて輝き、響き渡ることでしょう。彼の歌の中で、彼の歌声の卓絶した美の中で、彼の魂の詩的表現の中で、ジョージは最高の彼自身を遺してくれました。彼を愛しています。そして私たち、あなたはずっと愛されています」と述べると、コールドプレイ(Coldplay)のフロントマン、クリス・マーティン(Chris Martin)のトリビュート・パフォーマンス「A Different Corner」へ。
スクリーンに映る彼の栄光とフルオーケストラによる演奏をバックに、亡きジョージ・マイケルと奇跡のデュエットを果たし、感動的なハイライト・シーンを迎えます。
その後ケイティ・ペリー(Katy Perry)とボブ・マーリーの孫スキップ・マーリー(Skip Marley)により、ケイティ・ペリー最新シングル曲「Chained to the Rhythm」を披露。今月2月6日に開催されたスーパーボウル2017ハーフタイムショーでレディー・ガガによるパフォーマンスの隠れた政治的メッセージが話題となる中、同じく2017年米大統領選でヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)候補陣営の顔となったケイティ・ペリーのパフォーマンスでは、黒いスーツに赤いネクタイのスケルトンと赤いスカートのスケルトンのパペットが登場。
先月イギリス国民から大きな反発を呼んだトランプ大統領と英メイ首の会談への批判的表現が過る中、家のオブジェを被ったダンサーが舞台からダイナミックに落下。政治的主張よりも逆に「スペクタクルな落下」の見出しとなりメディアに取り上げられます。
また授与式のパフォーマンスではスケプタ(Skepta)が自身のヒット曲「Shutdown」を披露。1Dのサプライズ・パフォーマンスが期待される中、サプライズで登場したのは、今最も熱いDJデュオ、ザ・チェインスモーカーズ(The Chainsmokers)とコールドプレイ。
そしてサプライズ・シングル曲「Something Just Like This」をブリット・アワードのステージで初披露し、会場を熱狂の渦に。
そして同曲は同日リリースされ、海を渡り全米iTunes総合シングルチャートでも第1位を記録するなど最大の話題曲となります。
その後エド・シーラン(Ed Sheeran)とストームジー(Stormzy)が登場し、エド・シーランのメガヒット曲「Castle on the Hill」、「Shape of You」を披露。
そしてトリを務めるロビー・ウィリアムズ(Robbie Williams)が「The Heavy Entertainment Show」、「Love My Life」、「Mixed Signals」で圧倒的パフォーマンスを披露し、最大のフィナーレを迎えその幕を閉じます。
なおブリット・アワード2017のノミネーション及び全受賞者リストは以下の通り。ワン・ダイレクション(One Direction)が「History」で「最優秀ビデオ賞」(Best British Video)を受賞、各々ソロ活動となる中、リアム・ペイン(Liam Payne)のみが登場し、「ワン・ダイレクションは私たちの姿であり、これからもずっとワン・ダイレクションであり続ける」とコメント。
また先日のグラミー賞で最も注目されたビヨンセ(Beyoncé)が主要3部門で全滅し、他の黒人アーティストらの結果とあいまって、「性差別である」と黒人らからの怒りの声がメディアで大きく取り上げられる中、同ブリット・アワードでは、ドレイク(Drake)が「国際男性ソロ・アーティスト賞」(International Male Solo Artist)、ビヨンセが「国際女性ソロ・アーティスト賞」(International Female Solo Artist)を受賞。またア・トライブ・コールド・クエスト(A Tribe Called Quest)が「国際グループ賞」(International Group)を受賞しました。
そして先日のグラミー賞で最多タイ5冠を制しグラミー史に新たな歴史を作ったアデル(Adele)は「グローバル・サクセス賞」(BRITs Global Success Award)を受賞。「英最優秀女性ソロ・アーティスト賞」にノミネートされずファンらから「ジョークだろ」との声が飛び交う中、授与式を欠席したアデルはビデオ・メッセージで(既に)そのトロフィーを手に、(カットされることなく)喜びのメッセージを送りました。
Craig David
デヴィッド・ボウイ(David Bowie) – WINNER
Kano
Michael Kiwanuka
Skepta
Anohni
Ellie Goulding
エミリー・サンデー(Emeli Sandé) – WINNER
Lianne La Havas
Nao
The 1975 – WINNER
Bastille
Biffy Clyro
Little Mix
Radiohead
Anne-Marie
Blossoms
ラグンボーン・マン(Rag’n Bone Man) – WINNER
Skepta
Stormzy
Alan Walker「Faded」
Calum Scott「Dancing On My Own」
Calvin Harris ft Rihanna「This Is What You Came For」
Clean Bandit ft Sean Paul & Anne-Marie「Rockabye」
Coldplay「Hymn For the Weekend」
James Arthur「Say You Won’t Let Go」
Jonas Blue feat. Dakota「Fast Car」
リトル・ミックス(Little Mix)「Shout Out To My Ex」 – WINNER
Tinie Tempah ft Zara Larsson「Girls Like」
Zayn「Pillowtalk」
The 1975『I Like It When You Sleep for You Are Beautiful Yet So Unaware of It』
デヴィッド・ボウイ(David Bowie)『Blackstar』 – WINNER
Kano『Made in the Manor』
Michael Kiwanuka『Love & Hate』
Skepta『Konnichiwa』
Bon Iver
Bruno Mars
ドレイク(Drake) – WINNER
Leonard Cohen
The Weeknd
ビヨンセ(Beyoncé) – WINNER
Christine and the Queens
Rihanna
Sia
Solange
ア・トライブ・コールド・クエスト(A Tribe Called Quest) – WINNER
Drake & Future
Kings of Leon
Nick Cave & the Bad Seeds
Twenty One Pilots
Adele「Send My Love (To Your New Lover)」
Calvin Harris ft Rihanna「This Is What You Came For」
Clean Bandit ft Sean Paul & Anne-Marie「Rockabye」
Coldplay「Hymn for the Weekend」
James Arthur「Say You Won’t Let Go」
Jonas Blue ft Dakota「Fast Car」
Little Mix ft Sean Paul「Hair」
ワン・ダイレクション(One Direction)「History」 – WINNER
Tinie Tempah ft Zara Larsson「Girls Like」
Zayn「Pillowtalk」
アデル(Adele) – WINNER