スーパーボウル2017ハーフタイムショーにレディ・ガガ、国歌斉唱にはルーク・ブライアン


1440 810 VOICE Editor

現地時間先週6日(日)、全米最高視聴者数を誇るNFL王座決定戦、第51回スーパーボウル(Super Bowl LI)が米テキサス州ヒューストンNRGスタジアムで開催され、初優勝をかけるNFC王者ファルコンズ(Atlanta Falcons)とAFC王者ペイトリオッツ(New England Patriots)が激突。残り1分で厳しい逆境の中同点に追いついた名QBトム・ブレイディ(Tom Brady)率いるペイトリオッツが、スーパーボウル史上初となる延長線の末、34-28でファルコンズを破り奇跡の逆転勝利、2年ぶり5度目のリーグ優勝を果たしました。

わずか30秒のCM放送料に約5億円(英文記事「スーパーボウル広告5億円でもバーゲン」)というスーパーボウルの世界の中で、毎年名だたるアーティストが務めるそのハーフタイムショーには、前大会で国歌斉唱を披露した米レディ・ガガ(Lady Gaga)が起用。

今年リーグ最多得点のファルコンズの猛攻に押され前予想に反しまさかの3-21で前半を終了すると、スタジアムの巨大スクリーンには輝くブルーのレオタードのレディ・ガガがNRGスタジアムの屋上に。300機の青、赤、白のドローンが夜空に星条旗を描く中、30歳のグラミー賞歌姫は、アメリカ”第2の国歌”「God Bless America」に、米ウディ・ガスリー(Woody Guthrie)の「This Land Is Your Land」を緩やかにしかし力強い歌声で歌い上げると、星条旗の星の如く輝くそのカラーは一つに。「一つの国、神の御下に、団結を、全ての人々の自由と正義とともに」と訴えると、(米バズ系サイトで爆笑のネタともなった想定外のスタイルでぶわっとジャンプし、)観客の歓声が轟くスタジアムに。

(後に”パクリ”であるとピンクのファンらから抗議が殺到しピンクが擁護することになる*1)ワイヤーアクションによるアクロバットなパフォーマンスで、自身の代表曲「Poker Face」、「Born This Way」、「Telephone」、「Just Dance」などヒット曲のメロデーを披露すると、スタジアムのボルテージは最高潮に。

「アメリカのみんな、世界のみんな、今夜の調子はどう?みんなに楽しんでもらえるように私たちはここに来たわ。一緒に楽しんでいる?」そう呼びかけると、昨年10月にリリースした最新5thアルバム『Joanne』からの唯一の披露曲となる2ndシングル曲「Million Reasons」をピアノで静かに弾き語り、これまでのハーフタイムショーとしては異例のパフォーマンスを披露。そしてフットボールの肩パットをイメージした衣装に変えると、再びアップビートなメロディにのせLGBTQのアンセム「Bad Romance」を披露し、観衆の絶叫が鳴り止まぬ中、フィールドへタッチダウンしその約13分間の圧巻のパフォーマンスの幕を閉じます。

歴史に残る激闘の第51回スーパーボウルハイライト動画

「隠れた政治的メッセージ」

2017年米大統領選ではケイティ・ペリー(Katy Perry)とともにヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)候補陣営の顔ともなったレディ・ガガ。政治を持ち込んではいけないというスポーツの基本的理念がある中、レディ・ガガに対してはNFLより大統領選、ドナルド・トランプ大統領のことなど政治的主張をしないよう言われていることがリークされ、NFLがこれを否定する事態に。

(記事)“EXCLUSIVE: Lady Gaga Asked Not to Talk About Politics, Donald Trump During Super Bowl Halftime Show, Source Says” ET Online
(記事)“N.F.L. Denies Lady Gaga Was Asked Not to Talk About Trump at the Super Bowl” on Vanity Fair

イスラム圏7か国の国民や難民の入国を一時禁止するドナルド・トランプの大統領令に対する反対運動が過激化し、大会開催直前にはシアトル連邦地裁が同大統領令差し止めの仮処分決定するなど、全米でその関心が高まる中、レディ・ガガが披露したのは、同トランプ大統領令への反対デモで歌われたことで知られる「This Land Is Your Land」。今回のパフォーマンスを「レディ・ガガの隠れた政治的メッセージ」として米各誌より報道されることになります。

「私は多様性を受け入れる情熱を信じています」と大会の記者会見で語るレディ・ガガ。「私は平等の精神を信じています、この国が愛と思いやりと寛容の国であるという精神を信じています。」、「私のパフォーマンスはこうした私の人生観を支えるものになるでしょう」。

感動のドローンシーンは実は…

そうした彼女の思いがこもった星条旗から団結を具象化する300機のドローンのシーン、その「God Bless America」、「This Land Is Your Land」のパフォーマンスは事前に撮影されたものであることが後に判明(*2)。実際にドローンを見ていないという観衆の声とアップロードされた動画もあり、天候への懸念と大会当日のドローン規制のため、実際にはレディ・ガガはスタジアムの空中でワイヤーにぶら下がり待機していたことが報道されます。

(記事)“Nobody at the Super Bowl actually saw Lady Gaga’s drones” on Cnet

歴史的大会は過去最高の歴史的記録を樹立

激闘の延長線の末、大逆勝利で「歴史に残るスーパーボウル」として注目を集めた今回の大会、今年の独占放送権を所有する米FOXチャンネルでは平均視聴者数1億1130万人を記録し、1億1440万人の史上最高の平均視聴者数を記録した2015年大会を最後に2年連続の減少傾向に。平均視聴者数としては、同大会は全米TV史上第5位を記録。しかし、米FOXスペイン語版やストリーミングでの視聴者数を合計すると、1億1370万人となり、スーパーボウルの全米平均視聴数としては、歴代2位を記録していることが報じられます。またトータルでの視聴数では、全てのプラットフォームでの視聴者数を合計すると、1億7200万人を記録し、トータル視聴数としては、全米TV史上最多の視聴者数を記録したことが発表されました。

一方約10分間で5100万ツイートを記録し全米を熱狂で包んだこのレディ・ガガのペプシ・ゼロシュガー、スーパーボウル・ハーフタイムショー自体はTV視聴者1億1750万人を記録(8:15-8:30 PM ET)し、2015年ケイティ・ペリーが1億2070万人記録した史上最高記録に次ぐ第2位を記録。

(記事)“Super Bowl LI Audience Hits a Record 172 Million Viewers” on Comingsoon.net
(記事)“Super Bowl’s TV ratings slip for the second straight year” on L.A. Times
(記事)“TV Ratings Sunday: Super Bowl LI is huge but not quite a record” on Screener
(記事)“Super Bowl LI Pulls in 111.3 Million Viewers on Fox, Shy of 2015 Ratings Record” on Variety
(記事)“Lady Gaga Super Bowl Halftime Show Drives 5.1 Million Tweets” on Billboard

2016年第50回スーパーボウルでのハーフタイムショーは、英コールドプレイ(Coldplay)に、米ビヨンセ(Beyoncé)、米ブルーノ・マーズ(Bruno Mars)がコラボレーション。

前日比1,000%の売上げを記録

その規模とは裏腹に「ノーギャラ」として知られるスーパーボウル・ハーフタイム・ショー。しかし同ハーフタイム・ショー放送日、iTunes総合アルバム・チャートで『Joanne』が第1位に急浮上するなど、レディ・ガガのアルバム・シングル曲が150,000デジタル・セールスを記録し、前日の15,000 デジタル・セールスに比べ、1,000%の売上げを記録。また大会終了後には、自身のツイッターでコンサート・ツアー「Joanne World Tour」を発表、8月カナダ・バンクーバーよりキックオフされます。

(記事)“Lady Gaga’s Sales Surge Over 1,000% in Wake of Super Bowl Halftime Show” on Billboard
(記事)“Lady Gaga announces Joanne world tour” on EW

国歌斉唱に約10年ぶりの男性ヴォーカルに

前大会ではレディ・ガガがその圧倒的な存在感で歌い上げた国歌斉唱。2007年第41回スーパーボウルで披露した米ロック・シンガー・ソングライター、ビリー・ジョエル(Billy Joel)を最後に約10年間女性歌手がその大役を担う中、今年の大会では、ファルコンズの州、ジョージア州出身の米カントリー界の若手スター、ルーク・ブライアン(Luke Bryan)が登場。

その甘いマスクに全米のカントリー・ファンを虜にする深く渋い歌声で星条旗「The Star-Spangled Banner」を歌い上げ、退院したばかりのジョージ・H・W・ブッシュ(George H. W. Bush)元米大統領のコイントスへつなぎます。

(記事)“Luke Bryan Brings a Little Country to the National Anthem at Super Bowl 2017: Watch” on Billboard

また国歌斉唱前には、米人気ブロードウェイ・ミュージカル『ハミルトン』(Hamilton)のスカイラーズ姉妹のキャスト、フィリッパ・スー(Phillipa Soo)、レネイ・エリース・ゴールズベリイ(Renée Elise Goldsberry)、ジャスミン・ケパ・ジョーンズ(Jasmine Cephas Jones)が「America The Beautiful」披露。

前夜祭にテイラー・スウィフト、最新曲ライブ初披露

同大会の前夜祭(DIRECTV NOW Super Saturday Night Concert)には、テイラー・スウィフト(Taylor Swift)が映画『フィフティ・シェイズ・ダーカー』(原題: “Fifty Shades Darker”)主題歌で、ワン・ダイレクション(One Direction)のゼイン・マリク(Zayn Malik)との最新ヒットコラボ曲「I Don’t Wanna Live Forever」をライブで初めてパフォーマンス。「You Belong With Me」、「Style」、「22」、「Blank Space」等ヒット曲を披露し観客を沸かせました。

(記事)“Taylor Swift Performs ‘Better Man’ & ‘I Don’t Wanna Live Forever’ for First Time at Stunning Pre-Super Bowl Set” on Billboard
(記事)“Taylor Swift’s pre-Super Bowl show might be her only in 2017” on Fox

(参考)“Lady Gaga Opens Super Bowl LI Halftime Show With Tribute to America” on ABC
(参考)“Watch Lady Gaga’s Drone-Assisted Hits Medley at Super Bowl 51 Halftime Show” on Rollingstone
(参考)“Did you catch these hidden messages in Lady Gaga’s halftime performance?” on USA Today
(参考)“At the Super Bowl Halftime Show, Lady Gaga Stays Above the Fray” on Vogue
(参考)“Lady Gaga’s Super Bowl Halftime Show Was a Dazzling, Mic-Dropping Spectacle” on Vanity Fair
(参考)“Tears and Cheers as ‘Emotional’ Lady Gaga Exits Super Bowl Stage” on Billboard
(参考)“Hillary Clinton Goes ‘Gaga’ for Super Bowl Performance (But Trump Was Only Watching the Game)” on Billboard
(参考)“The 5 biggest moments from Lady Gaga’s Super Bowl halftime show” on NME
(参考)“Taylor Swift Performs ‘Better Man’ & ‘I Don’t Wanna Live Forever’ for First Time at Stunning Pre-Super Bowl Set” on Billboard


*1. (記事)“P!nk Shuts Down Lady Gaga Super Bowl Backlash” on Billboard
*2. さらにクロマキー合成と思われるも痕跡も。

関連記事

新着記事

洋楽最新情報をフォロー