アンドレア・ボチェッリ、ミラノ大聖堂の復活祭ライブ 世界280万人超が同時視聴し新記録


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イタリアの世界的テノール歌手アンドレア・ボチェッリ(Andrea Bocelli)が復活祭の日、イタリア・ミラノのシンボルである歴史的大聖堂(ドゥオーモ)で無観客のソロ・パフォーマンス『Andrea Bocelli: Music for Hope – Live From Duomo di Milano』(邦題:希望の音楽 /ユニバーサル ミュージックジャパン)を行い、音楽史に新たな歴史を刻んだ。YouTubeのライブ配信で予定されていた開始時刻(日本時間4月13日午前2時)より少々遅れて始まったライブ・パフォーマンスでは、ピーク時に世界280万人以上が同時視聴し、クラシック音楽のライブ配信イベントとして、YouTube史上最多の同時視聴者数となったことが、現地時間4月15日、正式に発表された。

ライブ配信終了後も同模様はYouTubeで配信され、最初の24時間で動画再生回数2800万回を超え、現在までに累計視聴数3600万回を超えている。ボチェッリの復活祭コンサートは、過去48時間に複数国のYouTubeトレンド・チャートで第1位を記録。アメリカ、イギリス、イタリア、カナダ、スペイン、そして中南米諸国(メキシコ、アルゼンチン、ボリビア、チリ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、グアテマラ、ホンジュラス、パナマ、ペルー、パラグアイ、ウルグアイ、ニカラグア、ブラジル)で第1位となった。

今回の発表を受けてボチェッリは声明(ユニバーサル ミュージックジャパン)で、「私たちが予想していたどのような予想をも上回るほどの反響をいただけたことに、大いに感動し、心より喜んでおります。アーティストにとって、昨日の出来事は、生涯で最も尊い犠牲が払われるべき理由でした。信徒であり、カトリックである私には、天父が子供達に向ける慈愛溢れる微笑みをより深く確認する出来事でもありました。何百万という人々が一つの抱擁のもとに集まり、捧げる祈り。そこに私の声をお貸しすることができたことは非常に大きな誇り、名誉であります。この小さくも偉大な奇跡のような出来事。主役は他ならぬ世界であり、地球には明るい未来が待ち受けていると信じられる私の思いを裏付ける出来事でした。何週間にもわたり、準備を勧めてくれたマネージメント、レコード・レーベルに感謝します。そして私たちと思いをひとつに、この瞬間を分かち合ってくださった全ての方に、感謝を申し上げます」。

新型コロナウイルスの急速な感染拡大によりロックダウンした世界。それぞれの家で100万人以上の人々が開始前から待っていたライブ配信は、パンデミックで静まり返るイタリアとその街を見守る大聖堂が映し出され、ボチェッリの穏やかな言葉から始まった。「命の勝利を信じ祝う復活祭の日。ミラノ市、大聖堂ドゥオーモからの招待に、”Sì”と答えられることを名誉に思い、幸せに思います。私は信じています、共に祈ることの力を。私は信じています、復活祭を。それは普遍的な復活の象徴であり、クリスチャンであるかに関わらず、全ての人が今、必要としているものです」。

「世界中の人々が輪になり一つになれる音楽とライブ配信。その力を借り、私たちはこの傷ついた地球の鼓動、そしてイタリアの誇りであるこの素晴らしい世界的な鍛冶場を抱きしめようではありませんか。寛大で、勇敢、前向きなミラノとイタリアが再び、皆の願いである勝者のモデル、ルネッサンスの原動力となる日は、目の前です。生命誕生と復活の神秘を祝う復活祭の日、ドゥオーモでそれを目にし、喜びの日になるでしょう」。

大聖堂には、ボチェッリとドゥオーモ専属のオルガン奏者Emanuele Vianelli。無観客のなか行われたおよそ25分のライブでは、賛美歌「天使のパン」(フランク)、「アヴェ・マリア」(J.S.バッハ/グノー)、「聖なるマリアよ」(マスカーニ/メルクリオ編)、「主なる神~《小ミサ・ソレムニス》より」(ロッシーニ)を披露。生命復活の象徴の日にふさわしい高揚感溢れるキリスト教の宗教音楽から選曲され、独唱とオルガンのためにアレンジ。ステンドグラスから色鮮やかな光が射し込み、荘厳な大聖堂は世界最大級のパイプオルガンの神聖な音色に包まれ、ボチェッリは愛と癒やし、希望を響かせた。

大聖堂を出ると、誰もいない壮大な広場にマイクが一つ。先天性緑内障により重度の視覚障害をもって生まれ、12歳の頃完全に視力を失ったアンドレア・ボチェッリは、苦難と挫折、葛藤の中で愛と信仰に導かれ、30代後半になりその名と歌声を世界中に広めた(記事)。マイクの前で足を止め、アカペラで歌い出したのは事前の曲目になかった賛美歌「アメイジング・グレイス」(伝承曲)。慈愛に満ちた歌声は大聖堂の巨壁に反響、パンデミックで一変した静寂のパリ、ロンドン、ニューヨークに流れた。

「素晴らしき神の恵み、なんと甘美な響きよ/私のようなならず者も、救って下さった/かつて見失っていた、しかし今、見出される/かつて盲目だった、しかし今は見える」、「神の恵みは私に畏れの心を諭し/神の恵みは私の畏れを解き放った/なんと神の恵みは尊いものだったか/初めて神を信じた時」

「幾多の危険、苦難、誘惑を乗り越え/ここまできた/私を無事に導いて下さったのは神の恵み/そして神の恵みが私を天の家へと導くだろう」、「そう、この体と心が衰え/限りある人生に終わりがくる時/天で待っているものがある/それは喜びと平穏の命」

「素晴らしき神の恵み、なんと甘美な響きよ/私のようなならず者も、救って下さった/かつて見失っていた、しかし今、見出される/かつて盲目だった、しかし今は見える」、「かつて盲目だった、しかし今は見える」

著名人からもその感動の声が数多く寄せられ、「The Prayer」(’99)のセリーヌ・ディオン(Céline Dion)は、「親愛なるアンドレア・ボチェッリ、あなたの歌声はこの困難の中にある私たちに、希望と癒やしを届けてくれました。あなたとご家族に永遠の愛を贈り、健康と幸せを祈っています」(SNS)。今回披露したボチェッリのライブ音源は、EP『Music for Hope: From the Duomo di Milano』でデジタル・リリースされている。YouTube音楽部門グローバル・ヘッドのリオ・コーエンは「音楽には世界中のコミュニティを一つにする力があります。それは音楽にしかないユニークで大きな力です。この未曾有の時代、人間が気持ちを一つにし、音楽を通じて繋がり合うことは何よりも大切なことです。この歴史的な日に、音楽を通じて一つの家族となった世界が、アンドレア・ボチェッリのパフォーマンスを見て聴けるよう、YouTubeがその役割を担えたことを名誉に思っています」。

今回のコンサートとは別に、現在ボチェッリは自身の基金「The Andrea Bocelli Foundation」(ABF)で、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のため働く医療従事者を支援するため、緊急の募金活動(GoFundMe)を行っている。これまでに27.1万ドル(約2921万円)の寄付を集め、イタリアの医療現場に防護服などを提供。またボチェッリは、WHO(世界保健機関)とGlobal Citizenによるバーチャル慈善コンサート『One World: Together At Home』(記事)に出演する予定となっている。

EP『Music for Hope: From the Duomo di Milano』トラックリスト
1.「Mass, Op. 12: Panis Angelicus」(César Franck)
2.「Ave Maria, CG 89a」(Charles Gounod & Johann Sebastian Bach)
3.「Sancta Maria」(Pietro Mascagni)
4.「Petite Messe Solennelle: Domine Deus」(Gioacchino Rossini)
5.「Amazing Grace」(John Newton)
※ Arr. Emanuele Vianelli [Live from Duomo di Milano, Italy / 2020]
A Decca Records Release; ℗ 2020 Sugar Srl, under exclusive license to Decca Records, a division of Universal Music Operations Limited

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