アメリカズ・ゴット・タレント2018波乱の決勝 シン・リム優勝


2400 1350 VOICE編集部

全米がその頂点に選んだのは、9ハートで全米の心を動かしたカード・マジシャン。米マサチューセッツ州のシン・リム(Shin Lim)がAGT2018の激戦を制した。

およそ3ヶ月半に渡り全米を熱狂に包んだ米NBCオーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』(原題:America’s Got Talent)シーズン13、アメリカの投票によって選ばれたファイナリスト10組が今週18日(日本時間19日水曜日)最終決戦に挑み、一夜明け迎えた結果発表。シン・リムとオーストリアのアクロバティック・ダンス・グループ、ズーカローがステージに残され、司会タイラ・バンクス(Tyra Banks)が優勝を発表、「アメリカはシン・リムに投票したわ」、「世界で最もセクシーなマジシャン!」、歓喜に包まれるなか準優勝となったズーカローのメンバーらは、シン・リムに駆け寄り彼を胴上げし祝福した。マジシャンのAGT優勝者としてはシーズン9覇者マット・フランコ(Mat Franco)に続き2人目。

今シーズン、第1ラウンドからセンセーションとなりフロントランナーとしてアメリカのみならず、イギリス、そして各メディアからも大きな注目を集めていたコートニー・ハドウィンはトップ6でフィニッシュ。劇的な結果にETは「番組史上最もサプライズで衝撃的な結末の一つ」と報じた。

シン・リムは優勝コメントで「皆さん、本当にありがとうございます、心から皆さんを愛しています」。優勝したシン・リムには、賞金100万ドル(約1.1億円)が贈られ、また再来月ラスベガスでヘッドラインショーを行う(※詳細は記事末尾)。番組でシン・リムは「もし16歳の時、シャイなキッズの私がいつかドルビー・シアターで、アメリカズ・ゴット・タレントの舞台で披露するなんて言われたら、私は信じなかっただろう」、「AGTで勝つことは、私の全てです」と語っていた。

ファイナル(The Finals)ではシン・リムは終盤8番目のアクトに登場。ドラマティックなピアノの演奏で観客らを驚かせると、「19歳の時、私は両手首に手根管症候群を発症し、ピアノを諦めざるを得ませんでした」と告げ、「それまで趣味だったマジックに段々と真剣に取り込むようになりました」。両親はフィリピン出身、自身はカナダで生まれ、現在ボストンに住む26歳は、手根管症候群のため20歳の頃音楽の道を断念。独学でマジックを学び、審査員からゴールデンブザーを獲得することなくファイナルを勝ち取ったシン・リムは、タイラ・バンクスが選んだ9のハートをもとに、カードを自在に操り、オーディション・ウィークから全米を沸かせてきたキメ顔カードマジックを披露。無数の9ハートが宙で踊るクライマックスでドルビー・シアターを沸かせた。

最後にしてこれまでとは違う”トリック”を仕掛けたシン・リム。パフォーマンス直後、審査員サイモン・コーウェル(Simon Cowell)は「なんて事だ、シン」、「コンペティションで君にはショーとしての演出が欠けていると私は思ってきた」、「今夜君は私が間違いだと証明した。素晴らしいアクトだった」。「ピアノの演奏からカードマジック、私の人生で見たことのないようなものを目にした。本当に最高だったよ」、「このコンペティションで君は勝利するかもしれない。とても素晴らしいものだった」。

優勝後、シン・リムはUSA TODAY紙のインタビューで、「準々決勝のあと、サイモン・コーウェルが私に、テーブルでの手品から離れる必要があると言っんだ、小さいものから離れ、もっと大きくやれと」。「それがずっと頭の中にあって、こう思うようになった、”この番組でいい結果を出すなら、何かでかいことに挑戦しないとダメだ”って」。そして番組終了後サイモン・コーウェルは「彼は私のメッセージを理解した、次のレベルに行くには、もっとスケールを大きくしないといけないということをね」、「ショーマンにならないといけないんだ」。ゴールデンブザーの特権が強化されたシーズン10(2015年)以降、優勝者はこれまで全てゴールデンブザー獲得者となっていたが、今回コートニー・ハドウィンらと共に人気を集めていたシン・リムがゴールデンブザーなくして見事優勝を決めた。

準優勝

タイラ・バンクスのゴールデンブザーから、準々決勝では旧約聖書『創世記』アダムとイヴの物語、準決勝では古代エジプトからインスパイアされた世界を舞台に再現、壮大なショーでオーディエンスを圧倒させてきたAGTの”グレイテスト・ショーマン”、ズーカロー(Zurcaroh)(8歳〜40歳)は、ファイナルでは5番目のアクトに登場した。

映画『アバター』を彷彿させる幻想的な美しい舞台に、ライオン・キングなシーンから「Baba Yetu」(ババイェツの歌)に合わせ、先住民族な衣装のズーカローがアクロバティックなパフォーマンスとスペクタクルなダンスで魅了。既に見せてきた大技を見せながらも、地球の少年と先住民な少女がやがて手を取り合う物語のなか、その圧巻のショーに会場には感嘆の声があがった。もしズーカローが優勝すれば、番組史上初のダンス・グループの快挙。惜しくもその新たな歴史は逃したものの、見事準優勝を果たした。

第3位

ファイナル最初のアクトで沸かせたのは、「キング・オブ・ヴァイオリン」(The King of Violin)、ワシントンD.C.出身でロサンゼルスに住むエレクトリック・ヴァイオリン奏者ブライアン・キング・ジョセフ(Brian King Joseph)。2016年METガラを思い起こさせながら、目を蒼く輝かせるブライアンはカニエ・ウェスト(Kanye West)の「Heartless」を熱情の演奏で魅せた。審査員ホーウィー・マンデル(Howie Mandel)は「なんて素晴らしい演奏だったんだ、ショーのクローザーと思えるパフォーマンスで、幕を開けたなんて信じられないよ」。番組は彼を勝たせるつもりはなかったのだろう。笑顔を絶やさない27歳は、3年前に深刻な末梢神経障害を発症。指先と足の感覚を奪われ始め、痛みと闘うなかでの挑戦。医師らからは今頃は既にヴァイオリンを弾ける状態ではないだろうと告げられていたという。アメリカズ・ゴット・タレントの舞台に立つだけでも夢が叶った瞬間と語っていたブライアン、音楽のアクトでは今回最高位となる第3位に輝いた。

第4位

第4位に入ったのは、Dunkin’ Saveで決勝進出を決めたロサンゼルスのコメディアン、サミュエル・J・コンムロ(Samuel J. Comroe)。6歳の頃発症したトゥレット障害を武器に、爆笑で耐えられないとアメリカ人が口々にするテンポの良いジョークで笑いを誘い第4位となった。

第5位

ファイナルでは10組中4組がシンガーとなった今回のAGT。ファイナル最後のアクトに、サイモン・コーウェルのゴールデン・ブザー、マイケル・ケテラー(Michael Ketterer)がダイアナ・ロス(Diana Ross)のカバーでも知られるマーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)とタミー・テレル(Tammi Terrell)の1967年曲「Ain’t No Mountain High Enough」をエモーショナルに歌い上げ、シンガー最高位となる第5位でトップ5入りを果たした。米カリフォルニア州オレンジ・カウンティの子ども病院で小児精神科看護師として働く41歳は、奇跡的に命を授かった自身の娘に加え、ホームレスの子、脳性小児まひの子など5人の養子を迎え、6人の子を育てる父親。自身の子どもの心の病と向き合うなか、助けを必要としている子どもたちがいることに気付かされ、小児精神科の看護師になったという。

オレンジ・カウンティのキリスト教会(Influence Church)のワーシップ・リーダーでもマイケルは、オーディション・ウィークではビージーズ(Bee Gees)1967年曲「To Love Somebody」、準々決勝ではジェイムス・ベイ(James Bay)の「Us」、準決勝ではマイリー・サイラス(Miley Cyrus)による2010年映画『ラスト・ソング』(原題:The Last Song)曲「When I Look At You」をカバー。ソウルフルな歌声に人生の希望を込めるマイケル・ケテラーは、決勝でもそのメッセージを子どもたちに送った。

コートニー・ハドウィン

オーディション・ウィークではオーティス・レディング(Otis Redding)の1968年曲「Hard to Handle」で全米にセンセーションを巻き起こしたイングランド北東部ダラムの14歳の女子生徒、コートニー・ハドウィン(Courtney Hadwin)。ファイナルでは7番目のアクトに登場した彼女が選んだ曲は、ティナ・ターナー(Tina Turner)の1966年曲「River Deep – Mountain High」。普段は物静かでシャイだというコートニー、しかしソウルフルな序盤からそのシャウトを見せると、”ライオン”モードに入ったコートニーは、審査員ホーウィー・マンデルが「まるで全然違う時代から来たようだ」と脱帽する歌声とムーブで熱唱。ドルビー・シアターは審査員4人全員と観客のスタンディングオベーションに包まれた。

ジャニス・ジョプリン(Janis Joplin)を彷彿とさせると彼女にゴールデン・ブザーを贈っていたホーウィーは、興奮のなか「私たちは今ここで、スーパースターが生まれた瞬間を目撃しているんだ」。審査員メル・B(Mel B)は先週から一転、「でも今週は、最高だったわ!まさに自由になった鳥のように、そしてワイルドでクレイジーなあなたが大好き」。そして彼女をスターを超えた存在だと語る審査員サイモン・コーウェルは「君が歌うたびに、人々は君を記憶するだろう。君は人々をインスパイアする。君は全く新しい世代の人々に、ロックンロールが何たるかを伝えるだろう」。「君は偉大なシンガー以上の存在だ。君は時代を導くような存在だ」。

準々決勝では、ジェームス・ブラウン(James Brown)の1965年名曲「Papa’s Got A Brand New Bag」、準決勝では1969年米映画『イージー☆ライダー』(原題:Easy Rider)曲となったステッペンウルフ(Steppenwolf)の1968年曲「Born to Be Wild」を披露。アメリカの古き魂を持ったイギリスの少女の歌声は、同世代のみならず、60年、70年代に青春時代を送った世代らのハートも捉え、あるオーディエンスは「1964年に生まれ54年が経ったが、彼女は私の大好きだった音楽を蘇らせてくれた、本当に信じられない」。

4人のシンガーで票が分かれたことも指摘されるなか、今シーズン優勝最有力候補ながらトップ5入りを果たせずにフィニッシュとなった結果に衝撃の声が次々に寄せられ、ある若者は「コートニー・ハドウィンがトップ5にもならなかったの?!アメリカはどうしてしまったんだ?!」(Bryce Anderson)。一方ファンらから感謝と声援の声も寄せられ、「ありがとう、コートニー、君が私たちにもたらし分かち合ってくれた全ての感情に感謝、(…)、さぁ君の夢を追って!」そしてAGTはSNSで「君は最高のロックスター(the ultimate rockstar)だよ、コートニー・ハドウィン。これから君は世界を席巻するだろう、私たちは最前列にいる。もう緊張する理由なんてないよ」。

コートニー・ハドウィンの敗退に衝撃だったというサイモン・コーウェルはUSA TODAY紙に『アメリカン・アイドル』のジェニファー・ハドソン(Jennifer Hudson)、『Xファクター』でのワン・ダイレクション(One Direction)のように勝たなかったアーティストが後に大きなキャリアを築いた例を指摘し、「私は(2010年に)ワン・ダイレクションが勝たなかった時と同じように感じている。彼らが第3位となったときは、ボディーブローを食らったようだった」、「でもそれから素晴らしいことが起きた」。

コートニーの母親(Ann-Marie)は、コートニーの弟(Paul)と妹(Melissa)のためイングランドから娘の活躍を見守り、MailOnlineのインタビューで「アメリカズ・ゴット・タレントのファイナルに進んで、コートニーを本当に心から誇りに思っているわ」。「何年も家で娘が練習してきたこと、それを披露するステージの娘の姿を目にして、信じられないくらい素晴らしいわ」。またコートニーの叔母は「おめでとうコートニー、ここまで来れて、このためにあなたはとってもとっても頑張ってきた」、「あなたは私たちの家族で女の子たちのロールモデルだわ」、「あなたは女の子たちに、たとえどんな事があっても自分に正直でいる姿を見せてくれたわ」。

コートニー・ハドウィンは結果発表翌日にコメントを発表(日本時間9月21日、追記)、「昨晩私に投票して下さった皆さん、本当にありがとうございます。皆さんのお力がなければ、私はトップ10になることができませんでした、それはとっても素晴らしいものです!!」、「ずっと応援してくれて、本当に本当にありがとう、近い内にリリースする音楽、待っていてね😉❤️」。またシン・リムのラスベガスのショーにはコートニー・ハドウィンも参加することが明らかになり、コートニーは「本当に信じられないわ!」驚きと喜びを語った(追記、AfterBuzz)。


グレニス・グレイス

コートニー・ハドウィンと同じくトップ5入りは果たせなかったものの、ファイナルを沸かせたのは、”AGTのジェニー・リンド”、オランダ・アムステルダム出身の40歳グレニス・グレイス(Glennis Grace)。2005年、世界最大規模の欧州音楽コンペティション番組『ユーロビジョン・ソング・コンテスト』(Eurovision Song Contest)でオランダ代表を務めた歌姫は、オーディション・ウィークでは、ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)の「Run To You」を鳥肌の歌声で披露。ジャッジ・カットでは、プリンス(Prince)作曲、シネイド・オコナー(Sinead O’Connor)版で知られる「Nothing Compares To You」をユニークにアレンジ、準々決勝ではミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』(原題:The Greatest Showman)曲「Never Enough」で深い愛を歌い上げ、準決勝ではケイト・ブッシュ(Kate Bush)の「This Woman’s Work」で審査員メル・B(Mel B)を熱狂させた。

ファイナルで4番目のアクトとなったグレニスは、スノウ・パトロール(Snow Patrol)の「Run」を披露。ホーウィー・マンデルが言葉を失ったという感動の歌声を会場に響かせると、無数の光が舞うなかその力強く美しい歌声に止まぬ歓声とスタンディングオベーションが贈られた。

ファイナリスト

その他トップ6以下のファイナリストでフィニッシュとなったのは、ファイナル2番目のアクトとなったニューヨークのクラシカル・クロスオーバー歌手ダニエル・エメット(Daniel Emmet)、ファイナル3番目のアクトとなったカリフォルニア州オーシャンサイドのコメディアン、ヴィッキー・バーボラク(Vicki Barbolak)、そしてファイナル9番目のアクトとなったユタ州曲芸夫婦デュオ・トランセンド(Duo Transcend)。7カ国語で歌えるというダニエル・エメット(Daniel Emmet)は今回イタリア語でエド・シーラン(Ed Sheeran)の「Perfect」を披露しパワフルなオペラティック・ボイスで魅了。審査員ハイディ・クルム(Heidi Klum)は何度も這い上がってきた彼の姿とその歌声に心奪われ「あなたはファイターよ、あなたはずっと素晴らしいパフォーマーだったわ、そして最も美しい歌声をしているわ。間違いなく今シーズンの私のお気に入りの一人よ」。

「トレーラーの悪い子ちゃん」(Ms. Trailer Nasty)ことヴィッキー・バーボラクは、ファイナルを水着審査だと勘違い。「もうがっかりよ!水着審査じゃなかったの?」、「いいわ、どっちにしろ脱いじゃうわ!」

デュオ・トランセンドは、ブレることなく息も止まるセクシーな空中曲芸で魅せ、熱いキスを交わすと、妻は夫を突き落とし、無事リベンジを果たした。

豪華スター×ライブパフォーマンス

リザルトのシーズン・ファイナルにはスターらも駆けつけ、キッス(KISS)が「Detroit Rock City」でキックオフ、45年の活動の最後を飾るフェアウェル・ツアー『End of the Road』を発表した。

またビービー・レクサ(Bebe Rexha)は「I’m A Mess」を披露、さらにグレニス・グレイスと共にカントリー・ヒット「Meant To Be」でコラボ。

コートニー・ハドウィンはザ・ストラッツ(The Struts)と共に「Could Have Been Me」、そしてジャニス・ジョプリンの「Piece of My Heart」で盛り上げた。

ダニエル・エメットは三大テノール、スペインのテノール歌手プラシド・ドミンゴ(Plácido Domingo)と「Pearl Fishers」をデュエット。

準決勝でのサイモン・コーウェルの呼びかけに応じたガース・ブルックス(Garth Brooks)はマイケル・ケテラーのために「The Courage to Love」を書き下ろし、マイケル・ケテラーが愛の光をスピリチュアルに歌い上げた。

シン・リムは『American Ninja Warrior』のマット・イズマン(Matt Iseman)とAkbar Gbaja-Biamilaにカード・マジックを披露。

ブライアン・キング・ジョセフとデュオ・トランセンドは、踊るヴァイオリン奏者リンジー・スターリング(Lindsey Stirling)とその「Roundtable Rival」で豪華コラボを果たし、ズーカローは変わらぬスペクタクルなショーで観客らを沸かせた。

優勝者シン・リムは、再来月11月2日から4日まで、ラスベガスにあるパリス・ラスベガス・ホテル&カジノ(Paris Las Vegas)の「Paris Theater」にて、ヘッドラインショーを開催。ゲスト・パフォーマーには人気の高かったファイナリストが招かれ、コートニー・ハドウィン、ヴィッキー・バーボラク、ブライアン・キング・ジョセフ、デュオ・トランセンド、サミュエル・J・コンムロらが登場予定。イベント詳細は、パリス・ラスベガス公式サイト。チケット情報は、チケットマスターにて。

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