レディー・ガガ初主演映画『アリー/ スター誕生』サントラ、全米初登場第1位 サントラ3年半ぶり最高記録


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2018年12月21日(金)全国ロードショー

ブラッドリー・クーパー、レディー・ガガ主演による米映画『アリー/ スター誕生』(原題:A Star Is Born)のサントラ『A Star Is Born』が全米一般劇場公開に伴い今月5日にリリース、今週の全米ビルボード総合アルバムチャート「Billboard 200」で初登場第1位を飾った(Billboard、※2018年10月20日付)。『A Star Is Born』は集計締め切りの10月11日までに231,000同等アルバムを記録(※ニールセン・ミュージック調べ)。サウンドトラックの全米週間記録としては、2015年2月に258,000同等アルバムで初登場第2位となった映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』サントラ『Fifty Shades of Grey』(※2015年2月28日付)以来、およそ3年半ぶりの最高記録となった。

トゥエンティ・ワン・パイロッツ(twenty one pilots)の新作『Trench』(175,000同等アルバム)を初登場第2位に抑えて首位となった『A Star Is Born』は、大部分は従来のアルバムセールスで占め162,000セールスとなり、ストリーミング換算によるSEAは37,000、トラック換算によるTEAは32,000。純粋なアルバム売り上げ数でも『Fifty Shades of Grey』(210,000セールス)以来、およそ3年半ぶりのサントラ週間最高セールスとなった。今年に入ってからサントラとしては3枚目の全米首位で、サントラ4枚が全米首位となった2009年以来の最多記録とBillboardは報じている。今年は記録的セールスとなっている映画『グレイテスト・ショーマン』(原題:The Greatest Showman)サントラが2週連続首位(※2018年1月13日、20日付)、映画『ブラックパンサー』(原題:Black Panther)サントラが通算3週で全米首位(※2018年2月24日、3月3日、17日付)、いずれも週間記録では『A Star Is Born』が大きく上回っている。全英チャートでも『A Star Is Born』が初登場第1位を記録(Official Charts、※12 October 2018 – 18 October 2018)した他、カナダ、アイルランド、スコットランドなどでも首位、世界的ヒットを記録している。

映画『アリー/ スター誕生』は1937年同名の米映画『A Star Is Born』(邦題:スタア誕生)の3度目のリメイク作品。アルコール中毒のカントリー・ロックスター、ジャクソン・メインは、歌手の夢を諦めかけていたウェイトレスのアリーの歌声に心打たれ、彼女のシンガー・ソングライターの才能を見出し恋に落ちる。ジャクソンのツアーに同行していたアリーは、やがてカントリーからポップへ、その輝かしいスターダムにのし上がっていくが、一方ジャクソンは酒に溺れていき──。

本作で監督デビューとなった『ハングオーバー!』のブラッドリー・クーパー(Bradley Cooper)がジャクソンを演じ、歌手初挑戦ながら魂のこもった迫力のロック・ヴォイスと酸いも甘いも噛み分ける深みのある歌声で音楽ファンを驚かせ魅了する。一方アリー役にはレディー・ガガ(Lady Gaga)、大作映画の初主演にして機微に触れる見事な演技力で世界的注目を集め、その眼差しは劇場を出たあとも心を離さない。ハリウッドのトップスターがミュージシャンに、音楽界のカリスマが映画の大役に、共に枠を超えた才能で魅せる二人は、未踏の不安のなか、共に助け合い頼り合い同映画を完成させたという。ハリウッドの歴史を刻むこれまでのリメイクでは、1954年版(邦題:スタア誕生)ではジュディ・ガーランド(Judy Garland)、1976年版(邦題:スター誕生)ではバーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)が”A Star”を演じている。ジュディ・ガーランドに憧れて育ったというレディー・ガガは今年6月自身のSNSで「夢が叶った瞬間だわ、こんなにも素晴らしい映画に携われて光栄です。ブラッドリーは監督として、俳優として、そしてミュージシャンとして驚くべき才能に溢れているわ。”アリー/ スター誕生”という映画よ。皆さんがジャックとアリーと出会うことにとてもワクワクしているわ」。

カントリー、ロック、ポップなどジャンルの枠を超えた数々の劇中歌(及びダイアローグ)が収録されるサントラ『A Star Is Born』には、ジャックがアリーの歌声に出会うエディット・ピアフ(Édith Piaf)1946年代表曲「La Vie en Rose」(ばら色の人生 / ラ・ヴィ・アン・ローズ)のカバーをはじめ、ブラッドリー・クーパー、レディー・ガガが同映画のため書き下ろし歌ったオリジナル曲が多数収録。楽曲制作は映画製作中に行ったといい、「音楽がこの映画のなかの重要なキャラクターになった」とEWに語る監督ブラッドリー・クーパー、その音楽はストーリーのように成長していったという。

コー・ライターには、レディー・ガガのヒット曲で知られるプロデューサー/ソングライターが多く参加し、「The Cure」のマーク・ニラン・ジュニア(Mark Nilan Jr)、「Perfect Illusion」、『Joanne』のプロデューサー、マーク・ロンソン(Mark Ronson)、「Applause」、「The Cure」のニック・マンソン(Nick Monson)、「Born This Way」のプロデューサー、DJホワイト・シャドー(DJ White Shadow)。さらにダイアン・ウォーレン(Diane Warren)ヒラリー・リンジー(Hillary Lindsey)ら名だたるヒットメーカーに、ジュリア・マイケルズ(Julia Michaels)ジャスティン・トランター(Justin Tranter)ら今勢いのある若手ヒットメーカーを迎え、まさにドリームチームが集結した。ウィリー・ネルソン(Willie Nelson)の息子で、今回同映画のミュージック・コンサルタントを務めたルーカス・ネルソン(Lukas Nelson)もソングライターに加わり、同映画にも出演している。

ブラッドリー・クーパーとレディー・ガガによる主題歌「Shallow」(邦題:シャロウ ~『アリー/ スター誕生』愛のうた)は、今週全米ビルボード「Hot 100」で先週の第28位から大きく順位を上げて同サントラ収録曲最高位となる第5位(Billboard、※2018年10月20日付)。緩やかなアコースティック・ギターから次第にドラマティックにスケール感を増していくと、レディー・ガガのダイナミックな歌声とソウルフルなブラッドリー・クーパーの歌声が共鳴し合い、心震わせるハーモーニーを生み出す。「私は深淵に飛び込んでいくわ/飛び込んでいく姿を見て/底につくことはないわ/水面を突き破る/そこに私たちを傷つけるものなんてない /私たちは今、浅瀬から遥か遠くにいるわ

楽曲自体がストーリーの重要なワンシーンとなり、”浅瀬”(Shallow)から離れ二人の関係を深めていく姿を映し出すセントラル・ナンバー「Shallow」。ゼイン・ロウ(Zane Lowe)のBeats 1 Radioのインタビュー(動画)でレディー・ガガは同曲について「特に”Shallow”という曲は、この映画の中で極めて決定的な瞬間になっているわ」。「Shallow」はレディー・ガガがマーク・ロンソンアンドリュー・ワイヤット(Andrew Wyatt)アンソニー・ロッソマンド(Anthony Rossomando)と共に制作したという。「私たちはこの曲をアリーとジャックのために書き下ろしたもので、とても特別なものになってる」。同曲は、”会話”の歌であるといい、「二人がお互いに浅瀬(の関係)から離れて、深いところへ飛び込んでいく必要性とその意欲について話し合っている曲だわ」。オスカーの歌曲賞ではこうした映画と楽曲の繋がりが重要視されており、歌曲賞への期待も高まる。

クロージング・トラックで、クライマックスとなる美しく切ないバラード「I’ll Never Love Again」は、「Shallow」に次いで「Always Remember Us This Way」と共に大きな注目を集める。冒頭ではホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)の「I Will Always Love You」を呼び起こさせながら、劇中でより深い意味を生む同曲のソングライターには、レディー・ガガに加え、キャリー・アンダーウッド(Carrie Underwood)「Play On」、ケイシー・マスグレイヴス(Kacey Musgraves)「Butterflies」のコー・ライター、ナタリー・ヘンビー(Natalie Hemby)、そして数々の涙の名曲を生み出してきたヒラリー・リンジーら。「I’ll Never Love Again」は撮影当時、レディー・ガガの友人が亡くなった直後だったという。EWでレディー・ガガは「私のとても、とても親しい友人のSonja Durhamがその日ガンで亡くなった日だったわ」。「あと30分で撮影だったんだけど、彼女の夫から連絡があって、彼女の声も電話の後ろから聞こえて、セットを離れたわ。車に乗り込んで運転していった。15分ほど彼女のそばに、そして彼女は息を引き取ったわ。彼女の夫に、愛犬、そして息子さんと共に私は彼女のそばにいた。それから戻ってきて」、「その曲を歌ったわ」。彼女への想いも込めて、同曲を歌ったとBeats 1 Radioで語る。「私はこの歌をジャクソンのため、そして彼女のために歌ったわ」。「彼は、”やり直さなくて大丈夫”って。歌うことが全てだった。あの日は私は決して忘れないわ。本当に特別なシーン、永遠に忘れないわ」。

サヨナラを伝えていれば/私の望みを伝えていればよかったのに/泣き叫んででも」、「それが最後だと知っていたなら/自分の心を引き裂いただろう/あなたの部分を救おうとするために」、「誰の肌も感じたくない/他の恋なんて始めたくない/他のキスなんて知りたくない/他の名は私の唇からこぼれないわ/私のハートを捧げたくない/他の人になんて」、「二度と愛したりなんかしない/もう、愛したりなんかしない

今週の「Hot 100」では、「I’ll Never Love Again」が初登場第36位、また「Always Remember Us This Way」が初登場第41位、「Is That Alright?」が初登場第63位、そしてブラッドリー・クーパーの「Maybe It’s Time」が初登場第93位のランクイン。サントラ『A Star Is Born』は来週も首位となることが予想されている。『Billboard 200』で今回首位となるのは、レディー・ガガとしては、『Born This Way』(2011年)、『ARTPOP』(2013年)、トニー・ベネット(Tony Bennett)とのコラボ『Cheek to Cheek』(2014年)、『Joanne』(2016年)に続く快挙。Billboardは『A Star Is Born』をレディー・ガガのアルバムとして換算、今回5枚目のアルバム首位獲得により、女性アーティストとして2010年代のアルバム最多首位記録になったと報じている。これまでレディー・ガガはテイラー・スウィフト(Taylor Swift)と共に最多タイ首位記録となっていた。男性も含めると、8枚首位のドレイク(Drake)、6枚のジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)に次ぐ記録になる。

ブラッドリー・クーパーとしては今回自身初の全米首位、今週の全米ビルボード「Artist 100」ではレディー・ガガが第1位、そしてブラッドリー・クーパーが俳優としては異例にも第3位を記録した(Billboard、※2018年10月20日付)。「音楽を愛しながら育ったんだ。ずっと私の中には6人の人がいるように感じていて、その一人はミュージシャン。プライベートで歌うことが大好きだった」とブラッドリー・クーパー、撮影ではリップシンクではなく実際にライブで歌ったとVultureで明かす。口パクで歌う映画は見るに耐えないとレディー・ガガから告げられていたという。ライブで歌うことは「恐怖だったよ」と『アメリカン・スナイパー』の43歳。映画の撮影自体は42日間だったものの、1年半ヴォーカル・レッスンを受け準備、3年かけて役作りをしたという。

レディー・ガガは彼の歌声に「衝撃的だったわ」。「魂を込めて彼は歌っていて、歌っている時どうやって物語を伝えるかを彼は知っている、それがすぐに聞いて取れるわ」、「この人はロックスターになる方法を知っているわ」。撮影は実際のフェスのステージを利用しており、ブラッドリー・クーパーは、昨年4月に開催されたカントリー・フェス「Stagecoach 2017」に登場、ジェームイー・ジョンソン(Jamey Johnson)とウィリー・ネルソン(Willie Nelson)のアクトの間の8分間を利用し、オープニング・シーンの「Black Eyes」をステージで実際に歌った。同映画プロデューサーのビル・ガーバー(Bill Gerber)はBillboardで当時を振り返り「ブラッドリーはステージに上って自己紹介したんだ、群衆はクレイジーになったよ。手短に事情を説明し」、「みんなとても協力的だった。映画でそれがわかると思う、本当に素晴らしいロック・ショーのようだ」。レディー・ガガも、自身がヘッドライナーを務めた全米最大級の野外音楽フェス「コーチェラ2017」(Coachella Valley Music and Arts Festival 2017)の第1週と第2週の週末の間(2017年4月18日-19日)を利用して、ファンらをエキストラに招き、実際のステージでブラッドリー・クーパーと共に撮影、現実世界さながらの臨場感を生み出している。

映画『アリー/ スター誕生』は全米3686館で今月5日(金)に一般劇場公開となり、オープニングの週末3日間で興行収入4130万ドルを記録し、初登場第2位。同時公開となったスパイダーマンの宿敵、ヴェノムを主人公にしたダークヒーロー映画『ヴェノム』が8000万ドルで初登場第1位となった。先週末の第2週末でも同順位となり首位を譲っているものの、映画『アリー/ スター誕生』はアカデミー賞まで続く賞レースの大本命と各メディアで報じられている。レディー・ガガは、2015年、ドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』シーズン5(American Horror Story: Hotel)でドラマ初主演を果たし、第73回ゴールデングローブ賞(2015年)TVミニシリーズ/テレビ映画部門(Miniseries or Television Film)で主演女優賞に輝いている。

映画『アリー/ スター誕生』では、”レディー・ガガ”を捨てミニマムメイクで挑戦、ブラッドリー・クーパーの指示だったという。「ブラッドリーは色んな意味で私の覆いを拭い去ったわ。メイクを落として、アリーになるために自分の自然の髪の色に戻したわ」(E! News)とステファニー・ジャーマノッタ(Stefani Germanotta)、劇中歌もレディー・ガガとしてではなく、アリーになりきって楽曲制作を行ったという。「アリーと私が違う所は、シンガーになりたいと思っていた時、私はがむしゃらになっていたわ」とロサンゼルス・タイムズ紙で当時19歳の頃を振り返る。「バーからバーへピアノを引きずって演奏していた」、「自分を心から信じていた、絶対叶えるって、成功するまで決してやめるつもりはなかったわ」。しかし一方で、鼻が大きすぎて”醜い”と感じていたというコンプレックス、そしてかつてルックスを変えるよう迫られていたことに、レディー・ガガはアリーとその姿を重ねる。有名になる前「私はすごくいじめられていたわ、すごく精神的に不安定で、とても落ち込んでいた。それが源になってる」。

そうした「vulnerability」(傷つきやすさ、弱さ)は映画『アリー/ スター誕生』の核の一つともなっている。「自分を美しいと感じさせるもの、それは私のファンの中に幸せを見つけた時だわ」と声を震わせる。「何らかの形で私の音楽が彼らの人生を変えたって、そういう声を聞き、またそれを目にする時、自分に美しさを感じさせてくれる」、「だってこれは単なる外見に過ぎないでしょ?」、「いつの日か私は百万もの映画に出て、百万もの歌を歌っているかもしれない、そしてみんな”彼女はとってもキレイね”って口にするかもしれない、でもそれは私が望むことじゃない」。「こう言ってもらえることを望んでいるわ、”あの映画を観て、すっごく泣いたわ、そして私は、自分自身の何かを見つけたわ”って」。

映画『アリー/ スター誕生』は日本では再来月、12月21日(金)より公開。国内盤『アリー/スター誕生 サウンドトラック』は来月11月7日にリリースされる。

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