パロマ・フェイス、新曲「Better Than This」現実的な不朽の愛を描く


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イギリスで国民的人気を集めるロンドンのシンガー・ソングライター、パロマ・フェイス(Paloma Faith)によるパワフルな新曲「Better Than This」が今月リリースされ、そのミュージック・ビデオが公開された(現地時間2020年9月12日)。全英アルバムチャートで首位となりプラチナディスクに認定された前作『The Architect』からおよそ3年ぶりとなるニュー・アルバム『Infinite Things』の年内リリースに向けて、「Better Than This」はそのファースト・テイストとみられている。

エタ・ジェイムズ(Etta James)やビリー・ホリデイ(Billie Holiday)から影響を色濃く受け、ソウル、ジャズ、R&B、ディスコをブレンドした独創的なクラシック・ポップから、EDMとコラボしたモダンなエレクトロ・ポップまで、枠を超えた楽曲の数々で魅了してきたフェイス。レトロでユニークなスタイルとヴィンテージな響きを纏うソウルフルな歌声とともに唯一無二の世界観を作り上げてきた。今回これまで成功を収めてきた商業的な路線から自身のルーツに立ち戻り、出産・産後鬱・育児や新型コロナウイルスのパンデミックのなかで見出した真実と価値観で新作の舵を取り、クリエイティビティと情熱、自分らしさを注いだ新章の幕を開ける。

(バース1)「通りの明かりが消え/人は皆、雲の下で眠り/ここよりましな夢を見ている時/兄は電話で言う/”天使の祈りが聞こえる、私たちがもっと良くなれるようにと”」、「山を見て私は”高すぎる”と思ったから/”あなたは飛べないわ”、鳥たちの囁きはそう聞こえた/あなたと出会って知った、私は今よりもっとましになれる、もっとましに/話せないと思った言語を聞き/深すぎると思った海を見た/あなたを見るとわかる、私たちはもっと良くなれる、今よりもっと」(コーラス)「そしてきっとあなたは私が望むどんな所へも連れて行ってくれる/私が知りたいどんなこともきっとあなたは学ばせてくれる/それって、これ以上ないほど最高なことだわ」

パロマ・フェイスは、2016年に恋人Leyman Lahcineとの間に待望の第一子となる女の子を出産。現在娘は3歳となり、Leyman Lahcineと3人でロックダウンの中を過ごした。ガーディアン紙でフェイスは「ロックダウンで私たちは感じたわ、たとえどんな危機があったとしても、私たちなら一緒にうまくやっていけると」。娘の誕生は彼女にとって愛する人との関係や音楽にも大きな影響を与えた。「現実的な」ラブソングを書きたいとフェイス。「それは”私の人生で最高の人であると同時に、最高に煩わしく私を傷つける。それでも私は一緒にいたい”というラブソングだわ。それは、特に子供が関わる長期的な関係のような愛ね」、「この先うまくいくかわからないと思っても、子供がいるから考えは変わってくる」、「自己中心的でなくなり、我が子にとって何がベストかを考えるようになる。そして我が子にとってベストなことは、パートナーにとってもベストなことでもある。子供はどちらの両親も愛しているからだわ」。

“無限のこと”と題した通算5枚目となるニュー・アルバムのタイトル『Infinite Things』は、フェイスの娘からインスパイアされたものだという。アルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘス(Jorge Luis Borges)の短編『El Aleph』(1949年、エル・アレフ / 無限)に基づいたもので、そこでは存在の全ての痛みと全ての喜びを同時に見ることができ、母親になったフェイスはそれを娘の瞳の中に見出す。「母としてそしてロマンチックな関係の中でも、真の愛は感傷的な感情以上のものだと思う。それは献身的愛情であり、時には自己犠牲のようなものを伴うわ」。

出会い、人生を共にする関係を通じて不完全の受容、愛と喜びを描く「Better Than This」についてフェイスは声明で、「一緒に過ごす人へのラブソングだわ」、「揺るぎない愛(enduring love)ね。欠点も何もかもさらけ出す。こんなラブソングは今まで聞いたことがないと思うわ」。一風変わったそのミュージック・ビデオでは、気候変動、暴動、警察権力による市民への残虐行為、戦争など繰り返される歴史の悲劇と深刻な地球が映し出された古いテレビの前で、「Only Love Can Hurt Like This」の39歳は出血したまま歌う。

「この10年で最もクリエイティブな経験」だというニュー・アルバム『Infinite Things』は「自分らしさが出ていると感じ、ワクワクしているわ。自分のクリエイティビティを取り戻したように感じる。ずっと長い間、商業的な世界で私は自分を見失っていた気がするわ」。「もっと曲を作り、もっと全てに注いでいきたい」と意欲を燃やす。「この風がどこに私を連れて行くか見ていこうと思うわ」とフェイス、「Better Than This」でその未来を見つめる。

(記事)”Paloma Faith: ‘I did a whole tour with postnatal depression. I was devastated’” – The Guardian

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