警察権力による暴力・黒人差別の抗議をパワフルなアカペラで歌った映像が大きな反響を呼び、当時12歳でバイラル・センセーションとなった米ゴスペル・シンガー、キードロン・ブライアント(Keedron Bryant)。ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)が白人警察官に拘束された際に首を圧迫され殺害された事件を受けて、その翌日(2020年5月26日)、キードロンは母親(Johnetta Bryant)が書いた曲「I Just Wanna Live」(ダウンロード版 / Spotify)を歌った動画を自身のInstagramに投稿。ソウルフルな歌声で力強く訴えるその映像は瞬く間に全米に広がり、第44代アメリカ合衆国大統領バラク・オバマ(SNS)、NBA選手レブロン・ジェームズ(SNS)をはじめ数々の著名人にシェアされ、動画再生回数はInstagramとYouTubeの公式動画だけでも現在計400万回を超えている。
Black Lives Matter運動の象徴的なアンセムの一曲となり、キードロン・ブライアントは12歳にしてワーナー・レコード(Warner Records)とレコード契約。アメリカの奴隷解放を祝うジューンティーンス(2020年6月19日)にスタジオ版「I Just Wanna Live」がリリースされた。今月13歳になり、現地時間7月27日に公開された「I Just Wanna Live」のミュージック・ビデオでは、子どもたちのアメリカ合衆国への「忠誠の誓い」(Pledge of Allegiance)から始まり、”衝撃的”なラストへ向かう。アメリカの多くの公立学校では生徒たちは毎朝、起立して右手を左胸に当て、星条旗に向かって忠誠心の宣誓を行う。「私はアメリカ合衆国の国旗と、それが象徴している万人のための自由と正義を有し、神の下で不可分な一国家である共和国に忠誠を誓います。」(I pledge allegiance to the Flag of the United States of America, and to the Republic for which it stands, one Nation under God, indivisible, with liberty and justice for all.)
(イントロ)「僕は生きたい、それだけが望み/神よ僕をお守りください」(バース1)「僕は若き黒人/全てを尽くす/立ち上がるために/でも周りを見渡すと/仲間たちがどんなことをされているかわかる/毎日/僕は獲物のように追われる/ひどい目にあうのはもうたくさん/僕たちは十分に苦しんできた」(コーラス)「僕は、ただ生きたいだけ/神よ僕をお守りください(そばにいてください)/僕は、ただ生きたいだけ/神よ僕をお守りください(そばにいてください)」
(バース2)「思いを巡らす/待っているのは生か死か?/不平等が続く/僕がどこにいようと/安全な場所はない/Oh, oh/高望みはしません/主よ、どうかお助けください」(コーラス)「僕は、ただ生きたいだけ/神よ僕をお守りください(そばにいてください)/僕は、ただ生きたいだけ/神よ僕をお守りください(そばにいてください)」
白人警察官が突きつける銃口の先で、跪く少年は苦悩と悲痛、神への祈りを歌う。その映像には、新型コロナウイルスのロックダウンのなかで全米各地に広がったBlack Lives Matter運動、警察権力によって命を失った数々の黒人の名前が映し出され、ラスト・シーンでパワフルなメッセージを描く。キードロン・ブライアントは「黒人が恐怖心なく外に出て人生を楽しむことができないのはフェアじゃないと思います。だからこの歌詞を歌うのはなんだか悲しい気がします」、「それでも世界にはまだ希望があります、僕たちが世界を変えられることができるという希望があるのです」。「I Just Wanna Live」の純益は100%チャリティーとして、人種的偏見・差別の撤廃のために活動する全米黒人地位向上協会(NAACP)に寄付される。