今年は41カ国が頂点をかけて戦う世界最大規模の歌コンペティション、『ユーロビジョン・ソング・コンテスト2020 』(Eurovision Song Contest 2020)がいよいよ再来月5月に前大会優勝国オランダで開催される。準決勝前半戦は現地時間5月12日、後半戦は5月14日、決勝戦は5月16日に開催。昨年辞退したブルガリアとウクライナが復帰し、一方ハンガリーとモンテネグロが今回不参加となり、計41カ国となった。
準決勝戦では前半戦(17カ国)、後半戦(18カ国)からそれぞれ10カ国が決勝進出。決勝戦では、準決勝を勝ち上がった20カ国に加えて、ビッグ5(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス)、そして開催国オランダの計26カ国で競い合う。いずれも視聴者票(電話、SMS、アプリ)と各国審査員票の合計得点で決せられる(Rules – Eurovision Song Contest 2020 )。ユーロビジョンに向け現在各国で全国大会などが開催され、国を代表するアーティスト・曲が次々に選出されている。歴代最多優勝国アイルランドに次いで6度の優勝を誇る強豪国スウェーデンは、全国大会『Melodifestivalen 2020』(メロディーフェスティバーレン2020)決勝戦(記事 )を日本時間3月8日に控えており、この日に各国を代表するアーティストが全て決まる見通しとなっている。
【追記】現地時間3月12日、残されていたロシアの代表曲が発表され、41カ国全ての代表曲が決定した。3月14日時点のオッズによると、ブルガリアが優勝候補として注目を集めている。
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記念すべき第65回目を迎えた今年のスローガンは「Open Up」(開く、心を開く、咲く) 。あえて抽象的にすることで、それぞれ自由に開かれた解釈を目的としているという。ユーロビジョン2020製作総指揮のSietse Bakkerは、「我々はオランダという国、オランダ人を表象するものを反映した今大会のテーマ、スローガンを模索していました。オランダは、世界に対して偏見のない開かれた心を持った国、互いに尊重し合い自分の考え方を話す国です」(Eurovision )。「同時に今日の社会情勢を反映したテーマを選ぶことが重要であると考えました。対立・分裂が増え、本来あるべき自由が限られていることに人々は懸念を抱いています。スローガンをOpen Up とすることで、皆さんがお互いに心を開き迎え入れ、異なった意見、それぞれのストーリーを分かち合い、そして勿論、お互いの音楽を分かち合う機会にできればと心より思っております」。
ユーロビジョン2020 – ロッテルダム / Photo by: NPO/AVROTROS/NOS
これまで異文化を共有し、多様性とインクルーシブをテーマとしてきたユーロビジョン。「Open Up」はそこからさらに新たな一歩踏み出したものであるとユーロビジョンのエグゼクティブ・スーパーバイザーJon Ola Sandは強調する。「(最初のユーロビジョンが開催された)1956年、たった7カ国だけが大会を観ることができましたが、それ以降ヨーロッパ全土、そしてオーストラリア、さらに今はストリーミングを通じて全世界の人々へ開かれています」。もともとユーロビジョンは、第二次世界大戦後、音楽を通じてヨーロッパの絆を深めるために始まった。ユーロビジョンの模様は日本からもライブで観ることができ、楽しみにしている日本ファンも多い。「ユーロビジョンの価値は普遍性とインクルーシブ、そして音楽を通じた多様性の祝福という我々の誇り高き伝統です。そして今、我々は新たな価値を付け加えるのです、それこそがopenness (寛容さ、開放性)です」。
第65回記念を祝うユーロビジョン2020のロゴは、ユーロビジョンに参加した年順に12時の位置から時計回りで全41カ国の国旗カラーが描かれ、風車のように一つの円になっている(図:Eurovision )。そのロゴについてSietse Bakkerは、「それはストーリーを語るものです。カラフルで、めだたく、そして重要なこととして、広く解釈できるものです」とし、ユーロビジョンの多様性、インクルーシブとともにスローガン「Open Up」が美しい形で描かれているという。「偶然にも最初のユーロビジョンは1956年オランダで開催されました。そのため、タイムラインはオランダの国旗カラーで始まっています」。
開催地に選ばれたのは、世界屈指の港湾都市としても知られるオランダ第2の都市ロッテルダム 。まさにユーロビジョンの理念と重なる街だったという。ロッテルダムは、第二次世界大戦で壊滅的状態に陥ったが、その後復興を遂げ、今では世界的に有名なモダンで斬新な建築物が立ち並ぶ。「多様性に富み、創造的で革新的、そしてダイナミックな都市」と言われているという。今大会の舞台となる屋内競技場Rotterdam AhoyのCEO、Jolanda Jansenはロッテルダムについて「我々は若く、活気に満ち、国際的な都市です」(Eurovision )と語る。奇抜な建築、創造性豊かなエネルギーと芸術性に溢れる色鮮やかな街に、国を代表する41カ国のアーティストが集まり、多様性に富んだ文化と音楽を祝福する。
果たして2020年代最初の優勝国はどの国に?41の参加国、各国代表アーティスト・曲など詳細は以下の通り(※発表され次第更新)。
準決勝・前半戦
〈前半組〉オーストラリア、ベラルーシ、アイルランド、リトアニア、北マケドニア、ロシア、スロベニア、スウェーデン〈後半組〉アゼルバイジャン、ベルギー、クロアチア、キプロス、イスラエル、マルタ、ノルウェー、ルーマニア、ウクライナ ※現地時間5月12日開催
準決勝・後半戦
〈前半組〉オーストリア、チェコ、エストニア、ギリシャ、アイスランド、モルドバ、ポーランド、サンマリノ、セルビア〈後半組〉アルバニア、アルメニア、ブルガリア、デンマーク、フィンランド、ジョージア、ラトビア、ポルトガル、スイス ※現地時間5月14日開催
決勝戦
〈ビッグ5〉フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス 〈開催国〉オランダ 〈準決勝進出〉20カ国 ※現地時間5月16日開催
アイスランド
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アーティスト Daði & Gagnamagnið 曲 Think About Things 言語 英語
アイルランド
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アーティスト Lesley Roy / レスリー・ロイ 曲 Story Of My Life 言語 英語
参加回数 54回目 優勝歴 7度(1996, 1994, 1993, 1992, 1987, 1980, 1970) 前大会成績 – (準決勝18位)
過去7度優勝し、歴代最多優勝国のアイルランド。最近は優勝から遠ざかっているなか、再びアイルランドの栄光を取り戻すべく運命を委ねるのは、ダブリン出身、現在ニューヨークを拠点に活動するシンガーソングライター、レスリー・ロイ(Lesley Roy)。2008年、マックス・マーティン(Max Martin)プロデュースのアルバム『Unbeautiful』(タイトル・トラック )でデビュー。心震わすパワフルな歌声で魅せるオルタナティヴ・ロックから、心に触れるカントリー・ソングを手がけるなど豊かな経験を積み、ケイティ・ペリーを彷彿とさせるポップの王道をいくアップリフティングなナンバー「Story Of My Life」でカムバックとなる。キャッチーな「Story Of My Life」のソングライターは、レスリー・ロイに加え、ナッシュビルのRobert Marvin、Catt Gravitt、Tom Shapiro。今大会最もアメリカ的なポップ・ソングで挑む。
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アゼルバイジャン
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アーティスト Samira Efendi 曲 Cleopatra 言語 英語
参加回数 13回目 優勝歴 1度(2011) 前大会成績 8位
アルバニア
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アーティスト Arilena Ara 曲 Shaj 言語 アルバニア語, 英語
アルメニア
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アーティスト Athena Manoukian 曲 Chains on You 言語 英語
参加回数 14回目 優勝歴 – 前大会成績 – (準決勝16位)
イギリス
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アーティスト James Newman 曲 My Last Breath 言語 英語
参加回数 63回目 優勝歴 5度(1997, 1981, 1976, 1969, 1967) 前大会成績 26位
イスラエル
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アーティスト Eden Alene 曲 Feker Libi 言語 アムハラ語,英語等
参加回数 43回目 優勝歴 4度(2018, 1998, 1979, 1978) 前大会成績 23位
イタリア
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アーティスト Diodato 曲 Fai Rumore 言語 イタリア語
参加回数 46回目 優勝歴 2度(1990, 1964) 前大会成績 2位
ウクライナ
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アーティスト Go_A 曲 Solovey 言語 ウクライナ語
参加回数 16回目 優勝歴 2度(2016, 2004) 前大会成績 -(辞退)
エストニア
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アーティスト Uku Suviste 曲 What Love Is 言語 英語
参加回数 26回目 優勝歴 1度(2001) 前大会成績 20位
オランダ
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アーティスト Jeangu Macrooy 曲 Grow 言語 英語
参加回数 61回目 優勝歴 5度(2019, 1975, 1969, 1959, 1957) 前大会成績 優勝
オーストラリア
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アーティスト Montaigne 曲 Don’t Break Me 言語 英語
オーストリア
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アーティスト Vincent Bueno 曲 Alive 言語 英語
参加回数 53回目 優勝歴 2度(2014, 1966) 前大会成績 – (準決勝17位)
北マケドニア
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キプロス
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ギリシャ
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アーティスト Stefania 曲 Supergirl 言語 英語
参加回数 41回目 優勝歴 1度(2005) 前大会成績 21位
クロアチア
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アーティスト Damir Kedžo 曲 Divlji vjetre 言語 クロアチア語
参加回数 26回目 優勝歴 – 前大会成績 – (準決勝14位)
サンマリノ
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ジョージア
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アーティスト Tornike Kipiani 曲 Take Me As I Am 言語 英語
参加回数 13回目 優勝歴 – 前大会成績 – (準決勝14位)
スイス
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アーティスト Gjon’s Tears 曲 Répondez-moi 言語 フランス語
参加回数 61回目 優勝歴 2度(1988, 1956) 前大会成績 4位
スウェーデン
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参加回数 60回目 優勝歴 6度(2015, 2012, 1999, 1991, 1984, 1974) 前大会成績 5位
スペイン
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アーティスト Blas Cantó 曲 Universo 言語 スペイン語
参加回数 60回目 優勝歴 2度(1969, 1968) 前大会成績 22位
スロベニア
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アーティスト Ana Soklič 曲 Voda 言語 スロベニア語
セルビア
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アーティスト Hurricane 曲 Hasta La Vista 言語 セルビア語
参加回数 13回目 優勝歴 1度(2007) 前大会成績 18位
チェコ
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アーティスト Benny Cristo 曲 Kemama 言語 英語
デンマーク
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参加回数 49回目 優勝歴 3度(2013, 2000, 1963) 前大会成績 12位
ドイツ
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アーティスト Ben Dolic 曲 Violent Thing 言語 英語
参加回数 64回目 優勝歴 2度(2010, 1982) 前大会成績 25位
ノルウェー
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アーティスト Ulrikke 曲 Attention 言語 英語
参加回数 59回目 優勝歴 3度(2009, 1995, 1985) 前大会成績 6位
フィンランド
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アーティスト Aksel Kankaanranta 曲 Looking Back 言語 英語
参加回数 54回目 優勝歴 1度(2006) 前大会成績 – (準決勝17位)
フランス
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アーティスト Tom Leeb 曲 The Best in Me 言語 英語,フランス語
参加回数 63回目 優勝歴 5度(1977, 1969, 1962, 1960, 1958) 前大会成績 16位
ブルガリア
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アーティスト Victoria 曲 Tears Getting Sober 言語 英語
ベラルーシ
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アーティスト VAL 曲 Da vidna 言語 ベラルーシ語
ベルギー
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アーティスト Hooverphonic 曲 Release Me 言語 英語
参加回数 62回目 優勝歴 1度(1986) 前大会成績 – (準決勝13位)
ポルトガル
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アーティスト Elisa 曲 Medo de sentir 言語 ポルトガル語
参加回数 52回目 優勝歴 1度(2017) 前大会成績 – (準決勝15位)
ポーランド
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アーティスト Alicja Szemplińska 曲 Empires 言語 英語
参加回数 23回目 優勝歴 – 前大会成績 – (準決勝11位)
マルタ
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アーティスト Destiny Chukunyere 曲 All Of My Love 言語 英語
モルドバ
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アーティスト Natalia Gordienko 曲 Prison 言語 英語
参加回数 16回目 優勝歴 – 前大会成績 – (準決勝12位)
ラトビア
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アーティスト Samanta Tīna 曲 Still Breathing 言語 英語
参加回数 21回目 優勝歴 1度(2002) 前大会成績 – (準決勝15位)
リトアニア
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アーティスト The Roop 曲 On Fire 言語 英語
参加回数 21回目 優勝歴 – 前大会成績 – (準決勝11位)
ルーマニア
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アーティスト Roxen 曲 Alcohol You 言語 英語
参加回数 21回目 優勝歴 – 前大会成績 – (準決勝13位)
ロシア
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参加回数 23回目 優勝歴 1度(2008) 前大会成績 3位