ブリット・アワード2020 ルイス・キャパルディ、最優秀楽曲賞含む最多2冠


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イギリスのグラミー賞にあたるイギリス音楽最高峰のアワード、ブリット・アワード2020(The BRIT Awards 2020)授賞式が現地時間2月19日、ロンドンのO2アリーナで開催。ストームジー、ハリー・スタイルズ、ロッド・スチュワート、メイベル、ルイス・キャパルディ、アン・マリーらイギリスを代表するスターに加え、海外からリゾ、ビリー・アイリッシュ、ヘイリー・スタインフェルドら豪華スターが集まり、記念すべき40回目を迎えたイギリス音楽最大の夜を華やかに祝った。アワードでは、最多タイ4部門でノミネートされていたスコットランド新星ルイス・キャパルディ(Lewis Capaldi)が最優秀楽曲賞(Someone You Loved)と新人賞の受賞を果たし、自身初の受賞で最多2冠に輝いた。

新人賞に続き、最優秀楽曲賞を受賞したグラスゴー出身の23歳シンガー・ソングライターは、受賞スピーチで「こんにちは、ルイスと申します。この賞を頂き心より感謝申し上げます」。受賞曲「Someone You Loved」について、「大方の予想とは裏腹に、多くの人がこの曲はLove Islandで毎晩目にする私の元恋人のことを歌った曲であると思われていますが」とキャパルディ。元恋人Paige Turleyに触れながら、「この曲は私の祖母について歌った曲です。とても悲しいことに数年前にこの世を去りました」。「Love Islandが祖母に連絡して、恋愛リアリティ番組に彼女を呼ばないことを願っています」とキャパルディらしいジョーク。「人生で最高の年になり、深く感謝申し上げます。皆さん一人一人にありがとう、レーベルの皆さんにありがとう、そして母さん、父さん、何ていうか愛し合ってくれてありがとう(笑)、それからおばあちゃんにありがとう、亡くなってくれて、いやごめんなさい、また会う日まで、じゃあね!本当にありがとう!」

全世界を感動に包んだエモーショナルなバラード「Someone You Loved」は、ルイス・キャパルディ初の全英首位曲で、7週連続の首位を記録(※2019年3月7日付-4月8日付)。ストリーミング再生回数は10億回を記録し、2019年年間全英シングルチャートで第1位(記事)となった他、全米ビルボード「Hot 100」で通算3週首位(※2019年11月2日付, 11月16日付-23日付)、第62回グラミー賞では年間楽曲賞にノミネートされ、音楽史に刻む2019年を代表する曲となった。

今年のブリット賞ではラッパーが大きく活躍。最高栄誉とされる最優秀アルバム賞には、キャパルディと並び最多タイ4部門でノミネートされていたサウス・ロンドンのラッパーDave(デイヴ)のデビュー・アルバム『Psychodrama』が、ストームジー、ルイス・キャパルディらを抑えて、マーキュリー賞に続いての受賞。マーキュリー賞とブリット・アワード最優秀アルバム賞の両方受賞は史上2人目で、ブリット2007でのアークティック・モンキーズ(Arctic Monkeys)のデビュー・アルバム『Whatever People Say I Am, That’s What I’m Not』以来、約13年ぶり。ラップ・アルバムの最優秀アルバム賞受賞は今回で2回目、ブリット2018で受賞したストームジーのデビュー・アルバム『Gang Signs & Prayer』以来となった。ラッパーの受賞では、ストームジー(Stormzy)が英男性ソロ・アーティスト賞を受賞し、タイラー・ザ・クリエイター(Tyler, the Creator)が国際男性ソロ・アーティスト賞を受賞、男性ソロ・アーティスト部門をラッパーが独占した。

一方、英女性ソロ・アーティスト賞では、ポップ新星メイベル(Mabel)が受賞し、自身初のブリット賞受賞。メイベルの母親ネナ・チェリー(Neneh Cherry)のブリット賞受賞(最優秀国際ブレイクスルー賞、最優秀国際ソロ・アーティスト賞)からちょうど30年を経ての受賞だった。メイベルを瞬く間にスターダムに押し上げた電話お断りソング「Don’t Call Me Up」は、イギリス人女性アーティストとして2019年イギリスで最もヒットした曲となった。今回メイベルは女性アーティストとして最多3部門のノミネーション(最優秀楽曲賞、新人賞)。コラボを除くと、メイベルが女性アーティストとして男女混合部門で唯一ノミネートされたアーティストとなり、アルバム賞での女性アーティストのノミネートはなかった。そのため今回の男性偏重のノミネーションには批判が寄せられ、議論を呼んだ。国際女性ソロ・アーティスト賞には、ビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)が受賞。先月グラミー賞で主要4部門を独占受賞した18歳が、勢いそのままにアリアナ・グランデ(Ariana Grande)、リゾ(Lizzo)らを抑えて受賞を果たした。

批評家賞(Critics’ Choice Award)は今年から名称を変更し、新星賞(Rising Star Award)となり、事前に受賞が決まっていたソウル・シンガー、セレステ(Celeste)が受賞。セレステは先月BBCの「Sound of 2020」も受賞しており、今年最もブレイクが期待される新星として注目を集めている。この名称変更は、ブリット2020での大きな改革の一つ。批評家賞がアデル(Adele)、サム・スミス(Sam Smith)ら世界的アーティストを輩出してきたことを受けて、ブリット・アワードは「今年は批評家賞を進化させ、新星賞に変更した」(BRIT Awards)とし、新たな才能の発掘と世界への発信に重点を置いた。昨年は特にルイス・キャパルディ、ビリー・アイリッシュ、リゾら新たな才能がイギリス、アメリカの音楽市場の成長に大きく貢献した。これまで批評家賞受賞者はプリ・セレモニーなどでパフォーマンスを披露してきたが、今回初めて、同賞受賞者に単独でメイン・ショーでのライブ・パフォーマンスの機会を設け、セレステが「Strange」を披露。時代を引き戻すソウルフルな歌声を漆黒のアリーナに響かせた。

Live Performance

ブリット2020のもう一つの大きな改革として、国際グループ賞、最優秀英ビデオ賞など削除し、賞のカテゴリーを削減する一方、ライブ・パフォーマンスに重点を置いた授賞式に変更した。BRITs委員長David Josephは「最も大切なこととして、ブリットの夜を世界的なセレブレーションにすべく、我々はクリエイティビティを注ぎ、イギリスの文化と並外れたパフォーマンスをショーの中心にする」とし、真新しいブリットを目指した。授賞式は受賞して終わりではなく、授賞式での最高のショーを通じて、アーティストにとって未来に繋がる瞬間となるような世界的なプラットフォームにすべきとした。

イギリスの文化、若きアーティストと音楽の力を世界に発信するとともに、これまで愛されてきた豊かな音楽のセレブレーションとなったライブ・パフォーマンスでは、メイベルがカラフルな巨大コールセンターから最優秀楽曲賞ノミネート曲「Don’t Call Me Up」で盛大にキックオフ。ルイス・キャパルディがスピリチュアルなステージで「Someone You Loved」を天高く響かせ、ハリー・スタイルズ(Harry Styles)は「Falling」を幻想的な美しい水と光のステージでエモーショナルに歌い上げた。リゾは自身のヒット曲メドレー(Cuz I Love YouTruth HurtsGood as HellJuice)をエネルギー溢れる力強いパフォーマンスで熱狂に包み、Daveが『Psychodrama』よりフリースタイルの「Black」をプロジェクションマッピングのアートに重ねて披露。ピアノを弾きながら、苦境の中を歩んできた黒人の誇りと気骨をラップに刻んだ。「Black」の最後には歌詞を追加し、ボリス・ジョンソンを人種差別主義者であると辛辣に批判。キャサリン妃とは異なるメーガン妃に対するメディアの不当な扱いを批判し、またグレンフェル・タワー火災の被災者支援を訴えた。

ビリー・アイリッシュは、来月全英・全米劇場公開となる映画『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の主題歌「No Time to Die」をTVライブ・パフォーマンス初披露。コー・ライター/音楽プロデューサーの兄Finneas O’Connellがピアノを弾き、オーケストラのアレンジを行った映画音楽界の巨匠ハンス・ジマー(Hans Zimmer)も加わり、「音楽のアベンジャーズ」という豪華コラボで披露した。ストームジーは「Don’t Forget to Breathe」から「Do Better」、「Wiley Flow」、「Own It」などメドレーでエネルギッシュに披露し、「Rainfall」で(お馴染みの)雨の滝に打たれた。最後にロッド・スチュワート(Rod Stewart)が登場。ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団を演奏に迎え、クラシカルな「I Don’t Want to Talk About It」を歌うとアリーナは観客の歌声で溢れた。さらに75歳のロック・シンガーはギタリストのロン・ウッド(Ronnie Wood)、ドラマーのケニー・ジョーンズ(Kenney Jones)を迎え「Stay with Me」を熱唱、祝40回記念となったブリットの最後を飾りアリーナは鳴り止まぬ歓声に包まれた。

  1. Mabel「Don’t Call Me Up」
  2. Lewis Capaldi「Someone You Loved」
  3. Harry Styles「Falling」
  4. Lizzo
    「Cuz I Love You」
    「Truth Hurts」
    「Good as Hell」
    「Juice」
  5. Dave「Black」
  6. Billie Eilish「No Time to Die」(Finneas, Johnny Marr, Hans Zimmer)
  7. Celeste「Strange」
  8. Stormzy (J Hus, Burna Boy, Tiana Major9)
    「Don’t Forget to Breathe」
    「Do Better」
    「Wiley Flow」
    「Fortune Teller」 (J Hus)
    「Own It」
    「Anybody」(Burna Boy)
    「Rainfall」
  9. Rod Stewart (Royal Philharmonic Orchestra)
    「I Don’t Want to Talk About It」
    「Stay with Me」(Ronnie Wood, Kenney Jones)

受賞者全スピーチ

受賞者フルリスト

最優秀アルバム賞
British Album of the Year

【受賞】Dave『Psychodrama』
Harry Styles『Fine Line』
Lewis Capaldi『Divinely Uninspired to a Hellish Extent』
Michael Kiwanuka 『Kiwanuka』
Stormzy 『Heavy Is The Head』

最優秀楽曲賞
Song of the Year

AJ Tracey「Ladbroke Grove」
Calvin Harris & Rag’n’Bone Man「Giant」
Dave feat. Burna Boy「Location」
Ed Sheeran & Justin Bieber「I Don’t Care」
【受賞】Lewis Capaldi「Someone You Loved」
Mabel「Don’t Call Me Up」
Mark Ronson feat. Miley Cyrus「Nothing Breaks Like a Heart」
Sam Smith & Normani「Dancing With A Stranger」
Stormzy「Vossi Bop」
Tom Walker「Just You and I」

英男性ソロ・アーティスト賞
British Male Solo Artist

Dave
Harry Styles
Lewis Capaldi
Michael Kiwanuka
【受賞】Stormzy

英女性ソロ・アーティスト賞
British Female Solo Artist

Charli XCX
FKA Twigs
Freya Ridings
【受賞】Mabel
Mahalia

英グループ賞
British Group

Bastille
Bring Me The Horizon
Coldplay
D-Block Europe
【受賞】Foals

最優秀新人賞
Best New Artist

Aitch
Dave
【受賞】Lewis Capaldi
Mabel
Sam Fender

国際男性ソロ・アーティスト賞
International Male Solo Artist

Bruce Springsteen
Burna Boy
Dermot Kennedy
Post Malone
【受賞】Tyler The Creator

国際女性ソロ・アーティスト賞
International Female Solo Artist

Ariana Grande
【受賞】Billie Eilish
Camila Cabello
Lana Del Rey
Lizzo

新星賞
Rising Star Award

Beabadoobee
【受賞】Celest
Joy Crookes

最優秀英プロデューサー賞
British Producer of the Year

【受賞】Fred Again

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