赤色、黄色、白色、オレンジ、ピンク。ふわふわと春風に揺れポップでカラフルなポピーの花言葉は、ギリシア神話から「慰め」、「いたわり」、「眠り」。小さくて可愛らしいケシであることから「ひなげし」と呼ぶポピーもあれば、麻薬の原料になるケシもまたポピー。
「みんなが聞いてくる、カルトに入ってるんじゃないかって」、「いいえそれは違うわ、私はカルトに入ってなんかいないわ」。その瞬間を”渇望”するファンでひしめく会場を包むのは、あの不穏なほど柔らかく、穏やかな癒しの声。カタルシスも束の間、映画のオープニング曲が流れると、全身襲うけたたましい警告音とともに、舞台の巨大スクリーンには、有害・刺激的なシーンを含むとグラフィック・バイオレンスを通告する警告文。場所は合っている。何かが始まる――。
日本の”kawaii”ファッション、Jポップに強い影響を受け、キュートなルックスと奇妙な世界観で今世界中から、カルト的人気を集める、米ポピー(Poppy、That Poppy)が、今月13日(土)、渋谷で待望の来日初公演。全米ツアー、ロンドン公演から、日本へ。急速な”Poppy Seeds”拡散のなか、海外メディアで幾度となく日本愛を語ってきたポピー。いよいよその初公演を迎えます。
オープニング

Photo by Hotty
舞台となったのは、(名前も奇妙な)ライブハウス「SPACE ODD」。メイン会場の地下2階へと降りていくと、薬物中毒となりポピーの首を締め上げたシャーロットが、シードたちを温かく出迎えます。スモーク立ち込めるステージにまず登場したのは、音楽プロデューサー、タイタニック・シンクレア(Titanic Sinclair)。ライブ前に音楽プロデューサーがステージに出ることは極めて異例。開会前の挨拶を始める、ことはなく、崇高なエナジーを注ぐように、「何か」をシードたちに掲げ、黒マスク姿で怪しいご祈祷のような儀式を厳かにとりおこなうタイタニック・シンクレア。
意外と長かったこの儀式、あの不安と恐怖が交錯する変な、神聖な空気に満たされると、ファンらの歓声とともに霊妙なオーラを漂わせ登場したのは、ポピー。中世ヨーロッパ貴族が原宿を歩いた結果、とも言えない、個性豊かな可愛くも洗練された気品香る黄色の衣装纏うポピーは、まるで月夜に照らされる一輪の花のように。夜風に揺れスポットライトに浮かぶブロンドのロングヘアは、神々しくもプラチナ色に輝き、小さい顔には大きすぎる可愛らしい瞳が、見る者の心を奪います。
I’m Poppy

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「Are You Ready for Poppy?」、歓声とともに会場の熱気を爆発させると、そのボディにインストールした今夜のプログラムより、(星の定めに基づき)昨年10月6日にリリースされたデビュー・スタジオアルバム『Poppy.Computer』のオープニング・トラック「I’m Poppy」でキック・オフ。
「Moshi Moshi」なバックダンサーらと共に、圧巻のダンスでも魅せるなか、ライブ用にリミックスされた「I’m Poppy」では、誰も想像し得なかった強烈な低音がフロアを揺らし、心臓の位置がわかる強さで全身を打ち付けます。「新世界へようこそ/私はあなたのインターネットの女の子よ/目を開けて、皆がハッピー/あなたのテクノロジーが大好き、私に入れて?/未来は最高よ、私たちが仲良く暮らしてる」、巨大なスクリーンにはミュージック・ビデオが映し出され、繰り返されるサブリミナル・リリックが、早くも理性、日常を奪っていきます。
「P-O-P-P-Y, I’m Poppy/P-O-P-P-Y, I’m Poppy」(×リフレイン)。「Poppy-y-y, that’s me!」、そう私はポピー、あなたもポピー。会場全体は早くも一つに。静観していた観客も、やがてビートに乗り、「P-O-P-P-Y, I’m Poppy/P-O-P-P-Y, I’m Poppy!」。錯乱が次第に心地よくなってくると、可愛いらしかったはずのポピーも、「何だかカッコイイ」。そしてポピーはシードたちに求めます。
「人生はまるで夢のようだわ、私をあなたのクイーンとして受け入れてくれたらね/私の居場所知ってるよね、あなたの画面よ/私に電気を、充電させて/あなたの全メモリを蓄えるあなたのエネルギーが私には必要なの」
でもどうやって?そう、「P-O-P-P-Y, I’m Poppy/P-O-P-P-Y, I’m Poppy」(×リフレイン)!
Computer Boy
すっかりとマインド・コントロール、観客のハートを掴むと、ポピーは日本語で「コンピューター・ボーイはドコデスカ?」、アメリカで日本語教室に通い学んでいた日本語を披露。男性ファンらが慎ましくも鋭い挙手をみせるなか、「Computer Boy」でコンピューター・ボーイへの愛を告白します。
Moshi Moshi
3曲目となったのは、今日本の街中でも流れ始めた話題曲「Moshi Moshi」(もしもし)。思ったよりも早い段階での投入となるなか、大本命「Moshi Moshi」が始まると、会場のボルテージは最高潮に。
Bleach Blonde Baby
自身が最も愛する曲の一つだという「Bleach Blonde Baby」の前には、声量で変動するという12段階の「ラブメーター」に挑戦。会場は一体となってポピー愛を叫びます。声量はほぼ一定をキープしながらも、空気を読むようにどんどん上がっていくラブメーター。(大人の事情で)ミッションをクリア!
Interweb

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「Interweb」では、幻覚作用引き起こす透き通る程美しい歌声で「ラララララー、ラララララー、ラララララー」。夢幻の歌声を暗闇に響かせると、ハーメルンの笛に続くように観客らも一緒に「(ラララララー、ラララララー、ラララララー)」。するとポピーは、「もうちょっと大きく!」、「(ラララララー、ラララララー、ラララララー)」。
My Microphone

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巨大スクリーンには、モンスターエナジードリンク、ドリートス、3:36など、例の動画も流れ、都市伝説でおなじみの某秘密結社(イルミナティ)の暗号が数多く散りばめられるなか、「My Microphone」へ。「私のマイクはどこ?/いかなくちゃいけないのに/私のマイクはどこ?/私のマイクどこ?」、と困ったポピー。「誰か私のマイク知ってる?」、「あっ、あったわ!」、おでこの老眼鏡な寸劇で会場を沸かせます。
Money
曲の間には、ポピーが流暢な日本語も披露。ここまで日本を愛しているアーティストはなかなか記憶にないほど日本愛を滲ませるなか、「One more song!」とクロージング・ソング「Money」。今回披露した中では、唯一EP『Bubblebath』からの曲となり、自身の大のお気に入りの曲と話す「Money」では、「お金で幸せなんか買えない、って言うのなら/どうしてお金はこんなにも素晴らしいものなの?」、ポピーを見守るファンは「うんうん、そうだな」。
愛らしい小さな体から今日一番の声を最後に振り絞るポピーは、「お金を稼いで/自分のお金を/お金を稼いで/自分のお金を稼いで/お金を稼いで/お金を稼いで」、「お金で幸せなんか買えない、って言うのなら/どうしてお金はこんなにも素晴らしいものなの?」、キュートにお金の大切さを全力で訴え、そのフィナーレを飾ります。
音楽にファッション、ダンス、そして息つく暇もない迫力の新感覚エンターテーメントで、近未来版「不思議の国」に迷い込むような、中毒性ある幻覚的世界を日本に咲かせたポピー。サイケデリックなエクスペリエンスで、あっという間に感じた今回の公演。時計の針は、午後6時44分。
12月30日に来日していたというポピーは、既にアルバム『Poppy.Computer』に続くセカンド・スタジオアルバムを(前作に続いて)日本で完成させたと明かします。ポピーがずっと願っていた日本初公演、ポピーがその大舞台に選んだ色は、黄色。黄色いポピーの花言葉は…、
「富」、「成功」。
Make that Money。
偶然?それとも?そして…
POPSPRING2018出演決定!
熱気に包まれ歓喜に湧いたポピー日本初公演。「すっごく行きたかった!!」と数多くの中高生、学生ファンの声も寄せられるなか、ポピーが再び日本へ。世界のポップミュージックの「今」を体感、国内最大級のポップ洋楽フェス「ポップスプリング」が今年も開催。ワン・ダイレクション(One Direction)のリアム・ペイン(Liam Payne)、リトル・ミックス(LITTLE MIX)など世界的スターらをはじめ、数々の豪華アーティストが集結するなか、ポピーの初出演が急遽決定しました。
「POPSPRING2018」
3月24日(土) 幕張メッセ国際展示場9~11ホール(地図)
3月25日(日) 神戸ワールド記念ホール(地図)
※Poppyは両日とも出演します。
http://www.popspring.jp/2018/
可愛くて、カッコイイ、そしてあやしいポピーが、”創造”遥かに超えた圧巻のショーと(不思議な)感動を再び日本に届けます。チケット先行受付は、eプラス、またはローソンチケットより。この機会にぜひ!なおポピーによる日本初公演(ショーケース・ライブ)セットリストは以下の通りです。
Setlists
1.「I’m Poppy」
2.「Computer Boy」
3.「Moshi Moshi」(もしもし)
4.「Bleach Blonde Baby」
5.「Interweb」
6.「My Microphone」
7.「Software Upgrade」
8.「Money」
今回エイベックス株式会社様より大変貴重なご機会を頂き、誠にありがとうございました。エイベックス株式会社様、そしてすべての関係者様にこの場を借りて深くお礼申し上げます。