聖夜灯す神秘のハーモニー、ワン・ボイス・チルドレンズ・クワイヤー「When Love Was Born」に止まぬ反響


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誰も耳にしたことがないはずのもの。しかし誰もが口をそろえて言葉にするのは、「これはまさに天使の歌声だわ」。

米ユタ州4歳から18歳の150人の少年少女からなるソルトレイクシティ合唱団「One Voice Children’s Choir」(ワン・ヴォイス・チルドレンズ・クワイヤー)最新カバー曲「When Love Was Born」のミュージック・ビデオが先週公開。感謝祭を迎えホリデーシーズンへと入るなか、涙と感動に包む子どもたちの神秘のハーモニーが、クリスマスの始まりを灯します。

星々が輝き、夜が静まりかえる/丘の上から見守る羊飼いたち/私は目を閉じて、その夜を目にするわ/愛が生まれたその夜を」。遥か彼方の聖夜へ、その小さな手に乗せるキャンドルの柔らかな光がやさしく照らすのは、”マサ“こと日本音楽家、福田真史さんがタクトを振るOne Voice Children’s Choirの40人を超える子どもたち。泣いてママから離れなかった子も、いじめにあっていた子も、みんな一つになって。

真夜中の空いっぱいの天使たち/彼らはこう歌うわ/”ハレルヤ、彼がキリストよ、私たちの王よ”」、「あなたと私に、愛が舞い降りるわ/天国からの贈り物/その聖霊は、そっと私たちの心の中へ」、「私たちが待ち望んでいた希望が生まれ、/世界が永遠に変わったの/愛が生まれた時に

一人一人の歌声が織り成す美しくもスピリチュアルな荘厳の調べは、まるで聖なる夜に響く天使たちの歌声のように。「きっと天国ではこんな風に聞こえるんだって思うよ」、「本当に美しいわ、涙が溢れる」、「頭の天辺から足の爪先まで鳥肌になったよ」、世界各国からその感動の声が止まない歌声で、キリスト降誕の祝福を歌う米マーク・シュルツ(Mark Schultz)クリスマス・ソングに、運命を変えた奇跡の愛を込めます。

2年前のクリスティン・チェノウェス(Kristin Chenoweth)「Born on Christmas Day」カバーでは、精巧なステンドグラスから光注ぐ教会を舞台にしたOne Voice Children’s Choir。まるで天高い大聖堂に反響する今年のクリスマス・ソング「When Love Was Born」では、米コロラド州北西部端レンジリーにある“ザ・タンク”と呼ばれる旧貯水タンク「The TANK Center For Sonic Arts」公式サイト)で、その歌声を響かせます。

音楽の秘境The Tank

ユタ州へと続く山地砂漠の丘にひっそりと佇む「ザ・タンク」は、もともと鉄道延長計画に基づく蒸気機関車への給水のために建設されたと伝えられます。しかし同計画は実現せず、使われることのなくなった「ザ・タンク」は、60年代に防火水槽としての命を受けるも、不安定な砂利の上に立っていたため、貯水重量に耐えきれないことが判明。役に立たないものとしてその後放置され続けたスチール製「ザ・タンク」は、自らの重みで底が歪み、錆つき荒廃していきます。

しかし1976年に米音楽家ブルース・オッドランド(Bruce Odland)によって音響空間として見出されると、廃墟は音楽アーティストにとっての秘境の地に。直径約12m(40 Feet)、高さ約20m(ビル6〜7階相当、65 Feet)の空間に、40秒の残響が響く特異な音響効果をもたらします。「私が歌うと、ザ・タンクも一緒に歌ってくれるのよ」と話すのは、ドイツから訪れたサウンド・エンジニアのSamantha Wade。「私はザ・タンクと一つになるの」。

ハーモニー

クリーン・バンディット(Clean Bandit)、ザラ・ラーソン(Zara Larsson)の「Symphony」カバー(ダウンロード版)。

2012年にスクラップとして売却されることになった「ザ・タンク」。同計画を阻止するため音楽グループらが力を合わせ、クラウドファンディングによる資金調達を行い、世界各国から集まった資金及びボランティアによって、「ザ・タンク」は廃墟からLAタイムズ紙ザ・ニューヨーカー誌などが特集する音楽ホールとして生まれ変わります。

かつては”欠陥品”として誰からも必要とされなかった「ザ・タンク」で、One Voice Children’s Choirと「ザ・タンク」も一緒に歌うハーモニーは、聖霊を宿す幻想的な世界に。地球の端から端へ、何かメッセージを伝えるように、肌の色を超えて神秘的に一つに木霊すその歌声が、運命を変える奇跡の愛を届けます。

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