ユタ州父娘マット&サバナ・ショー、デビュー・アルバム『Picture This』リリース


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新型コロナウイルスのパンデミックで世界の主要都市がロックダウンに入った頃、不安と混乱のなかで、ある父娘の歌声が世界中を感動で包んだ。あの祈りの歌からおよそ8ヶ月。現在16歳となったサバナ・ショー(Savanna Shaw)と父親マット(Mat Shaw)のデュオ、マット&サバナ・ショー(Mat and Savanna Shaw)のファースト・アルバム『Picture This』ダウンロード版, Spotify, Apple Music, その他)が2020年10月23日にリリース。まもなくそのタイトル・トラックのミュージック・ビデオが公開される(※公開され次第、以下に掲載)。

全ての始まりは一つの投稿動画。アメリカ・ユタ州北部ケイズビルに住む当時15歳のサバナが、新型コロナウイルスの影響により会えなくなった地元の少年少女合唱団の友達と繋がりたいと思ったのがきっかけだった。ソーシャル・メディアに初めて参加したサバナが2020年3月1日、最初に投稿したのがアンドレア・ボチェッリ(Andrea Bocelli)とセリーヌ・ディオン(Céline Dion)の「The Prayer」(’99)のカバーだった。普段物静かな性格だという彼女は、一人では恥ずかしいので父親に頼み一緒に歌ったという。レコーディングは”おうちスタジオ”。自宅のクローゼットの中で、マイクをiPadにつないで録音、子どもたちが宿題をするテーブルで撮影した。

マットのfacebookにも投稿され、「天使の歌声」と大きな反響を呼んだ少女と、「まるでジョシュ・グローバン」と驚かせたテンダーな父親によるクラシカル・クロスオーバー・スタイルの美しいデュエットは瞬く間に世界中に広がり、ABC朝の情報番組『Good Morning America』やケリー・クラークソン(Kelly Clarkson)のNBC人気トーク番組『The Kelly Clarkson Show』でも紹介。フジテレビ『とくダネ!』のデーブ・スペクター氏の特集で日本でも反響を呼んだ。その後も父娘はデュエットでカバーを配信。歌いながら心を通わす父と娘は、試行錯誤しながら共に学び、親子の絆を深めていった。マットは「このコロナウイルスの状況の中で、私たちにとって一条の光があるとすれば、それは私たちが一緒に過ごす時間がたくさんできたことです」(記事)。

映画『グレイテスト・ショーマン』(原題:The Greatest Showman)劇中歌「A Million Dreams」(2017)、ディズニー映画『アラジン』(原題:Aladdin)劇中歌「A Whole New World」(’92)、ディズニー映画『美女と野獣』劇中歌「Beauty and the Beast」(’91)など、現在までに20曲近くのカバーを配信。クラウドファンディング「Patreon」を利用し活動を続けている。「特にこのような試練の時、このような未曾有の時、音楽は希望を築く力を持っています」とマット。二人は音楽を通じて、希望のメッセージを届けたいという。

全13曲を収録するファースト・アルバム『Picture This』には、カバー曲に加えてタイトル・トラックとなっているオリジナル・ソングを収録。これまでも彼らの音楽を手がけてきたアレンジャー/音楽プロデューサー/作曲家Stephen Nelsonが珠玉のアレンジで魔法をかける。Stephen Nelsonとともにデュオが今年7月から書き始めたオリジナル・ソング「Picture This」は夢を叶えるために思い切って一歩を踏み出し、果敢に立ち向かう大切さを歌う。「私たちの物語を振り返り書いた曲は、とても多くの人々の物語と重なっていることに私たちは気づきました」とマット(SNS)。「人生の様々な状況の中で共感できる歌です。未来を思い描き、時には恐れもありますが、どっちに転ぶか分からなくても、信じて思い切ってやってみる。どんな未来が待ち受けているかは誰にもわからない、そういったことを歌っている曲です」。

12曲のカバーは、ファンらからリクエストが多かったものや、ショー家のお気に入りの曲、Stephen Nelsonが彼らの歌声に合うと勧めたものから選曲された。フランク・シナトラ(Frank Sinatra)のカバーでも知られるジャズのスタンダード・ナンバー「Fly Me to the Moon」(’54)とフランク・シナトラの「Come Fly With Me」(’57)をマッシュアップしたクラシカルでアップリフティングな「Fly Me to the Moon / Come Fly With Me」から『Picture This』は始まり、リー・アン・ウォマック(Lee Ann Womack)のグラミー賞受賞曲「I Hope You Dance」(2000)、そして最もリクエストが多かったというジョシュ・グローバン(Josh Groban)のカバーで知られるシークレット・ガーデン(Secret Garden)「You Raise Me Up」(2002)を収録。

リクエスト曲だったジャッキー・デシャノン(Jackie DeShannon)の「世界は愛を求めている」(’65, 原題:What the World Needs Now is Love)について、サバナは「今の世界にこのメッセージがとても完璧な曲だわ」。Stephen Nelsonから勧められたコルビー・キャレイ(Colbie Caillat)の「Try」(2014)にマットは「父と娘の観点から歌うと、全く違った意味を持っている曲だと思いました」、「とても美しいメッセージです。社会が求める枠に入ろうと必死になる必要はない。自分自身の道を行き、自分らしくあってほしい」、父から娘へその想いを音楽で伝える。

またサバナはマンディ・ムーア(Mandy Moore)の大ファンだといい、ニコラス・スパークスの小説『奇跡を信じて』を映画化した2002年公開映画『ウォーク・トゥ・リメンバー』(原題:A Walk to Remember)よりマンディ・ムーアのカバーで知られる「Only Hope」をカバー。クリスチャン・ロックをルーツにするスウィッチフット(Switchfoot)が原曲。恋人同士のラブソングにマットの妻は「この歌が本当は神への祈りの歌だと知り」、「歌詞を見た時に全く違った輝きを放ったわ」。またサントラでは2017年公開映画『リメンバー・ミー』(原題:Coco)より「Remember Me」を収録。心地よいボサノバギターの音色にのせて時を超えた愛を歌う。

デュオが「本物のレコーディング・スタジオ」で初めて収録したのがザ・ビートルズ(The Beatles)の「レット・イット・ビー」(’70, 原題:Let it Be)。マットが人生で最も愛する曲の一つだという。またFoxオーディション番組『アメリカン・アイドル』(American Idol)シーズン11(2012年)優勝者フィリップ・フィリップス(Phillip Phillips)の「Gone, Gone, Gone」(2013, 日本語歌詞付きMV)をカバー。同曲はStephen Nelsonから勧められた。

レナード・コーエン(Leonard Cohen)の「ハレルヤ」(’84、原題:Hallelujah)はアルバムの中でもサバナの特にお気に入りで家族の思い出の曲だという。父娘のハーモニーにStephen Nelsonが加わり、幻想的な美しい世界を作り上げる。一方、甘美なポップのスタンダード・ナンバー「イチゴの片想い」(’26、原題:Tonight You Belong to Me)にマットは「楽しくって、可愛らしい歌だよ」、車で曲がかかると家族全員で歌い出してしまうという。そしてクロージング・トラックは彼らの原点「The Prayer」。「今まで聞いたことがないアレンジになっている」とマット、「心配や不安なこと、先の見えないことばかりですが、『The Prayer』はとても美しい歌です。愛する人を抱きしめ、穏やかな人生を願う父と娘の祈りです」。

アルバムの実現にマットは「私たち家族にこうした機会を与えてくださり、皆さんに深く感謝しています」、「こうしたことは夢にも思っていませんでした」。「希望を分かち合い、試練の中で元気と癒やしを与えてくれる音楽の力と喜びを広げていきたいと思います」。セルフ・リリースとなるアルバム『Picture This』は主要な音楽配信サービスで2020年10月23日よりデジタル配信開始。現在CDは公式サイトから購入でき、通常盤とサイン付きスペシャル盤が用意されている。ストリーミング及びトラックリストは以下の通り。

アルバム『Picture This』』トラックリスト
1. Fly Me to the Moon / Come Fly with Me〈フランク・シナトラ〉
2. I Hope You Dance〈リー・アン・ウォマック〉
3. Picture This
4. You Raise Me Up〈シークレット・ガーデン〉
5. What the World Needs Now is Love〈「世界は愛を求めている」ジャッキー・デシャノン〉
6. Try〈コルビー・キャレイ〉
7. Only Hope〈映画『ウォーク・トゥ・リメンバー』〉
8. Remember Me〈映画『リメンバー・ミー』〉
9. Let it be〈ザ・ビートルズ〉
10. Gone, Gone, Gone〈フィリップ・フィリップス〉
11. Hallelujah (feat. Stephen Nelson)〈「ハレルヤ」レナード・コーエン〉
12. Tonight You Belong to Me〈「イチゴの片想い」〉
13. The Prayer

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