ルーシー・トーマス、戦後の名曲「La Vie en rose」鮮やかに蘇らせる


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至純のデビュー・アルバム『Premiere』から2年。バレンタインを前にルーシー・トーマス(Lucy Thomas)が、エディット・ピアフ(Édith Piaf)による愛の名曲「La Vie en rose」(ラ・ヴィ・アン・ローズ、邦題:バラ色の人生)を英語でカバーしたニュー・シングル(ダウンロード版, 各ストリーミング)を現地時間2021年1月29日にリリースした。天使の響きを持つ優雅な歌声で美しく壮大な物語を人々の魂へと届ける英国の若き歌姫が、再び魅惑の世界へと誘う。

世界中の人々に魔法をかけた愛の名曲誕生から75年。人生を変えるロマンスとその胸の高鳴りを歌うシャンソンのスタンダード・ナンバーを、クラシカル・クロスオーバー・スタイルの幻想的な美しいオーケストラ・アレンジで歌い上げ、戦後の名曲に新たな命を吹き込む。同曲は今年の元日にリリースした「Hallelujah」に続くシングルとなっている。

(バース1)「抱きしめて、しっかりと/あなたが私にかける魔法/バラ色の日々(La Vie en rose)/あなたのキスに、天国が吐息をもらす/瞳を閉じても/見える、バラ色の日々」(バース2)「あなたに抱き寄せられると/まるで別世界/ばらは咲き乱れ/あなたが話すと、天国から天使が歌う/何気ない日々のどんな言葉も、ラブソングになる」(間奏)

「心の底から愛して/そうすれば人生は永遠に/バラ色の日々/あなたが話すと、天国から天使が歌う/何気ない日々のどんな言葉も、ラブソングになる」、「心の底から愛して/そうすれば人生は永遠に/バラ色の日々」

パリの路上歌手から波乱に満ちた人生を歩みながら愛と喪失、傷心を歌い、フランスの永遠の「小さなすずめ」となった伝説的シャンソン歌手エディット・ピアフ(Édith Piaf)が1945年に愛の喜びを詞に書き綴り歌った代表曲「La Vie en rose」。楽曲制作当時、周囲からヒットしない曲と言われていたが、1947年にリリースされると大きな反響を呼び、戦後の人々に愛と喜び、希望を射し込む歌となった。作曲家はルイギ(Louiguy)。時代を超えて愛され続ける「La Vie en rose」は、ルイ・アームストロング(Louis Armstrong)をはじめ、ビング・クロスビー(Bing Crosby)、ディーン・マーティン(Dean Martin)、グレイス・ジョーンズ(Grace Jones)、ドナ・サマー(Donna Summer)ら、数多くのアーティストからも愛され、ジャズ、ボサノヴァ、ポップなど、それぞれ多彩なバージョンでカバーされた。映画『麗しのサブリナ』(’54)ではオードリー・ヘプバーンが「La Vie en rose」を口ずさみ、ラブロマンスを象徴する歌となった。

「バラ色の人生」(ワーナーミュージック・ジャパン)の邦題で親しまれている「La Vie en rose」のタイトルは、フランス語によるオリジナルの詞「バラ色(のレンズ)を通して見る人生」の一部分で、波乱万丈の生涯を送ったピアフの人生が刻まれている。第一次世界大戦の真っ只中、パリの下町に生まれたピアフは、生後まもなく歌手の母親に捨てられ、父方の売春宿を営む祖母の元に預けられた。孤独な幼少期を送ったピアフは3歳の頃、角膜炎により視力を喪失。7歳の頃にカトリックの聖地巡礼で視力が奇跡的に蘇ったという。14歳の頃、大道芸人の父親に連れられ、路上で歌うようになるが、15歳の頃に暴力を受けていた父親の元を離れ、パリの路上で歌いながら生計を立てた。16歳の頃に青年ルイ・デュポンと出会い恋に落ち、母親と同じ17歳の時にピアフは彼との間に娘マルセルを出産したが、娘への愛情の注ぎ方がわからないまま、2年後に娘は髄膜炎により亡くなった。生涯恋多き女性として知られているピアフだが、その後人生で子供を持つことはなかった。

母親を追うように歌に生き、路上で歌い続けていたピアフに大きな転機が訪れたのは1935年。通りかかったパリの高級キャバレーのオーナー、ルイ・ルプレにその才能を見出され、キャバレーのシンガーから国民的シャンソン歌手のスターダムへと駆け上っていく。娘が亡くなってから約10年後、29歳の頃にパリのシャンゼリゼ通りのカフェテラスでペンを走らせたのが「La Vie en rose」だった。それは美しい情熱的な愛の賛歌であると同時に、茨の道で我を忘れる束の間の”バラ”に人生の光と至福を見出す歌でもあった。様々な愛の形を通じて歌い継がれるその歌は、それぞれの時代、それぞれの人の中で、無数の棘の上に咲く愛を通して見る人生と、その無上の喜びを思い出させた。

「またお会いしましょう」。2020年4月5日、英国エリザベス女王が新型コロナウイルス感染症のパンデミック第一波のさなか、第二次世界大戦中にイギリスの人々にとって希望のシンボルとなったヴェラ・リン(Dame Vera Lynn)の「We’ll Meet Again」(’39)の詞を引用し締めくくったテレビ特別演説から1年を迎えようとしている。困難が続くなか「1945年に初めてレコーディングされたエディット・ピアフの美しい歌『La Vie en rose』のカバーを皆さんが楽しんでくれたらと願っています」とルーシー。甘い香りと潤いを帯びた愛と夢現の喜びを暗闇に輝かせるカバーでは、時折天を仰ぎながら、永遠の愛と情熱を艶のある甘美な歌声で歌い上げる。儚き命、人生の苦難や悲劇もその色を変えるものがある、そのメッセージあるいは願いを包んだ「La Vie en rose」は16歳の歌声に触れ、今日の時代に再び花開く。

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