思わず笑顔になる奇異な神業ヨーデル×ラップ、イリンカ「Yodel It!」-「ユーロビジョン2017」ルーマニア代表


1600 900 VOICE Editor
「ヨーデルしよ!」

16、17世紀、ヨーロッパの広大なアルプス山麓における牧童たちの連絡手段が発祥とされるヨーデル。その伝統的歌唱法がラップ、ポップ、ロック、ヒップホップのジャンルを越えて融合すると…。型破りでなぜか笑顔になってしまうというルーマニア18歳ヨーデル人気歌手イリンカ(Ilinca / Ilinca Băcilă)と25歳アレックス・フローラ(Alex Florea)のコラボレーション最新曲「Yodel It!」のミュージック・ビデオが先週公開されました。

中世の美しい街並みが残るルーマニアの古都を背景に、ユーロビジョン特有の異文化体感とともに、幸せを呼ぶヨーデルが響く。ヨデレーヨォォ!2:34よりイリンカの神業ヨーデルが光る。
“Yodel It!”
日本語訳歌詞
Written by Mihai Alexandru and Alexandra Niculae

(バース1・アレックス)
さあみんな
歌って叫びたくないか
ヨーデレ、ヨーデレーヨォ
さあ一緒に!
ヨーデレ、ヨーデレーヨォ

(イリンカ)
ヨデレーリィ、ヨデレーヨォォ
ヨデレーリィ、ヨデレーヨォォ

(アレックス)
自分を輝かせる光を見せてこなかったね
避けてきて、すべきことから目を背けてきたんだ
隠そうとしないで、君の内なる光を見せてくれ
今日という日がそれを放つ日になるかもしれないんだ

(イリンカ)
さあぶつけていこう、全力で、私は夢を追っていくわ
もし信じることができなかったら、私を見に来て、教えてあげるわ

(アレックス)
挑戦しなければ、生きることを感じることはできないんだ
チャンスを逃してしまわないように

(コーラス)
ヨデレーイィィ
ヨデレーイィィ、ヨデレーイィィィ、ヨデレイーヨォォ
(ヨデレーリィィィ、ヨデレイーヨォォ)
ヨデレーイィィ
ヨデレーイィィ、ヨデレーイィィィ、ヨデレイーヨォォ
(ヨデレーリィィィ、ヨデレイーヨォォ)
ヨデレーイィィ
さあ聞かせて(ヨデレイーヨォ)
クレイジーに(ヨデレーイィィ)
ヨデレェー、ヨデレイーヨォォ(ヨデレイーヨォ)

音楽コンペティション番組『The Voice』のルーマニア版『Vocea României』シーズン4(2014年)のファイナリストで、そのキュートなルックスでも注目を集めるイリンカ。その「ルーマニア唯一無二のヨーデル歌手」が『Vocea României』シーズン5(2015年)ファイナリストのラップと共に未曾有のケミストリーを生み出す同曲には、その衝撃・困惑の先にある不思議なゾーンを体感する声が次々に寄せられます。

ものすごく変で、奇妙で、想定外に最高!最初は何だこれって思ったんだけど、5秒したら…OMG!!すごい気に入ったよ!!」、「この曲を聴く度に幸せな気持ちになるわ。…何でもできそうな気持ちにしてくれるわ」、「とっても可愛い!」、「とっても気に入った!おかしっくて、ユニークだね!」、「多様性の祝福…ヨ~デリィィー、ヨ~デリィィー、ヨデリィォォォォォぉ!もう最高だわ!」、「なぜかハマってしまう!」、「これは異様で、壮大で、風変わりで、素晴らしい。自分でも何が起こっているのかわからないんだけど、気に入ってしまった(笑)」。

ユーロビジョン2017

17歳歌姫Blanche(ブロンシュ)によるベルギー代表曲「City Lights」。エンターテインメント性の強いイタリア、スウェーデンに対して、純粋に音楽で注目を集めるユーロビジョン2017話題の一曲。

1956年から今年で62回目を迎え、欧州他世界43カ国による世界最大の国対抗・音楽コンペティションTV番組『ユーロビジョン2017』(Eurovision Song Contest 2017)の準決勝、決勝戦が来月(現地時間2017年5月9、11、13日)、前年覇者国ウクライナ首都キエフにていよいよ開催。

その出場をかけ、先月ルーマニア全国選抜「Selecția Națională 2017」で同曲により見事優勝を果たしたイリンカは「この曲がとても多様性に富んだものであり、私たち(ルーマニア人)自身を表現するためロック、ラップそしてヨーデルを融合していることについて、私たちはとても気に入っているわ」と語ります。

ロシア代表曲Julia Samoylova「Flame Is Burning」。「その夜の後に、光は訪れる/そして暗闇の中で炎が燃えている/それはとても眩い輝きで」、苦難の中で生きる意味を探し求めながら、その暗闇に光を放つ炎を見い出す楽曲に。

前年ユーロビジョン2016では、旧ソビエト連邦によるクリミア・タタール人追放を経験した曾祖母からインスパイアされたというウクライナのJamala「1944」が(まさかの)どんでん返しで優勝。ロシアとの政治的問題へ発展するなか、今年の有力候補にも挙がっていたロシア代表、車椅子の歌姫Yuliya Samoylovaが、2015年ロシアからクリミア半島にウクライナの法律に反し渡っていたことを受け、開催国ウクライナへ入国禁止に。TV中継を介し参加することも検討されたものの、今月13日ロシアが正式に撤退を表明することとなります。

イタリア、スウェーデン

ロシアを除く42カ国代表曲のミュージック・ビデオによるプレイリスト。先週21日、43カ国の代表曲を収録したアルバム『Eurovision Song Contest 2017 Kyiv』がリリースされた。普段耳にすることの少ないヨーロッパをはじめとした世界各国の多種多様な音楽の文化を一度に体験できるのも魅力に。一カ国20秒ほどのまとめ動画はコチラより。

再び政治的問題が浮上する中、現在オッズで最有力候補は過去2回優勝しているイタリア、次いで過去最多6度の優勝を誇るスウェーデン、そしてベルギー、ブルガリア、オーストラリア、フランスなどなど。

これまでの最高成績は2005年と2010年の第3位と、今まで一度も優勝を経験したことがないルーマニア。あと12日ほどで開催を迎える今年のユーロビジョンのスローガンは、「Celebrate Diversity」(多様性の祝福)。「私たちはこの曲を歌いみんなを笑顔にできたら、とっても嬉しいわ。前向きなヴァイブスと歓びをステージでみんなと分かち合うことができるよう頑張りたいわ」とイリンカはその思いを語ります。

(記事)“Romania Eurovision 2017: Ilinca featuring Alex Florea – Yodel It!” on Express
(記事)“Romania: Ilinca and Alex Florea release the official videoclip of Yodel It!” on ESCToday
(記事)” Who will win Eurovision 2017? Latest odds, predictions and favourites for The Eurovision Song Contest” on The SUN
(記事)“Odds Eurovision Song Contest 2017” on Eurovision World


(更新)第7位/42カ国

現地時間2017年5月13日、『ユーロビジョン2017』(Eurovision Song Contest 2017)決勝戦が行われ、ポルトガルが初優勝、ルーマニアは第7位を記録しました(記事『ユーロビジョン2017、ポルトガルが初制覇、サルバドール・ソブラル「Amar Pelos Dois」に栄冠』)。ステージには巨大な大砲を構え、可愛らしいポップな映像をバックスクリーンに、会場を盛り上げたルーマニアの「Yodel It!」。決勝に進んだルーマニアは、(いろいろな意味で)常識を覆し、同曲パフォーマンスは、42カ国の審査員票で第15位ながら、ヨーロッパ中の人々の心をつかみ、42カ国の一般票では(まさかの)第5位を記録。

合計して大きくジャンプアップし、第7位にまで順位をあげ、トップ10入りを達成しました。イリンカは大会中、その日の映像を日々配信し、神業ヨーデルの救急車サイレン、寄り目変顔を披露。イケメ~ンとアレックスをイジる一方、決勝戦パフォーマンス最後、熱くなったアレックスを大人の対応で交わすイリンカ。

辛口の英ガーディアン(The Guardian)誌のレビューでは、「”ヨーデレ、ヨーデレーヨォ/さあこれを聞きたくないか”の歌詞には、”いいえ、間違いなく結構です、あっちへ行きなさい”と思い、さらにとても悪い言葉が出てきましたが、しかしこの曲はとても素晴らしいかったのです」と述べ、「ヨーデルとラップの驚異的ミックス」と高くレビュー。可愛いドラム隊、大砲とともに会場を大きく沸かせました。

関連記事

新着記事

洋楽最新情報をフォロー