ユーロビジョン2022 ライブ配信動画&全40カ国代表曲


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今年は40カ国が参加する世界最大の歌コンペティション番組『ユーロビジョン・ソング・コンテスト2022』(Eurovision Song Contest 2022)がいよいよ日本時間の明日開幕する。66回目を迎える今大会のスローガンは、「美の音」(the sound of beauty)。前大会のイタリア代表マネスキン(Måneskin)の優勝を受けてイタリアのミラノで開催される。イタリアでの開催は31年ぶりで、1965年大会のナポリ、1991年大会のローマに続き3度目となる。

映画『ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜』、マネスキンの世界的活躍、米版ユーロビジョン『American Song Contest』の開催などを受け、これまでになく世界的に注目を集める今大会の司会も豪華な顔ぶれとなり、イタリアを代表するグラミー賞受賞・世界的ポップ歌姫ラウラ・パウジーニ(Laura Pausini)、イタリアでも人気ある英シンガーソングライター、ミーカ(MIKA)、そして伊TV司会者Alessandro Cattelanが司会進行を務める。

1675年に建設されたトリノの世界遺産、ヴェナリア宮殿(Venaria Reale)でオープニング・セレモニーが現地時間5月8日に開催され、40カ国代表がレッドカーペットを彩った。トリノの屋内競技場パラスポーツ・オリンピコを舞台に、17カ国が争う〈準決勝1〉は日本時間5月11日午前4時(中央ヨーロッパ夏時間5月10日午後9時)より開催。18カ国が争う〈準決勝2〉は日本時間5月13日午前4時(中央ヨーロッパ夏時間5月12日午後9時)より開催。〈決勝〉は日本時間5月15日午前4時(中央ヨーロッパ夏時間5月14日午後9時)より開催。今年もその模様がYouTubeでライブ配信される。

準決勝からそれぞれ上位10カ国が勝ち上がり、経済的貢献から決勝進出が決まっている「ビッグ5」(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イギリス)の5カ国と前大会優勝国=開催国(イタリア)を合わせた計25カ国がファイナルで頂点に挑む。

準決勝、決勝いずれも、参加国40カ国の視聴者票(電話、SMS、アプリ)と、音楽プロフェッショナル・グループからなる40カ国の審査員票による50/50の合計ポイントで順位が決まる。各国の視聴者/審査員はそれぞれ自国以外のトップ10カ国に12、10、8、7、6、5、4、3、2、1ポイントを付与する(EBU)。

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、主催者の欧州放送連合(EBU)はユーロビジョンの政治的中立性と多様性の基本理念から当初ロシアの参加を認めていたが、ロシアが参加する場合に複数国が参加辞退する意向を示すなど異議を申し立て、EBUは2022年2月25日にロシアの本大会参加を認めない決定を発表した(EBU)。一方、アルメニアとモンテネグロが今大会復帰した。

現時点のオッズで今大会最も優勝する確率が高いとみられているのは、ウクライナ代表のフォーク・ラップ・グループ、カルッシュ・オーケストラ(Kalush Orchestra)が母に捧げる歌「Stefania」。ウクライナ伝統音楽のフォークの要素とモダンなヒップホップを融合したサウンドで、「子守唄」を軸に子供の頃を回想しながら母親が白髪になっていく姿を歌い、母親の愛と優しさ、苦悩と強さをノスタルジックに力強く描く。

タイトルにもなっている「ステファニア」は、同曲のコー・ライターでカルッシュ・オーケストラのフロントマン、Oleh Psiukの母親の名。ギリシャ語の「戴冠/勝利」が語源になっている。Olehは母親に捧げるために書いた「Stefania」について、「戦争が始まり、多くの人々にとってこの歌は”ウクライナの母”としての歌となっていった。だから多くのウクライナ人に共感を得たんだ。ヨーロッパの人々もこの歌を愛してくれたら嬉しいよ」と語る(Eurovisionworld)。その舞台演出を手がけるステージ・ディレクターOleksii Zhembrovskyiは「この歌の中心的シンボル、パフォーマンスの中心的シンボルは母親です。特に今の私たちの状況において、母親たちの眼差しは魂を癒やし、母親たちの手は我が子を守る。そして母親たちの涙が地上にこぼれ落ち、新しい命を生む物語を描いています」。

2016年以来3度目の優勝を目指すウクライナ。2016年大会ではウクライナ代表ジャマラ(Jamala)が「1944」で優勝。「1944」は第二次世界大戦中の1944年、ソビエト連邦によるクリミア・タタール人追放を受け弾圧されたジャマラの祖先の経験と、2014年のロシアによるクリミアの併合からインスパイアされた曲。今大会の優勝候補となっていることを受けてOleh Psiukは「どんな形の勝利も今のウクライナにとって、とても大切なものになるだろう。同時に我々の目的はウクライナの音楽を世界中の人々に聴いてもらうことでもある」と語る。

ウクライナに続き人気が高いのは開催国イタリア、そしてイギリス、スウェーデン、スペイン。欧州最大の音楽大国イギリスは過去5度の優勝経験がある一方、近年の成績は低迷し5度の最下位。EU離脱の影響も受け2019年、2021年の2大会連続で最下位となっているが、今大会イギリス代表を務めるTikTokスター=サム・ライダー(Sam Ryder)のアップリフティングなパワー・バラード「SPACE MAN」が急浮上中。

エルトン・ジョン(Elton John)の「Rocket Man」やザ・ビートルズ(The Beatles)、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)らブリティッシュ音楽のレトロなヴァイブスを帯びながら、高揚感、浮遊感、スケール感のある「SPACE MAN」をフレディ・マーキュリー(Freddie Mercury)を彷彿させる高音を織り交ぜパワフルに歌い、25年ぶりの頂きを狙う。

美しいメロディーの良質なポップで圧倒的存在感を放ち続ける強豪国スウェーデンは、コルネリア・ヤコブス(Cornelia Jakobs)のエモーショナル&壮大なバラード「Hold Me Closer」で歴代最多タイ7度目の優勝に挑む。スペイン代表シャネル(Chanel)はラテンの熱気を注ぐアップビートなラテン・ポップ「SloMo」でジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)を彷彿とさせるセクシーなキラー・ダンスでも魅了。1969年以来53年ぶりの優勝を目指す。

イタリアは、2019年大会イタリア代表のマムード(Mahmood)と伊人気歌手ブランコ(Blanco)が強力タッグを組んだ切なく美しいバラード「Brividi」。世界200以上の地域のストリーミング及び売上のデータを集計した米ビルボードによる週間世界チャート「Billboard Global 200」で同曲は初登場第15位を記録(※2022年2月19日付)。すでに世界的ヒットとなっているバラードで2大会連続優勝を狙う。

ジャンルや言語を超えて多様な文化、価値観、民族の伝統を取り入れた多彩な歌が今年も揃ったユーロビジョン。ダンス、奇抜で華やかなファッション、スケール感のある舞台演出、そして強烈な個性で魅せる歌合戦が今年もいよいよ始まる。

※準決勝、決勝の結果は以下に順次更新いたします。


準決勝1

登場順アーティスト
1🇦🇱 アルバニアRonela Hajati
ロネーラ・ハヤティ
Sekret
2🇱🇻 ラトビアCiti Zēni
チティ・ゼーニ
Eat Your Salad
3🇱🇹 リトアニアMonika Liu
モニカ・リュー
Sentimentai
4🇨🇭スイスMarius Bear
マリウス・ベアー
Boys Do Cry
5🇸🇮 スロベニアLPSDisko
6🇺🇦 ウクライナKalush Orchestra
カルッシュ・オーケストラ
Stefania
7🇧🇬 ブルガリアIntelligent Music ProjectIntention
8🇳🇱 オランダS10De Diepte
9🇲🇩 モルドバZdob și Zdub & Advahov BrothersTrenulețul
10🇵🇹 ポルトガルMAROSaudade, Saudade
11🇭🇷 クロアチアMia DimšićGuilty Pleasure
12🇩🇰 デンマークREDDIThe Show
13🇦🇹 オーストリアLUM!X feat. Pia MariaHalo
14🇮🇸 アイスランドSysturMeð Hækkandi Sól
15🇬🇷 ギリシャAmanda Georgiadi TenfjordDie Together
16🇳🇴 ノルウェーSubwoolferGive That Wolf A Banana
17🇦🇲 アルメニアRosa Linn
ローザ・リン
Snap
トップ10、決勝進出決定。※「ビッグ5」のフランスとイタリアが投票に参加。※インターバルアクト:Diodato, Dardust, Benny Benassi and Sophie & The Giants。※視聴者票は準決勝生放送中に投票、審査員票は現地時間5月9日開催の2ndドレス・リハーサル(Jury Show)時に投票。※準決の順位やポイントは決勝後に発表される。

準決勝2

登場順アーティスト
1🇫🇮 フィンランドThe RasmusJezebel
2🇮🇱 イスラエルMichael Ben DavidI.M
3🇷🇸 セルビアKonstraktaIn Corpore Sano
4🇦🇿 アゼルバイジャンNadir RustamliFade To Black
5🇬🇪 ジョージアCircus MircusLock Me In
6🇲🇹 マルタEmma MuscatI Am What I Am
7🇸🇲 サンマリノAchille LauroStripper
8🇦🇺 オーストラリアSheldon RileyNot The Same
9🇨🇾 キプロスAndromacheEla
10🇮🇪 アイルランドBrookeThat’s Rich
11🇲🇰 北マケドニアAndreaCircles
12🇪🇪 エストニアStefanHope
13🇷🇴 ルーマニアWRSLlámame
14🇵🇱 ポーランドOchmanRiver
15🇲🇪 モンテネグロVladanaBreathe
16🇧🇪 ベルギーJérémie MakieseMiss You
17🇸🇪 スウェーデンCornelia Jakobs
コルネリア・ヤコブス
Hold Me Closer
18🇨🇿 チェコWe Are DomiLights Off
トップ10、決勝進出決定。※「ビッグ5」のドイツ、スペイン、イギリスが投票に参加。※インターバルアクト:Laura Pausini & Mika、Il Volo。※視聴者票は準決勝生放送中に投票、審査員票は現地時間5月11日開催の2ndドレス・リハーサル(Jury Show)時に投票。※準決の順位やポイントは決勝後に発表される。

決勝

登場順アーティスト
1🇨🇿 チェコWe Are DomiLights Off
2🇷🇴 ルーマニアWRSLlámame
3🇵🇹 ポルトガルMAROSaudade, Saudade
4🇫🇮 フィンランドThe RasmusJezebel
5🇨🇭スイスMarius Bear
マリウス・ベアー
Boys Do Cry
6🇫🇷 フランスAlvan & AhezFulenn
7🇳🇴 ノルウェーSubwoolferGive That Wolf A Banana
8🇦🇲 アルメニアRosa Linn
ローザ・リン
Snap
9🇮🇹 イタリアMahmood & BLANCO
マムード & ブランコ
Brividi
10🇪🇸 スペインChanel
シャネル
SloMo
11🇳🇱 オランダS10De Diepte
12🇺🇦 ウクライナKalush Orchestra
カルッシュ・オーケストラ
Stefania
13🇩🇪 ドイツMalik HarrisRockstars
14🇱🇹 リトアニアMonika Liu
モニカ・リュー
Sentimentai
15🇦🇿 アゼルバイジャンNadir RustamliFade To Black
16🇧🇪 ベルギーJérémie MakieseMiss You
17🇬🇷 ギリシャAmanda Georgiadi TenfjordDie Together
18🇮🇸 アイスランドSysturMeð Hækkandi Sól
19🇲🇩 モルドバZdob și Zdub & Advahov BrothersTrenulețul
20🇸🇪 スウェーデンCornelia Jakobs
コルネリア・ヤコブス
Hold Me Closer
21🇦🇺 オーストラリアSheldon RileyNot The Same
22🇬🇧 イギリスSam Ryder
サム・ライダー
SPACE MAN
23🇵🇱 ポーランドOchmanRiver
24🇷🇸 セルビアKonstraktaIn Corpore Sano
25🇪🇪 エストニアStefanHope
※日本時間5月15日午前4時(中央ヨーロッパ夏時間5月14日午後9時)より開催。※視聴者票は決勝生放送中に投票、審査員票は現地時間5月13日開催の2ndドレス・リハーサル(通称「Jury Final」)時に投票。※各国の審査員は、(1) アーティストの歌唱力、(2) ステージでのパフォーマンス、(3) 歌の構成とオリジナリティ、(4) 全体の印象、に基づいて判断するルールとなっている(EBU)。

決勝リザルト

ウクライナ代表カルッシュ・オーケストラ(Kalush Orchestra)の「Stefania」が最高得点を獲得し、ウクライナが優勝を果たした。ウクライナの優勝は、2004年大会、2016年大会に続き6年ぶり3度目の優勝。イギリスが準優勝、スペインが第3位、スウェーデンが第4位、セルビアが第5位となった。

大会前からオッズで優勝最有力候補として独走していたウクライナは、40カ国の視聴者票で第2位以下を大きく引き離して最高得点439ポイントを獲得。決勝の視聴者票としてはユーロビジョン史上最高得点となった。視聴者票の第2位にはモルドバ(239ポイント)、第3位はスペイン(228ポイント)、第4位セルビア(225ポイント)、第5位イギリス(183ポイント)となった。

40カ国の審査員票では、第1位イギリス(283ポイント)、第2位スウェーデン(258ポイント)、第3位スペイン(231ポイント)、第4位ウクライナ(192ポイント)、第5位ポルトガル(171ポイント)となった。詳細記事『ユーロビジョン2022、ウクライナが優勝

順位アーティスト総合得点
優勝🇺🇦 ウクライナKalush Orchestra
カルッシュ・オーケストラ
Stefania631
2位🇬🇧 イギリスSam Ryder
サム・ライダー
SPACE MAN466
3位🇪🇸 スペインChanel
シャネル
SloMo459
4位🇸🇪 スウェーデンCornelia Jakobs
コルネリア・ヤコブス
Hold Me Closer438
5位🇷🇸 セルビアKonstraktaIn Corpore Sano312
6位🇮🇹 イタリアMahmood & BLANCO
マムード & ブランコ
Brividi268
7位🇲🇩 モルドバZdob și Zdub & Advahov BrothersTrenulețul253
8位🇬🇷 ギリシャAmanda Georgiadi TenfjordDie Together215
9位🇵🇹 ポルトガルMAROSaudade, Saudade207
10位🇳🇴 ノルウェーSubwoolferGive That Wolf A Banana182
11位🇳🇱 オランダS10De Diepte171
12位🇵🇱 ポーランドOchmanRiver151
13位🇪🇪 エストニアStefanHope141
14位🇱🇹 リトアニアMonika Liu
モニカ・リュー
Sentimentai128
15位🇦🇺 オーストラリアSheldon RileyNot The Same126
16位🇦🇿 アゼルバイジャンNadir RustamliFade To Black106
17位🇨🇭スイスMarius Bear
マリウス・ベアー
Boys Do Cry78
18位🇷🇴 ルーマニアWRSLlámame65
19位🇧🇪 ベルギーJérémie MakieseMiss You64
20位🇦🇲 アルメニアRosa Linn
ローザ・リン
Snap61
21位🇫🇮 フィンランドThe RasmusJezebel38
22位🇨🇿 チェコWe Are DomiLights Off38
23位🇮🇸 アイスランドSysturMeð Hækkandi Sól20
24位🇫🇷 フランスAlvan & AhezFulenn17
25位🇩🇪 ドイツMalik HarrisRockstars6

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