アップル、MacでのiTunesアプリ廃止を発表 ダウンロード販売は継続


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音楽コンテンツは「Apple Music」に移行。iTunes Storeは「Apple Music」の中で継続

Appleによる開発者向け年次カンファレンス「WWDC 2019」の基調講演が米カリフォルニア州マッケナリー・コンベンションセンターにて現地時間6月3日(日本時間6月4日2時)に開催され、今秋リリースのMac向け新OS「macOS Catalina」(macOS 10.15)が発表。それに伴い、2001年に始まった「iTunes」が新OSにて廃止されることが明らかになりました。「macOS Catalina」からは、「iTunes」はモダンな3つのアプリケーションに取って代わる形となり、音楽コンテンツは「Apple Music」、映画コンテンツは「Apple TV」、ポッドキャストは「Apple Podcasts」となります。【※更新】「macOS Catalina」2019年10月8日より提供開始。

また「iTunes」を通じたMacと各デバイスの同期、バックアップ、更新などの機能は、「macOS Catalina」からは、別途アプリを起動することなく「Finder」のサイドバーから可能になります。「iTunes」の廃止は「macOS Catalina」以降のMacのみで、iOS(iPhone、iPad)、Windows、Apple TVでは今後も「iTunes」が継続します。

ではMacで今後音楽のダウンロードができなくなるのでしょうか?Appleによると今回の「iTunes」廃止に伴い、「iTunes Store」が消え音楽のダウンロード配信が終了するわけではなく、「macOS Catalina」では「iTunes Store」(音楽アルバム/曲などのダウンロード)は「Apple Music」の中に組み込まれます。「Apple Music」のアプリを立ち上げ「表示」を選択、「iTunes Storeを表示」をクリックすることで「iTunes Store」が同アプリ内に表示され利用可能になるといいます。

ではMacユーザーにとってこれまで「iTunes Store」で購入したもの、これまでCDからMacに保存した楽曲データはどうなるのでしょうか?基調講演での発表後のプレスリリースによると、「Apple Music」では、Apple Musicのサブスクライバーか否かは問わず「これまでダウンロードした曲、購入した曲、CDからコピーした曲に関わらず、すべての音楽ライブラリにアクセスできる」とのこと。「Apple Music」は「非常に軽快で、楽しく、使いやすい」ものになっているといいます。「Apple Musicは、5000万以上の曲、プレイリスト、ミュージックビデオの中から素晴らしい新しい音楽を発見するお手伝いをします」。BillboardがAppleに確認した内容によると、「Apple Music」では、「iTunes」のCDに焼く機能も残っているといい、iTunes Matchも残るといいます。

こうしたことから「iTunes」という名前自体のアプリはなくなるものの、音楽ファンにとってはこれまで通りの利用ができることになります。もっとも、音楽ストリーミングサービスが主流となっている音楽利用の現状を踏まえ、今後はストリーミング主体の「Apple Music」が人と音楽のデジタル・コンテンツを繋ぐ表舞台となります。ずいぶん長い間噂となっていた「iTunes」廃止が今回ついに決定、その背景にはどんな事情があるのでしょうか。

© IFPI / IFPI Global Music Report 2019

「iTunes」はiPod発売を前に2001年1月にデビュー、2003年4月に「iTunes Store」が始まり、音楽業界にとっては当時Napster等で横行していた音楽コンテンツの海賊版による損失を防ぐものとなり、またユーザーにとってはCDなどのフィジカルからデジタルへ、合法的に新たな形の音楽利用の利便性が高まりました。「iTunes」はその後機能を拡大させ、2005年5月には動画、2005年6月にはポッドキャスト、2010年1月にはブックスなどが導入されコンテンツを拡大させる一方、「iTunes」はMacと各種デバイスを繋ぐハブ機能も有しており、ミュージック・ストアとしての役割を超えた存在として活躍を続けました。

時代とともにデジタル・コンテンツの利用形態も変わり、従来の売買型から定額のサブスクリプションモデルが主流となり、国際的な音楽業界団体、国際レコード産業連盟(IFPI)が毎年発表している世界の音楽消費をまとめた報告書(IFPI Global Music Report 2019、PDFダウンロード版)によると、グローバルにおいてダウンロード収益は2012年をピークに減少傾向。一方急増を続けるストリーミング・サービスは2016年にダウンロード収益を超え、2017年にはフィジカルも超え最大の収益源となりました。こうしたストリーミング・サービスによる収益増大が、危機に陥っていた音楽消費全体の減少傾向を食い止め、2015年以降、増加傾向に転じさせました。

「iTunes」が今回「Apple Music」、「Apple TV」、「Apple Podcasts」の3つに分割したことについてIHSマークイットのアナリストJack Kentは、ハードウェア中心の戦略から、利益が増大しているサブスクリプション・コンテントとサービスを重視した戦略への転換とみています(CNN Business)。特にAppleは「Apple TV」に力を入れており、「AmazonプライムやHuluなど150を超えるストリーミングアプリケーションや、Canal+、Charter Spectrum、DIRECTV NOW、PlayStation Vueなどの有料テレビサービスからお勧めの番組の提案」に加えて、今秋から始まるAppleオリジナルのビデオ・サブスクリプションサービス「Apple TV+」では、「ほかでは観られないオリジナルのテレビ番組、映画、ドキュメンタリー」などオリジナル・コンテンツを充実させています(プレスリリース)。「iTunes」引退の背景には、肥大化した機能の適切な割り当てに加え、こうしたデジタル・コンテンツの利用形態の変化に合わせ、各分野に特化したアプリに移行させた上で、パーソナライズされたおすすめのサブスクリプション・コンテンツの提供にフォーカスする狙いがあったといえます。

「macOS Catalina」は2019年秋(9月または10月)より配布が開始される予定。「WWDC 2019」では新OS「macOS Catalina」の発表(プレスリリース)に加え、ダークモードが追加された「iOS 13」(プレスリリース)、Apple Watch専用のApp Storeでアプリがインストールできる「watchOS 6」(プレスリリース)、iPad独自のOS「iPadOS」の誕生(プレスリリース)、そして目玉となる新型「Mac Pro」及びディスプレイ「Pro Display XDR」(プレスリリース)などが発表されました。

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