アヴィーチー急逝、享年28歳 ストックホルム広場ファンら集結 カイゴ、コーチェラで追悼


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EDM界を代表するDJの一人、スウェーデンのアヴィーチー(Avicii)、本名ティム・バークリング(Tim Bergling)が先週(現地時間4月20日)亡くなったことが、広報担当者により同日発表されました。28歳でした。

「アヴィーチーとしても知られるティム・バークリングが亡くなったことを深い悲しみとともにお伝え致します」、「4月20日金曜日、現地時間の午後、オマーンのマスカットで亡くなった状態で発見されました。ご家族は打ちひしがれています、どうかこの苦難の中、彼らのプライバシーを尊重して頂けますよう、お願い致します。これ以上お伝えする情報はございません」。

エタ・ジェイムズ(Etta James)の1962年曲「Something’s Got a Hold on Me」をサンプルにEDMとハウス、ソウルの要素を融合させ、グラミー賞ノミネーションとなった2011年プログレッシブ・ハウス曲「Levels」で瞬く間に世界にその名を広め、2013年「Wake Me Up」では世界20ヶ国以上で第1位を獲得。ソウル、フォーク、カントリーの要素をEDMに組み込んだ同曲は、全米ビルボード「Hot 100」では第4位を獲得するなど世界を席巻。2014年にはForbes(フォーブス)世界長者番付でDJ部門第3位(The World’s Highest-Paid DJs)となり、全盛期のEDMシーンを沸かせた若きスウェーデンのDJ。

2012年にデヴィッド・ゲッタ(David Guetta)とコラボした「Sunshine」でもグラミー賞にノミネート。そのデヴィッド・ゲッタは自身のSNSで「我々はこんなにも美しい心を持つ友人を失ってしまった、そして世界は信じられないほど有能なミュージシャンを失った。その美しいメロディ、ありがとう。スタジオで共にした時間、DJとして共にした演奏、そして友達として共に楽しんだ人生を、ありがとう」。

カリスマ的なDJのあまりにも早すぎる死に、カルヴィン・ハリス(Calvin Harris)、ゼッド(Zedd)、マーティン・ギャリックス(Martin Garrix)、マシュメロ(Marshmello)、ディプロ(Diplo)らDJ、そしてアヴィーチーとコラボしたマドンナ(Madonna)、アロー・ブラック(Aloe Blacc)、リタ・オラ(Rita Ora)らをはじめ、音楽ジャンルを超えて、世界各国のミュージシャンらから次々に悲しみ、追悼のメッセージが寄せられます。

Lonely Together

現在(2018年4月22日)死因は明らかにされておらず、家族は既にオマーンで身元確認を行っており、昨日CNNが報じた情報によると、地元警察は事件性を否定。アヴィーチーには急性膵炎などこれまで健康問題が度々報じられており、2014年には胆嚢摘出、虫垂を切除する手術。過度の飲酒などが指摘されています。2016年にはライブ・ツアーから引退することを発表し、スタジオで音楽制作に専念。

そのファンらへに宛てたメッセージで、「世界各国を飛び回り演奏できるなんて、自分は恵まれている。しかしアーティストの裏の、本当の自分の人生が俺にはほとんどなかった」(RollingStone)。2017年8月には、ツアー引退後初のEP『Avīci (01)』をリリース。2017年10月にはドキュメンタリー『Avicii: True Stories』が公開。

Rolling Stone誌とのインタビューで彼は「自分の人生を見つけ出す必要があったんだ。全てが成功の利益のための成功でしかなかった。そこにはもう、幸せがなかった」。「EDMが飽和状態になり始めて、4年、5年、6年前、カネが全てになってしまった時だ。その時から心では、俺はEDMとは関わりたくないと思い始めていた」。

しかし「俺は決して音楽を諦めない。音楽を通じてファンに伝え続けていく」。深刻な健康問題、また不安障害などを抱えツアーから引退し、音楽制作に精魂注いだ若きミュージシャン。それからおよそ2年後となる先週、故郷のスウェーデンから遥か遠く離れたアラビア半島で、28歳という若さで生涯を終えます。

翌21日、彼が生まれたストックホルムには、セントラル広場(Sergels torg)埋め尽くすファンらが集まり、「Wake Me Up」、「Hey Brother」、そしてツアー引退後2017年8月にリリースし、彼の最後のシングル曲となったリタ・オラとのコラボ曲「Lonely Together」などアヴィーチーのアンセムで追悼。涙を流し、叫び歌い、踊り、その栄光を讃えます。

そのファンの一人は、「私たちのなかに個人的に彼を知っている人は誰一人いない、しかし私たちは彼の音楽とともに育った。それはある意味で、私たちの青春を作った」、スウェーデンのメディアに語ります(ABC)。「私たちにとって、彼はものすごく、ものすごく大きな存在だ」。また61歳の男性教師は、「彼は現代のモーツァルトだった」、「スウェーデンの偉大なアーティストの一人だ」(AFP Relax News)。

Without You

オランダのユトレヒトでは教会から流れるアヴィーチーの曲で目を覚ましたといいます(映像)。米カリフォルニア州インディオで開催された野外音楽フェス「コーチェラ2018」(Coachella Valley Music and Arts Festival 2018)では、ノルウェーのDJカイゴ(DJ Kygo)が20日(現地時間)、アヴィーチーへトリビュート・パフォーマンス。

今日は、音楽にとってとても悲しい日だ」、「アヴィーチーは俺にとって最大の音楽のインスピレーションだった。彼こそが俺がEDMを始めた理由だ。だからもし彼がいなかったら、俺は今日このステージに立っていなかっただろう」。「そして彼は百万ものプロデューサーたちをインスパイアした」。

カイゴは自身の大好きなアヴィーチーの曲だという「Without You」で締めくくります。「アヴィーチーを称えるため、踊り、一緒に歌ってほしい、そして真の音楽の天才の人生を祝おう」。

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