アメリカン・アイドル2018 20歳マディ・ポピー優勝、アイオワ州史上初


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今年3月よりおよそ2年ぶりに再開した米音楽オーディション番組『アメリカン・アイドル』(American Idol)シーズン16。15年間続いたFOXからABCに番組を移し、トップ3によるパフォーマンス・ファイナルが現地時間5月20日(日)、そしてそのグランド・ファイナルが翌21日に開催。

60年、70年代のクラシックな曲などピアノ、ギター、ウクレレで弾き語り魅了したアイオワ州クラークスビル出身20歳の女子大生、フォーク・ポップのシンガー・ソングライター、マディ・ポピー(Maddie Poppe)が優勝し、全米が選ぶ16人目のアメリカン・アイドルにその名を刻みました。アイオワ州出身の歌手としては『アメリカン・アイドル』史上初の優勝。女性の優勝者としては、ケリー・クラークソン(Kelly Clarkson)、キャリー・アンダーウッド(Carrie Underwood)らに次いで、史上6人目となります。

準優勝には、スコッティ・マクレアリー(Scotty McCreery)を彷彿とさせる深いカントリー・ヴォイスのジョージア州ダラス出身19歳ケイレブ・リー・ハッチンソン(Caleb Lee Hutchinson)。ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)「I Have Nothing」などパワフルな歌声で全米を沸かせ(映像)絶大な支持を集めていたペンシルベニア州出身18歳ギャビー・バレット(Gabby Barrett)は、第3位となりました。

優勝発表後、歓喜に包まれるなか披露したデビュー・シングル曲「Going Going Gone」では、闘い合った仲間も途中加わり、涙ながら歌い上げ、ABC初の『アメリカン・アイドル』のフィナーレを飾ったマディ・ポピー。優勝後、「言葉にならないわ、すごく圧倒されてしまって、ただただ信じられないわ」(variety)。「ギャビーとケイレブには絶大なファンの基盤があって、私が優勝するなんて思ってなかったわ」(Billboard)。

ネットでは”ケイレブ、ギャビー、ケイレブ、ギャビー”って、とても多くの人の書き込みがあったわ。自分の名前はほとんどなくって、こんなことは自分には起こらないと思っていた」。人口2000人に至らない小さな田舎町から全米の頂点に輝いたシンデレラ・ガールは、「ここに自分がいて、優勝したなんて、本当に信じられないわ」。

優勝曲となった「Going Going Gone」は、ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)「Sorry」をコー・ライティングした「Issues」のジュリア・マイケルズ(Julia Michaels)らが、デミ・ロヴァート(Demi Lovato)「Tell Me You Love Me」、フィフス・ハーモニー(Fifth Harmony)「Miss Movin’ On」の音楽プロデューサー、米ミッチ・アラン(Mitch Allan)とともに書き上げます。

Going Going Gone

フォーク・スタイルのこれまでのマディ・ポピーの曲とは異なり、疾走感駆け抜けるアップビートなポップ・ソングとなった「Going Going Gone」では「傷つくために生まれてきたのかもしれない/自分の未来はわからない/それでも私は進むしかない、前に、前に/苦しくても/感じたい、心が燃え尽きるまで/永遠の若さに生きるのだから/だから私は前に、前に、前に/進んでいく」。

当時17歳のときマディが挑戦したNBC『The Voice』(2015年)ではブラインド・オーディションで誰一人振り向くことなく落選。彼女に選曲の裁量はなく「私は散々な歌声だったわ」、「言い訳はできないわ」(The Courier)。『アメリカン・アイドル』への挑戦を説得したのは、彼女の父親だったといいます。「父は決して諦めず私をずっと信じ続けてくれていたわ」、「私と父には特別な絆がある。同一人物なくらいよ」(Waverly Newspapers)。

7歳の頃から見ていたわ」という『アメリカン・アイドル』。「それを見て育ってきたような番組」、「自分をありのままに表現する2度目のチャンスを与えてくれたわ」。その最初のオーディションでは、1979年映画『マペットの夢みるハリウッド』主題歌「The Rainbow Connection」をアコースティック・ギターで弾き語り、審査員らを惹きつけます。

審査員のライオネル・リッチー(Lionel Richie)は「君には(物語を語る)ストーリーテラー・ヴォイスがある」、「我々には君が必要だ」。他の審査員ケイティ・ペリー(Katy Perry)ルーク・ブライアン(Luke Bryan)からも強く支持され、その後コルビー・キャレイ(Colbie Caillat)とそのヒット曲「Bubbly」でコラボレーション(映像)。

ウォルト・ディズニー・カンパニーの傘下ABCでのファースト・シーズンとなった『アメリカン・アイドル』。ディズニーをテーマにした放送回「Disney Night」では、ディズニー映画『アナと雪の女王』劇中歌「Let It Go」のイディナ・メンゼル(Idina Menzel)をゲスト・メンターに迎え、トップ10のコンテスタントがディズニー・ソングをカバーした。

メラニー(Melanie)1971年曲「Brand New Key」(映像)、サイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)1966年曲「Homeward Bound」(邦題:早く家へ帰りたい)、ディズニー・ナイトでは1967年ディズニーアニメ映画『ジャングル・ブック』曲「The Bare Necessities」、シネイド・オコナー(Sinead O’Connor)1990年曲「Nothing Compares 2 U」(映像)、ザ・ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)1966年曲「God Only Knows」(邦題:神のみぞ知る、映像)など、巧みな選曲のクラシック・ソングで繊細な情感を響かせながら、ハスキーな余韻に素朴にも甘美な歌声でその物語を弾き語り全米を魅了した20歳。

パフォーマンス・ファイナルでは、フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)1975年曲フォーク・ロック「Landslide」、そして2016年にリリースした自身のファースト・アルバム『Songs From The Basement』(ダウンロード版)より自ら作詞作曲した曲「Don’t Ever Let Your Children Grow Up」を歌い上げ、少女が大人になっていく哀愁纏う物語を人々の心に映し出します。

私の音楽はメインストリームではなく」、今回の優勝を信じられないというマディ・ポピーは、「自分の愛する音楽で、自分自身を変える必要なく成功したんだと知り、とても信じられないわ」。「1年前、6人のお客さんの珈琲店で歌っていたときは」、「どこに向かっているのか先が見えず、不安だった」、音楽の道を諦めることを考える時もあったといいます。「その頃に戻って、私がアメリカン・アイドルで優勝するんだよって自分に伝えたら、絶対信じなかったと思う」。

プライベートでも「長い間誰とも交際していなかった」というマディ・ポピー(HollywoodLife)。「これから先もずっと一人なんだって、失恋ばかりで恋愛のことは考えてなかったわ」。

グランド・ファイナル

グランド・ファイナルでは、キャリー・アンダーウッド(Carrie Underwood)、ミランダ・ランバート(Miranda Lambert)などカントリー・ポップに影響を受け、10代とは思えない存在感ある力強い歌声で魅せたギャビー・バレットがまず落選。ケイレブとマディがステージに残ると、司会のライアン・シークレスト(Ryan Seacrest)は、「いよいよ最後の時です、結果がまもなく発表されます」。

「しかしその前に、我々はあなた方トップ2の素晴らしい才能を祝いたいと思います」。「全米があなた方お二人に恋に落ちました。マディと歌う歌に何か特別な意味が込められていますか?」とケイレブに尋ねると、19歳のカントリー歌手は、「彼女は僕の親友で」。そして今まで明かされていなかったことを発表し、「マディとはハリウッド・ウィークで知り合い、実は彼女は僕の恋人になったんだ」。

歓喜の声が飛び交い、ケイティ・ペリーも「あらまぁ~、あらまぁ~!!!」と言わんばかりに盛り上げるなか、ケイレブとマディはイズラエル・カマカヴィヴォオレ(Israel Kaʻanoʻi Kamakawiwoʻole)バージョンで「Somewhere Over the Rainbow / What a Wonderful World」を手を取り合い歌い上げます。

その後二人には番組からハワイのディズニー・リゾート「アウラニ・ディズニー・リゾート&スパ コオリナ・ハワイ」への旅行をサプライズでプレゼント。ケイティ・ペリーも票を投じ優勝を果たしたマディ・ポピーには、賞金$250,000(約2750万円)が贈られ、ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下のハリウッド・レコードとレコード契約。さらに再来月、7月11日カリフォルニア州レディングよりキックオフし、40シティ以上まわる全米ツアー『American Idol Live! 2018』のヘッドライナーを務めます。

グランド・ファイナル前には、マディの故郷のクラークスビル市長、そしてアイオワ州知事キム・レイノルズが5月15日を「マディ・ポピーの日」(Maddie Poppe Day)と制定することを宣言。キム・レイノルズは「マディはアイオワの証です。不可能はありません。彼女は大きな夢を抱き、懸命に励み、そして今その夢を叶えようとしています」(Des Moines Register)。クラークスビルで行われた「マディ・ポピーの日」制定式典に参加したクラークスビル14歳の少女は「小さな田舎町出身だって、何でもできるんだって、マディは教えてくれたわ」、「マディが夢を叶えられたら、私にもきっとできるんだって」。

ディズニーの魔法がかけられたようなグランド・ファイナルでは、ニック・ジョナス(Nick Jonas)リアン・ライムス(Leann Rimes)ビービー・レクサ(Bebe Rexha)ダリアス・ラッカー(Darius Rucker)らスターらも駆けつけ、ライオネル・リッチー、ケイティ・ペリー、ルーク・ブライアン、そしてトップ10ファイナリストらが豪華パフォーマンスを行いました。(優勝者除く)トップ3のシングル曲及びグランド・ファイナルでのパフォーマンス映像は以下の通りです。

準優勝 ケイレブ・ハッチンソン

第3位 ギャビー・バレット

Performances

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