B.o.B&テイラー・スウィフト最新コラボ曲「Both Of Us」ミュージック・ビデオ公開


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テイラー・スウィフト(Taylor Swift)米公式サイト

先日公開されたビハインド・ザ・シーンで犬のジャンピングシーンの撮影に大苦戦していたテイラー・スウィフトですが、「時々たくさん引っかかれたわ」「彼らは笑顔の下にある恐怖を嗅いでいるように感じるわ」と戦場から帰還した如く振り返る22歳の米カントリー歌姫のそのシーンは、ジョン・ウー監督さながらのショック・フェイスのスローモーションと共に芸術的なシーンに仕上がったようです。

米国時間6月27日(水)、米人気ラッパーB.o.Bの大ヒット2nd最新アルバム『Strange Clouds(国内盤『ストレンジ・クラウズ』)より、米カントリーシンガー・ソングライター、テイラー・スウィフト(Taylor Swift)のコラボレーション・ソングで、同アルバム第3弾最新シングル曲「Both Of Us」のミュージック・ビデオが米MTVにてプレミア公開されました。

アデル(Adele)やビヨンセ(Beyoncé)他数多くのヒット曲のミュージック・ビデオを手がける英ディレクター、ジェイク・ナヴァ(Jake Nava)がメガホンをとり米ナッシュビルで今月撮影された「Both Of Us」のミュージック・ビデオでは、世界屈指の高層ビルが立ち並ぶ輝かしいアメリカ社会とは対照的に、社会的階級格差の中で経済的に決して裕福とはいえない多様な人種の人々の素顔や影を落とす街の光景の数々と、そうした中で力強く生きる姿が色彩を落としたスクリーンに映し出され、ジェイク・ナヴァがテーマとする「南部の多角的ヒューマニティーの視点のコラージュ」が表現されたものに。

「Both Of Us」
日本語訳歌詞・和訳

(コーラス)〜テイラー・スウィフト
一人だけじゃなくって、私達みんなを支えられるくらい力強かったならな…
いつか、一人だけじゃなくって、私達みんなを支えられるくらい力強くなってみせるわ

一昔前ならば考えられなかった米人気ラッパーと米カントリー歌姫の異色のコラボレーション・ソングながら、それ自体が一つのメッセージとなっている「Both Of Us」、しかしそこにはそれを始点としたベクトルがアメリカ社会、そして全ての人に拡張された壮大なメッセージとなっているようです。

単なる歌ではなく、プロジェクトに近い。単にB.o.Bとテイラー・スウィフトよりも大きいもので、人生の全ての歩み、社会の全ての階級、全ての人について語ったものだ」そう23歳のラッパーが語る「Both Of Us」のリリックには、随所にその精神が刻まれます。

「Both Of Us」
日本語訳歌詞・和訳

(バース1)〜B.o.B

(…)

俺たちはみんな自分がどう見えるかばかりを気にしている
そしてその話し方や、振る舞い方ばかりを気にしている
買ってきた服がいくらかって?
本当にそれが大切なことなのか?

だって、もし人生が困難な戦いならば、
俺たちはみんな使い古された同じ梯子をのぼろうとし
同じボートの中で使い古された同じパドルで漕いでいるんだ

なんでそんなに浅薄なんだ、ただ俺は聞きたい
その狂気の行き着き先に何があるっていうんだ?

誰もがドラフト1位指名にいるんだ
俺たちのほとんどはハリウッドスターになんかなれやしない
でも、もしみんなは一人のために、一人はみんなのためにあるならば、
いつかきっと俺たちは一つになれるんだ
一度でもそのアンダードッグの人々のためにそれを行動に移すんだ

親愛なるみんなへ、みんなの一人より

俺は君の痛みを感じる/君の苦しみを感じる」「ただ生き残りたいと思っても/全てが沈んでいく」「そしてその水たまりの中で溺死しかねないんだ」「だから俺は自分たちを支える必要があるんだ/お互い支えあうんだ」そう力強く訴えかけるB.o.B、バース1のラスト・リリックでは、「親愛なるみんなへ、みんなの一人より」と歌い、バース2のラスト・リリックでは、「ボビー・レイより、全ての人々へ」と歌うなど、B.o.Bから全ての人に送るメッセージとなっている「Both Of Us」が訴えるものは、決して複雑なものではなく、たった3行の言葉です。

But if it’s all for one, and one for all
Then maybe one day we all can ball
Do it one time for the underdogs

でも、もしみんなは一人のために、一人はみんなのためにあるならば、
いつかきっと俺たちは一つになれるんだ
一度でもそのアンダードッグの人々のためにそれを行動に移すんだ

そのキーとなっている”アンダードッグの人々”の「underdogs」の意味は、一般的に日本では「負け犬」と翻訳されることがあるものの、英米では少し捉え方が異なり、結果的意味合いではなく、経過的意味合いとして「劣勢に立たされている者」と訳すほうが正しい意味合いかもしれません(※)。

そこにはミュージック・ビデオで映し出される壁に落書きされている「Hope」が込められており、一人一人が支えあい、「みんなは一人のために、一人はみんなのために」という社会を築き上げることによって、テイラー・スウィフトのボディーに”ワン”パンチが数打入ったとしても、撮影を敢行しなければならなかったあのドッグの躍動感漲るダイナミックなジャンピング・シーンが表現しようとするものが生まれるのかもしれません。

(参考)”B.o.B., Taylor Swift Rep For the Underdogs in ‘Both Of Us’ Video” on Billboard
(参考)”B.o.B, Taylor Swift Salute Everyman In ‘Both Of Us’ Video” on 米MTV
(参考)”Taylor Swift Explores Rougher Side of Nashville With Rapper B.o.B in ‘Both of Us’ Video” on Taste of Country

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※(注)「underdogs」

underdog
1. a competitor thought to have little chance of winning a fight or contest
2. a person who has little status in society
»Oxford Dictionaries

オックスフォード英英辞典によると、「underdogs」の意味について、「戦いやコンテストで勝ち目がないと思われている競争者」と説明されており、主に結果を表す「負け犬」とは異なり、途中過程的意味合いにおける「勝ち目がないと思われている者」と説明されています。

そこには、ミュージック・ビデオでも描かれている「Hope」が込められる余地のある言葉として、決して否定的意味のみで用いられることなく、むしろそこから這い上がっていくという肯定的な意味合いでも用いられることがあるようです。

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