3週連続で全米ビルボード総合ソングチャート「Hot 100」のスローンを占めるテイラー・スウィフト(Taylor Swift)の「Look What You Made Me Do」(ルック・ホワット・ユー・メイド・ミー・ドゥ〜私にこんなマネ、させるなんて)に狙いを定めていた銃口はついに。
先月の「デスパシート」首位時代には第3位(※2017年9月2日、9日付)、今月テイラー・スウィフトがその首位を奪うと、2週連続第2位(2017年9月23日、30日付)と迫っていたカーディ・B(Cardi B)最新曲「Bodak Yellow」(ダウンロード版)。
ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)を彷彿とさせる豊満な肉体美に異国情緒漂うルックスでも魅了するその米ニューヨーク州ブロンクス出身ラッパーのメジャーデビュー・シングル曲が、今週(現地時間9月25日)、「Hot 100」首位を獲得したことが発表されました(※2017年10月7日付、米ビルボード誌)。
19年ぶり、史上2人目
「Hot 100」最高第2位のニッキー・ミナージュの世界的ヒット曲「Anaconda」を越えて、首位を獲得したカーディは、1998年のローリン・ヒル(Lauryn Hill)「Doo Wop (That Thing)」(※1998年11月14日付)以来およそ19年ぶり、女性ラッパー単独によるシングル曲で「Hot 100」首位を獲得した史上2人目に。
またコラボレーションを含めると、「Lady Marmalade」(with Christina Aguilera, Mya and P!nk)のリル・キム(Lil’ Kim)、リュダクリス(Ludacris)「Stand Up」でコラボしたショーナ(Shawnna)、「Fancy」(feat. Charli XCX)なイギー・アゼリア (Iggy Azalea)に次いで、史上5人目の女性ラッパーとなります。
さらに女性アーティストとして、デビュー・シングル曲で「Hot 100」全米首位を獲得するのは、メーガン・トレイナー(Meghan Trainor)の「All About That Bass」(8週首位、※2014年9月20日付)以来となる快挙を達成。
接戦
その歴史的瞬間を迎えた24歳は米ビルボードでのインタビュー(YouTube動画)で「とっても嬉しいサプライズね」。「接戦だっわ。オバマの大統領選挙の時のようだわ。なんかこう、”アアアアアアアア!”って感じよ」と興奮。
クエヴォ(Quavo)とコラボレーションしたヒット曲「Congratulations」に続き全米トップ10入りとなったポスト・マローン(Post Malone)最新シングル曲「Rockstar」は、初登場第2位で自身最高を記録。中毒性ある同曲は「Streaming Songs」部門では、「Bodak Yellow」を第2位に抑え、首位を獲得します。
首位から第3位へと順位を下げたテイラー・スウィフト(Taylor Swift)の「Look What You Made Me Do」についてカーディ・Bは「なんでテイラー・スウィフト?って感じだったわ。私は好きよ、あのクソいい歌が」。カーディらしい発言でジョークを飛ばすと、そのサビを歌う一幕も(YouTube動画)。
Bloods
2015年の米VH1リアリティ番組『Love & Hip Hop: New York』Season 6ではレギュラーで活躍、不仲の共演者には靴を投げつけ一時騒然となる等、歯に衣着せぬ発言と容赦なく牙をむくアグレッシブな行動で惹き付けるカーディ・B。
16歳の時から、「B」と血色の「赤」を基調とする二大ストリート・ギャング「ブラッズ」のメンバーでもあった(RCN)カーディは、貧困と暴力的恋愛関係(DV)から脱却するため、19歳の時ストリッパーとなり、Tumblr などSNSでは男性を虜にする技を世の女性らにアドバイス。「人々は私にこう訊いてくるわ、あなたは何をしている人?モデル?コメディアンか何か?ってね」、「いや、どれでもないわ。私はビッチ。私はストリッパーのビッチよ」。
リアリティ番組、SNSでの圧倒的知名度ともに今年2月にAtlantic Recordsとレコード契約を締結、メジャーデビューを果たし、現在インスタグラムのフォロワー数は現在1000万人を越える24歳。ストリッパー当時、家族には裕福な白人家庭のベビーシッターと告げていたというカーディの有名なフレーズは「shmoney」。「shhh money」からくるもので、秘かにお金を稼ぐ意味。
コダック・ブラック(Kodak Black)の2014年ヒット曲「No Flockin」の一部分を巧みに変え引用したメジャーデビュー・シングル曲「Bodak Yellow」では、そうした彼女のかつての人生が背景に流れ出るなか、ミッドテンポのバス・ヘビーなサウンドにのせ、反骨精神刻む腰を据えた歌声とともにその不屈の赤き炎で迫ります。
「今は腰を動かしてるんじゃない、デカいカネを動かしているんだ/踊らないと言ってるんだ、カネを動かしているんだからな/オマエの目を見て、何も話さなかったら、それはオマエとなんかヤらないってことだ/私がボス、オマエは部下、ビッチ、私はカネを動かしてるんだよ」
まだメジャーデビュー曲をリリース前、今年2月、FADERのインタビューでカーディは、「みんな私のことをただの間抜けだと思ってるわ、英語もろくに話せない売春婦のクソッタレのビッチってね」。「もし私がクソなら、こんな所まで来てないはず」、「私はみんながなりたいようなただのクソ有名人かもしれないが、みんなわかってない、有名になってもリッチになるわけではない。リッチになりたかったら死に物狂いで頑張らないと」。
「私の肩には大きな重圧がのしかかってるわ。夜もよく眠れないわ、私だけがEdgewaterでマンションに住んでいる、両親は違うのに。両親は今もずっと賃金労働で、ブロンクスに戻ることもできないでいる」、「私が何とかしないといけないわ」。